雅・処

好きな俳優・映画・演劇などエンタメ一般やスポーツについて自由に語ります。

スタジオライフ 『THE SMALL POPPIES』観劇記

今回はそれなりに面白かったです。

昨年、いや数年前からスタジオライフの芝居にどうにも盛り上がれない自分を騙せなくなってきておりました。出会った当初は、あれほどまでに血が沸き上がるような喜びや興奮を感じていたのに、あれは今思えば「幻か、蜃気楼か?」と訝しく思うほど、テンションが下がりまくっていて。


過去の話題作の再演は、まあなんとか見られるものが多く、それなりの完成度ではありますが、新作の出来がどうにもよろしくない。駄作と言い切れるほどに徹底的に悪ければ諦めもつくのですが、頑張って演じている役者達の真剣さは充分に分かるし、ライフ流の泣きのポイントもあったりしてそれなりには見られる作品なのが、かえってタチが悪いというか。


前回3月の『エッグスタンド』も、「ああ、久しぶりにマツシン(松本慎也)可愛かったなあ~」という感想を持ったものの、そこ以外に思い出せないくらい印象が薄くて、とうとう感想をアップせずに終わってしまいました(汗)。本来なら結構”好き系”な話なんですけど、なんか消化不良で終わってしまいました。


最近上演される新作は、こなれてないものが多く、「倉田さん、草稿の段階でそのまま舞台化してないかい?」という半端な出来が多いですし、新人はあっという間に退団していくし、かなりヤバい感満載。今回は、土日の観劇にも拘わらず、ファン層とは完全に異なる一般演劇ファン(シニア層)の招待客が異常に多く、「チケットの売れ行きも厳しいのね」と暗澹たる思いに襲われました。

【オーストラリアのお芝居は新鮮】


そんな昨今でしたので、あまり過剰に期待はしないで見た作品でしたが、テイストは少し『DAISY PULLS IT OFF』を思わせるハートフルなお話でした。舞台は1980年代のオーストラリア、アデレードという街。5歳で「大きな子の学校」(小学校就学前の予備学校のようなものらしいです)に通い始めるクリント・レップ・テオという3人の子供たちのお話。


ベトナムカンボジア、タイなどアジア系の難民が流入してきて、言葉の通じない彼らに対する差別やカルチャーショックなども織り交ぜつつ、家族の愛情につつまれて決して”明るさ”や”素直さ”は忘れない子供たちの葛藤を描いた作品。5歳児を演じる役者達は、結構年くってますけど(笑)、意外に違和感なしの溌剌ぶりで楽しげに演じてました。


たまに大人役にチェンジしたりするので、そのギャップも楽しめます。無邪気だけどちょっと乱暴なテオ少年から、校長先生に変わる笠原さんはやはり素敵でした。クリントは久しぶりのちゃんがなかなか魅せてくれましたし、宇佐見レップも松本レップも可憐な少女ぶりで堪能できました。


関戸君の安定感バッチリの女教師役は、さすが!の一言でしたし、CAで登場した江口君の麗しさ(演技も含めトータルバランスが素晴らしい)にノックダウンさせられましたし、期待の若手吉成君の少女役(高めの良く通る声!)もモロ好み。仲原君や緒方君なども、いつの間にベテラン女役の仲間入りをしていて感慨深く。


とにかく右を見ても左を見ても、私の大好きな”女役”が沢山、しかもそれぞれに魅力が溢れていて、すごくワクワクしていました。あとはもう一味、グッとくるライフ節があれば、言うことなし、なんですけどねえ~。まあ、久しぶりに楽しめた芝居でそれだけでも良かったです。

【次々回作は驚きの名作『はみだしっ子』】


現在、次回作の『卒塔婆小町』のチケット売り出し中ですが、私の関心はそれを飛ばして、10月11月上演の『はみだしっ子』に移っています。なにせ、あれだけの名作ですから、かなーり心配で舞台を見るのが楽しみより怖いくらいです。私が子供の頃に、それこそ何度も読み返して大ハマりした作品ですから、原作ファンとしての思いもあります。


本当は、もっと昔からTVドラマや映画にして欲しいと思っていた作品だったのですが、初舞台化がまさかスタジオライフだなんて。かなり複雑です。三原順さんの作品の舞台化は、2001年の『SONS』に引き続き2度目です。本当は、『SONS』より『はみだしっ子』だろうよ!とあの時も思ったですし、その声は少なからずあったようですね。


ただ上演許可が下りなかった?のか、倉田さん曰く「はみだしっ子は、(劇団員の年代に比べて)登場人物の年代が低すぎるので…。」とそこまでの情熱を感じない発言を覚えているので、まさかこんな日がくるとは思いませんでした。それこそ、2001年当時の方が絶対素敵なキャスティングができたはず!と思うと惜しい悔しい、という思いしかありません。


一体あの長編漫画のどこの部分を切り取るのか。やはり雪山事件は外せないでしょう、というのがありますが、グレアム・アンジー・サーニン・マックスの4人のそれぞれの過去も回想シーンで入れてきそうです。特にサディスティックなグレアム父や、女優なアンジーママは楽しみ。


トリプルキャスト(また思い切ったことをしてくれる)なんですが、発表されたキャストの顔ぶれを見るとアンジーが鍵を握る人物となりそうなことは充分感じられます。倉田さんもアンジーが一番好きらしいですし、原作ファンの中でもすごい人気があった少年ですから当然かな。「でも、カツラはどうするの!?あのストレートヘアは!」なんて心配もあり。


それから、いくら原作ファンと言っても、あの伝説の漫画家・三原順さんを知っているのは、40代以上になってくるのかな。動員を期待できるのかは不明です。『トーマの心臓』並みに脚本が練られていれば、口コミ&リピーターで人気が出ると思いますが、昨今の倉田さんのブレブレぶりを見ると不安がよぎります。


それにしても、松本アンジー、千葉君のサーニン、フレッシュ(新人)伊藤マックスあたりが期待かな。伊藤君は、まだお芝居を見てないのですがビジュアルがマックスって感じでした。逆に他の主要な役者については、演技は想像つくのですが、その予想を超えたミラクルを願っております。劇団としてもこの作品で”起死回生”を狙ってると思われますが…果たして。


はみだしっ子 1 (白泉社文庫)

はみだしっ子 1 (白泉社文庫)

現在は、こんな地味な装丁になってしまったのですね(涙)。それこそ名作中の名作。埋もれて欲しくない素晴らしい作品です。ライファーなら絶対読んで欲しいですね。