雅・処

好きなアイドル・俳優・映画・演劇などエンタメ一般やスポーツについて自由に語ります。

「Happy Families」 X'masイベント 久保・田中休団

ハピファミ こんな話だったっけ?

昨年末の東京遠征から1ヶ月以上も経ち、取り上げるのも今更すぎるのですが、やっぱり備忘録として少しだけ書いておきます。ウエストエンドにて17年ぶりの再演となった『Happy Families』。私が見たのは、G.B.V組千秋楽。久保メリックと曽世アランのカップルのほうです。


思えば17年前の公演のハピファミは、強烈な印象を残しました。曽世メリックの淡い黄色いVネックセーターが今でも目に焼き付いてますし、石飛スベトラーナのボブヘアに憧れて「あの髪型にしたいなあ」と写真持って美容院に行こうか、と思った記憶が。


まだ在団中だった高根アラン、深山トビー、舟見サフロン。それぞれが生き生きと演じていて、調和がとれた配役だったこと。倉本コスモの破天荒なアドリブに笑い続ける石飛さん。


石飛さんがタバコをくゆらせながら、幕間に作っていた珈琲の香り。曽世&高根ゲイカップルの眩しい存在感。そして、そんなプチエピソードを超える衝撃のラスト。あの衝撃が忘れられず、スタジオライフの作品群の中でも、比較的細部まで覚えていた芝居です。DVDなんてない時代だったので、映像が残ってないのが残念でなりません。


そんなハピファミ、だいぶ待ちましたがようやく再演になりました。男役を久しぶりに見た(?)気がする久保君のメリック。若い!普通にイケメンの青年でした。芝居も危なげなく、色気は少し不足しつつも、これはこれでいいか、という感じでした。


吉成サフロンと千葉トビーは、まさに期待通り!配役を知って、この2人なら間違いなし、というくらいハマっていましたし。舟見サフロンより若干オテンバ感あって元気のある吉成君と、深山君よりもちょっと繊細な千葉君。難しい年頃の少年少女を余すところなく演じておりました。


曽世さんは2人の子供を持つ父親としても貫録ありましたし、歳の差カップルの久保君とも似合いで、スッキリ見やすかったです。そして、今回一番印象的だったのが、スベトラーナとメリックの育った家庭環境でした。ナチスの親衛隊で下働きをしていた*1という父親の存在。


以前の公演では、アランの家族とメリックの関係性が刺激的すぎて、メリックが父親へ抱く嫌悪や不寛容、そしてゲイという自分の立場を認めない父親への反発などの複雑な気持ちが根底にあることを見落としていたのです。歳を取ると同じ劇でも視点が変わってくるものなんだなあ、と我ながら驚きました。


石飛さんのスベトラーナは、そんな父を養護して「だって、仕方なかったのよ。父はそれでも私達に良い暮らしをさせてくれたじゃない?」とメリックへ語る。この辺り、戦争を挟んで被害者よりも加害者と糾弾される側の辛さが滲んで何とも言えない気持ちになりました。


後世に生まれた私達は、結果にしか目がいかないので、結果を知らずに必死に生きてのびてきた人々へも時として攻撃的になりやすい。彼らの過去や人間性すら全否定してしまうことすらある。でも、彼らの人生も果たして全てが間違いだったと責められるのだろうか?


劇中で戦争を取り上げるとき、(まだ客観的に見られるため)ナチスは描きやすくでも、日本だってそうバックボーンは変わらないんだよなあ、と頭の中でぐるぐる考えてしまいました。スベトラーナが慕う父親と、第三者には明白な戦争犯罪者として糾弾される父親の存在が二層構造のように重なって。


更にメリックの視点に立てば、アランとの小さな幸せを連れ子の子供たちにかき乱されるだけではなく、トビーの投げた球によって帰らぬ人となってしまう恋人アランへの想いと、(トビーの罪をかぶって)自首しようとする自分、凄まじい展開になっていきます。


アランの遺言は、確かに「息子への愛や許し」だったかもしれないけれど、巻き込まれて不幸になるメリックは?それは親子の情愛なのか、しがらみなのか?更には父を失い、父の恋人に罪を押し付けることになってしまうトビーの心は壊れてしまわないのか?


本当に、衝撃的で救いのない話です。なのに、とても胸にジーンとくる、またしばらく経って見たくなるお芝居なんですよね。久しぶりにこれがハピファミの魅力だよなあ~、と感じた一作でした。


楽の挨拶で千葉君だったと思いますが、「僕のこの年代で、この作品に出会えて本当に良かったです。」と心からの笑顔で答えていたのが印象的でした。若手にとっては、「こういう作品こそ血となり骨となるすごい良いチャンスを貰ったよ、キミたち」と、まるで演出家目線で思いました。


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2018 X’masイベント

次の日は、クリスマスイブで昼のイベントにも参加してきました。私にとっても、かなり久しぶりのイベントでした。ウエストエンドは、座布団席でぎゅうぎゅう詰め状態。この状態で2時間くらい我慢なので楽しいイベントとはいえホントにシンドイし、ツライ。


結構年配のファンも増えてきて、足腰弱くなってるので、いろいろと考えて欲しいものです。とはいえ、役者が空いている席へ、引導してくれるサービスはさすがです。こういう痒い所に手が届くアプローチは、商業芝居だけやってる役者にはなかなかできないだろうなあ、と。


前説の段階で、伊藤君が何回か言い間違いしていて、かなり緊張のご様子でしたが、持ち前の可愛らしさと先輩達の助け舟でカバー?してました。司会2人は、誰だったっけ?ド忘れしてしまいました(汗)。


今回のイベントの趣旨は、Xmasということで劇団員が代わる代わる、オリジナルのX’masプレゼントを持ってやってくる、という設定でした。最初がマッキーこと牧島くん。マッキーオリジナルのキャラクターをお絵描き教室していました。最近は、制作に転じてしまってから舞台で見られなくなり、寂しかったので嬉しい。


次は若林君・澤井君・翔音君で、トナカイとサンタクロースに扮して登場。若さゆえの勢いでネタはイマイチな(笑)なぞなぞ遊びをして帰っていきました。


その後、新人チーム(Jr.14-16とかフレッシュの面々)恒例のハンドベルで「きよしこの夜」の演奏。1回目は途中で失敗し、仕切り直して2回目で完走。過去には、Jr.6とかJr.7とか何度か聴いてきた出し物だけに、これぞスタジオライフと心が和みました。


大ウケだったのが奥田君と小野君のちょっとチンピラ風な二人組。奥田君の即興歌がメチャクチャで可笑しい。歌いながら、稽古にわざと台詞覚えないで行って、倉田さんに言われた「芝居ナめてんじゃないわよ!」で会場大爆笑。


セッキー(関戸博一)と宇佐見君のアコースティックギターによる歌も良かったです。二人とも歌がなかなか上手だし、高音がよく伸びる宇佐見君の歌声にはシビレました。ずっと聴いていたいくらい気持ち良かったですね。


ラストに久保君、曽世さん、石飛さんのインタビューでしたね。曽世さんが「長らくどの作品も良いから一番好きな作品は選べません、と言ってきましたが、スタジオライフで一番好きな作品は、このHappy Familiesです!」と断言していたことだけ覚えてます。


ああ、もっとメモしておくんでしたね。かなり忘れている。。。

久保君、田中君の休団

つい先日届いた会報で、かなり驚いたのは久保君と田中君の休団でした。田中君は影絵への参加ということでまだなんとかライフと繋がっていると思えるものの、久保君は新しい分野へ目指す、みたいな書かれ方だったので、全く違う世界への挑戦なのかもしれません。


そうなると休団といっても、実質退団に近いのでは、と衝撃2倍です。いやあ、ようやく育ってきた矢先にこれはツライなあ。正直、集客的にも劇団的に大きな痛手となるはず。美貌のヒロインが演じられる数少ない役者だったので。映画とかテレビとか映像系への活動を考えているのかも、と思いましたが、全くの他ジャンルということもあり得るし。


退団後、2.5次元の舞台にコンスタントに出演続けている荒木君や三上君のように、演劇系やミュージカル界だってないわけではありませんが、久保君の夢や趣味が分からないので皆目見当はつきません。


ただただ残される劇団のほうは、溜まらないよなあ~な感じ。せっかく育てても、すぐに退団されてしまうんでは。かといって、いろいろと規模も縮小していく一方だし、ファンだって増えてはいない気もするので、時流に逆らっても仕方ない、と。一体いつまで劇団も公演を打てるんだろう、とかそういう不吉なこともそろそろ頭をよぎりますし。


とにかくも、まずは小手先で誤魔化す(イベント増やすとかタダ券バラまくとか)のではなく、一作ずつ、地道に、丁寧に、良い作品をやっていくことしか生き残りはありません。見てもらってナンボですからねえ。諸経費かけても行きたくなるような作品を作っていただくしかないでしょうね。

*1:詳しい仕事は、記憶違いかもしれません。