雅・処

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演劇界の若きプリンス? 藤原竜也

今や有名すぎる若手俳優の藤原竜也君を初めて見たのは、『身毒丸』を15歳で演じた初演の舞台でした。


涼しい瞳をした非常に幼顔の少年で、一目見ただけで「これは見逃せない!」と思ったものです。あまり演劇など見てない頃でしたから、蜷川氏演出のこの『身毒丸』は、いかにも”日本の演劇”というイメージのちょっとオドロオドロシイ世界に思えました。


継子の身毒丸と、買われてあてがわれた母撫子との壮絶な愛(これが一見分かりにくい)の物語。ある時は思慕の表情、ある時は憎悪へ、と移ろう心を持て余した少年、藤原君はそれを体当たりで見せてくれました。'02年の再演時には、これがすっかり「男と女」に見えてしまった(汗)のだから、この頃から藤原君はフルスピードで大人の役者へと脱皮していったのでしょう。


初舞台のすぐ後に出演したTVドラマ『凍りつく夏』も忘れられません。女主人公は、エリート商社マンの男性と結婚し、連れ子3人と暮らすのですが、父親は密かに子供達を虐待している。藤原君の演じる末っ子の少年は、非常に感受性が強く優しい子なのですが、心に闇を持っており、実母の死を招いたのも実は・・・と、そんな複雑な役どころでした。


きらめくような笑顔や寂しそうな表情、更に感情が高まって泣き出す(まばたきもせずに涙をボロボロこぼしてる)のを見たとき、「さすが並の子役の演技じゃないわー」と感心したものです。この頃は、”ママっ子”をやらせたら竜也の十八番か、とさえ思いました。

【 舞台の上で光を放つ! 】


友人がファンということもあって藤原君の舞台は『近代能楽集』('00年)『エレファントマン』('03年)を見ており、TVでも『ハムレット』『ロミオ&ジュリエット』を最近見たばかり。更に『近代能楽集』再演を現在、また見に行ってます。「なんだ実は意外と藤原ファンかい(笑)?」と自問しちゃうほど舞台の彼は好きなよう。(反面、TVや映画はほとんど見てませんが)その『ハムレット』ですが、放送直前に放送されたWOWOWの特別番組がなかなか興味深かったです。


蜷川氏と藤原君の対談の中で、『ハムレット』に取り付かれ、毎日、台本の全ての台詞を言い終わるまで街を徘徊していたということで、「気がつくと(今日は)渋谷に居た」なんて話す藤原君。私は、芸術に尋常でないくらいのめり込んで、ちょっとイッチャッテルかも?(笑)という人がとても好きなので、また少し藤原君が好きになってしまいました。


但し、蜷川氏独特のハイテンションの芝居や、映画・TVでの差しさわりのない演技も、「果たしてこれが彼の真骨頂なのか?」と、まだしっくりこない感じがします。それから、藤原君てどういうわけか恋愛モノがあまり似合わない気もするんですねー。鈴木杏ちゃんと恋人同士が2回続きましたが、いかにも「振舞ってる」という気がして、頑張れば頑張るほどどうにも違和感を感じてしまいます。


歳の割に老成してるせいなのか、恋に狂う藤原君が想像できないせいか。まだ年上の女性(または男性)にいじられて居た方が似合うと言ったら失礼・・・でしょうね、やっぱり(笑)。


久しぶりに見た『近代能楽集・弱法師』*1の俊徳役の藤原君はとても可愛かったです。やっぱりこの役の彼が私は一番好きかもしれません。好き勝手な暴言を吐いたり、周りを煙に巻くように気取ったり、激しく叫び、わめき、慟哭し・・・でもコロっと転じて甘えるところなど、つい術中にハマッてしまい、まさに適役という感じ。


真っ白いスーツに盲目の青年姿がとても眩しく美青年(むしろ美少年と言ってもいいくらい)ぶりが映えます。火に目を焦がされ、空襲の地獄絵に狂わされ、心を閉ざしてしまった俊徳は、藤原君の肉体を借りて不思議に生き生きと輝いておりました。


 ただ上手いだけの役者にはならんでよー to 竜也


藤原竜也×白石加代子 身毒丸ファイナル [DVD]

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再演盤がDVDになってます。じっくり見直すとやはり壮絶な演技です。

藤原竜也写真集 twentyONE

藤原竜也写真集 twentyONE


写真集です。

*1:三島文学の”美しい日本語”の台詞にウットリ。