これぞ、青春映画の傑作!・・・でしょう
誰でも経験がある、初恋(片思い)を描いた傑作映画が『渚のシンドバッド』です。世に言うありきたりな青春映画ではありません。これは男の子を好きになった男の子の映画なのです。
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主役は、この映画が初出演だった岡田義徳君。そして、準主役ともいえる印象的な同級生の少女役に浜崎あゆみちゃん。今思えばすごい顔ぶれだったのですが、岡田君は橋口亮輔監督曰く、「ふにゃふにゃしてた感じが良くて」採用された(笑)少年でした。まさか、現在のような個性派俳優に育つとは、夢にも思わず。
彼の演技は、そのなよなよさが(笑)、「これ、本当に演技じゃないんじゃないの?」と思うほどリアルでした。対する浜崎あゆみちゃんの個性は、こんな小さな映画の中でも卓抜の光を放ってます。ドラマ『未成年』*1でも目を引いた独特の強い瞳とふと見せる消え入りそうな寂しげな表情も残しつつ、この映画では周りを引っ掻き回すクセのある女の子役として目が離せない存在でした。女優として、この先楽しみだなあ~、と思っていたのは監督だけではなかったはず・・・。
さてこの映画は、ごく普通の田舎町で起こる出来事で構成されてます。友達の吉田君(草野康太)に本気で恋してしまった伊藤君(岡田)。まさかそんな思いを打ち明けることもできず、ただ自分の想いを噛み締めている伊藤君に果沙音(浜崎)は、外野からちょっかいを出して次第に伊藤君の心を解き放っていきます。そんな果沙音も実は過去に痛ましい事件を経験していて・・・。
ありふれた高校生活で、よく見かける光景の中に、伊藤君の想い、果沙音の想い、そして周りの友達の想いが交錯してラストまで一気に駆け抜けていきます。'95年にミニシアター系で公開されたこの映画は、ロッテルダム国際映画祭グランプリなど数々の映画賞も受賞しています。
日常のささやかな一瞬を切り取りつつも、際立って良質な日本映画だと思います。最近DVDが発売されて大感動でした。登場する少年少女と年代は違うけれども、この映画の中には私自身の<青春>もある気がするんです。
【お気に入りの橋口亮輔監督とは】
とにかく橋口監督は、私が今、1番敬愛する監督です。彼の素晴らしいところは、この映画にも沢山散りばめられている、感情や行動のたまらないリアルさです。登場人物の一挙手一投足に、まるで自分がそこで見ていたり、体験しているような実感が湧き上がるのです。
また描かれる人物も決して甘ったるくなく、どこか冷静で現実的なのです。それでも、ほんわかとした優しい空気が映画を包み込んでおり、まさに橋口監督自身がそういう人なのだろうと思ってしまいます。
他の監督に、ありがちな上から人物を見ているようなさもしさ、あるいは、妙に若者に迎合した勘違いの甘ったるさ、などが無いんですね。それはとりわけ、”女性”を描いた時の視点の確かさに象徴されます。彼の代表作3本「二十歳の微熱」「ハッシュ」にも共通ですが、主人公を取り巻く女性の(時に救いようのないほどに)リアルさには脱帽してしまいます。
あまりに感心したため、とあるトークイベントの時に監督自身に女性への演出法について質問をしたことがありますが、「特に男性・女性と分けて演出してはいないです。ごく自然にやってます。」と回答をいただきました。そんなところでまた一段とゾッコン(笑)になってしまいました。橋口フリークの私としては、次回作が待ち遠しいものです。
※今度は、女×女編行きます!(予告してどうする(笑))
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