雅・処

好きなアイドル・俳優・映画・演劇などエンタメ一般やスポーツについて自由に語ります。

2006年宝塚版『ベルサイユのばら』〜湖月わたる

来年はマリー・アントワネット生誕250年ということで(なにやらこじつけに近い気もしますが)、宝塚で『ベルサイユのばら』が公演されます。その前哨戦?という感じで今秋、星組による全国ツアーおよび同一演目での韓国公演が決まってます。ひとまず10/1の市川公演を見に行ってきての感想を書きたいと思います。


今回の公演では、「フェルゼン&マリー・アントワネット編」ということでスウェーデンの貴公子フェルゼンとフランス王妃の恋を中心に取り上げてます。昭和版、平成元年版をテレビで見て、生の舞台は、『ベルサイユのばら2001』の星組・宙組版を見て以来ということでしたが、どちらかというと「オスカル(&アンドレ)編」よりも気に入ってる話です。しかし、原作漫画からはかなり話がかけ離れてる部分が多く(特に後半は)、これはいいのかな?と思うことも多々有ります。しかし、その分、宝塚的トンドモ発想(笑)が数多くまぶされており、冗長な場面を除けばファンとして見るにはそれなりに楽しいかも・・・と。


ファン内では食傷気味な作品で「またベルばら〜っ!?」という声も少なくありませんが、いざ見てみるとこれが結構引き込まれる魔力もあり、それが動員が落ちない魅力なんだろうなあ、と感じたり。絢爛豪華な衣装と意味不明なくらいゴージャスなセット、すでに宝塚の歌舞伎と言っても過言ではない大時代的な台詞回し、それに加えて絶妙の配役(これが一番コワイ)と話題は満載です。今回は、アントワネット作曲の新曲も登場する、という有り難いのかどうか不明なネタもありました。

【 魅力の新生星組トップコンビ 】


さてこのベルばら、星組男役トップ湖月わたるさんと新娘役トップ白羽ゆりさんでお披露目となりましたが、当初の想像以上にわたるフェルゼンがよろしくてかなり満足しました。とにかくこの方の持ち味は熱い!アツイ、暑苦しいくらい(笑)の熱演ぶり。今のちょっとクール系トップの中で異例な、抜群の情熱ほとばしり型で、これが私的には好きなポイントです。また娘役を相手にしてのラブシーンには、すでに女を感じないほどの野郎系フェロモンが高く、毎度のことですがなんだかとてもつもなくウットリしてしまいます。


'97年に初めて宝塚を観劇したときもわたる君の出番は一瞬でしたが、際立った男っぷりが印象的で、その後も何気に気になる存在で、実は一番見てる回数が多い男役も彼女かもしれません。


相手役の白羽ゆりちゃんは、試行錯誤中で台詞回しや語尾にはちょっと耳障りな部分もありましたが、美しさは抜群で透ける様に白い肌と正統派で可憐な娘役でありながら、少し大人の部分も表現できて及第点でした。特にフェルゼンを思い、愛に溺れて心を痛める様が、とても情感があり、自然に感情移入できました。


とにかく二人のラブストーリーに重点が置かれすぎなため、お約束的に挿入されている「今宵ひと夜」「バスチーユ」の場面が無残にカット、大好きな「駆けろペガサス」*1のシーンもなく、オスカル&アンドレは偶然居合わせたかのような超”脇役”扱い(原作ファンなら怒るかも)に目が点になりました。ただし、物語的には、若干弱いかもしれませんが、本公演での冗長すぎる説明台詞がカットされた分、スピーディーで見やすいベルばらにはなりました。昭和版であった「仮面舞踏会」のシーンが冒頭あってそれはとても嬉しかったです。


フェルゼンと王妃アントワネット、オスカルの想いが交錯する重要な場面なんだな、と見て理解できました。また、今までより少し凶暴さ?を増したスウェーデン騎兵と「剣の舞」のシーンが立ち回りっぽくアレンジされており、軍服姿のわたる君に良く似合ってました。ラストシーン、監獄内での王妃との別れの場面は、宙組バージョンよりずっと好きになりました。


2001年版和央ようかさんの演じたフェルゼンは気品と美貌の上では一枚上ですが、あまりにクールな演技で、断頭台へ向かう王妃を命がけで救いたい、という情熱があまり感じられず、「これじゃあ、泣けないわ・・・」と愕然としたので。平成版フェルゼンの熱い演技を何度もビデオで見返していたので、余計にそれが強かったのです。セリ下がりができない地方のホールなので、わたるフェルゼンが苦悶する様がなんとも魅力的でした。


来年、本公演の完全版で、(他組スターの特別出演となる)オスカルや安蘭けいちゃんのアンドレが加わってどう変わるかがまた楽しみです。なんと言っても私は、わたる君の「駆けろペガサス」*2が見たーい!!それにしても冒頭まピンクの衣装と白タイツ、白い可愛いすぎる靴を履いたわたる君はなんとも微妙な(笑)麗しさでした。

A Good Fellow‐Wataru Kozuki In N.Y.―湖月わたる写真集
A Good Fellow‐Wataru Kozuki In N.Y.―湖月わたる写真集
典型的なヅカスターの写真集。素顔に髭付は、衝撃でした。

*1:池田理代子さん自身も気に入ってるそうです。

*2:動かない馬車&後ろに動く風景映像というかなりキワモノの演出ですがなぜか面白い。