雅・処

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韓国旅行記 〜宝塚韓国公演(3)〜 神様が舞い降りた魅惑のショーの世界

sugiee2005-11-18

引き続き、第2部のダンシングショー『ソウル・オブ・シバ!』の感想です。これは11日(初日)と13日(千秋楽)を取り混ぜて書きます。
プログラムの内容は、全国ツアーと中盤まで同じですが、大きく変わったのがシバ役をトウコちゃん(安蘭けい)が演じたことと、後半に男役の黒燕尾シーンが追加されたことです。また、龍星組のレオン君(柚希礼音)が参加して華やかさがアップしたところです。


ベルばらと同様、オープニングの挨拶はわたる君のアナウンスから始まりました。以後は、ショーのプログラムタイトルに合わせて記憶を辿ります。

このショーは、最初舞台の上に白い二つのダンシングシューズが乗っていて、そこに真っ白のスーツに帽子を被ったわたる君が何気なく登場するという一風変わった始まり方をします。トップスターがすたすた歩いているのですから、知らないで見ると「?」となります。初日はやはりその人影がフェルゼン役を演じたわたる君だと分からない観客も多かったようで比較的静かでした。スポットライトを浴びた時にちょっと驚きの声があがってたような。ひとしきり気持ち良く踊ったあとに静かに去っていくわたる君。しかし、千秋楽ではすでに登場の時から怒涛の大歓声が起こってました。

ソウル・オブ・シバ

そして芝居には出演してなかった、別格2番手、歌の実力はピカ一のトウコちゃんがシバ神で現れます。ゴールドに光る衣装と羽飾りのついたバンドを頭に捲き、まっすぐ前を向いて堂々と歩いてきました。すでに馴染みの安定感のある歌声がホール内にふわっと響いてきます。彼女の声は、ドッシリとした低音ですが、意外に透明感のあるとても爽やかな声なので、同じ役を演じた轟悠さんの威厳のある歌声に比べて、非常に耳障りが良くて気持ち良いのです。しかし、今回の公演では本当に待ちに待った存在で「よっ、大将、待ってました!」とでも掛け声をかけたくなる気分でした(笑)。何せ参加した男役達の中で全く歌に心配の要らない”歌い手”さんなので、彼女レベルが2,3人いたら本当に良いのに・・・と思うくらいでした。初日ではすっかり”神様”に浸っていた(?)彼女も、千秋楽での悲鳴に近いほどの声援にはきっとビックリしたでしょうね。


そして御大将・わたる君がゴールドの衣装で現れて星組全員でオープニングを盛り上げていきます。必ず手拍子の起こるシーンですが、今回も初日から観客達が楽しそうに手拍子を打ってました。2・3階のお客さんの拍手がワンテンポずれて聞えるのは、ドーム効果で反響しているからなのでしょう。盛り上がりどころで、わたる君が客席前方を駆け抜けていきます。千秋楽では上手前方*1に韓国人ファンが沢山座っていて、白い紙で作った星マークを顔や髪の毛につけてやる気満々、かなり盛り上がってました。わたる君もすぐ気がついたようで、気のせいか熱い視線(笑)を何度も送ってました。とても嬉しそうだったので、このまま観客席を2周くらいまわるんじゃないか(汗)、と思ったくらいです。

憧憬

トウコちゃんが幕間に去るのと入れ違いに大真みらんちゃんが舞台端に現れて、若々しい足取りでタップを踏みます。場面がガラリと変わってブロードウェイの街角、タップが見せ場になる楽しいシーンです。靴磨きの青年レイク(わたる君)の前に華やかに現れるレディ・ホワイト役のとなみちゃん(白羽ゆり)。「ごきげんよう」の歌詞を「アンニョン・ハセヨ〜♪」と歌って、場内最初の大歓声。その後はタキシードを着たプロデューサー・ウッディ役のしいちゃん(立樹遥)がニコニコ笑顔でレイクとやりとりするシーン。全国ツアーでも必ずお国方言で盛り上がったこのシーンは絶対韓国語のアドリブでくるな、と予想していたのですがやはり出ました。レイクにお札を渡しながら、「これでプルコギでも食べてきなよ」それを受けてのレイクは「ラッキー!」の変わりに韓国語で答えてましたね。この部分が2日目は、「これで済州島にでも行っておいで」になったそうです。楽には「これで(日本に)宝塚を見においで!」で大爆笑&拍手で大盛り上がり。


その後もダンスシーンが続くのですが、細かいところで韓国語の単語を飛ばしまくるわたる君。楽のときは客席のあまりに熱い反応にフル回転となって、もう誰もわたる君を止められなーい(笑)状態でした。ただでさえ、いつもそのタフネスぶりに驚くトップスターさんなのですが、今回は本当に凄かった。1秒たりとも気を抜かず、サービス満点、投げキッスを飛ばし、首の後ろにまで目があるのではないかと思うくらい体中からほとばしるエネルギーで観客の反応を受け止めてる感じでした。

進展

私がこのショーの中で最も好きだったのが、バーで黒タキシード姿で踊る男役達のシーン。安寿ミラさん振付のセクシーで大人なダンスの数々は何度見ても魂が抜き取られます。これを見た方はもう語るまでもなく、納得していただけると思います。本公演ではレオン君の3回転ターンが見られてゾクゾクしたのですが、全ツと韓国公演はみらんちゃんがターンしてました。またここでのスズミン(涼紫央)の足上げともったいぶった(やりすぎてメロディーとズレてましたけど・・・)ソロのフレーズもなかなか気に入ってます。特にワル達を追っ払う時のダンスシーンは圧巻!ものすごい速さで平行移動し、ターンする男役達、ホントかっこいいーーーー!これです、これを見て下さい、韓国の方々!って感じでした。

ショーの中のショーの場面という二重構成。ウッディの「レディース&ジェントルマン」の掛け声が響きわたりますが、舞台は空っぽ。視線をどこに向けたらいいの?とキョロキョロしているといきなりスポットライトが客席を照らし、紫の総スパンコールを着たトウコちゃんが陶酔の表情とポーズを決めてすぐ横一直線上に立ってました。どっひゃーー!これは腰が抜けるほどの驚きました。そして初日は私と同様、ホール中が波立つほどに驚嘆の声が。(これがあるから宝塚は面白いのです(笑)。)


初日は「どうだ」とばかりに涼しい顔だったトウコちゃんですが、千秋楽ではこのシーン、かなりの見ものでした。彼女が暗闇の中を移動してくる頃から、登場を知って早くもキャーキャー騒いでいるファン達、ポーズを決めて歌い出しを待っているトウコちゃんですが、ものすごい歓声が巻き起こり、なかなか静まらないので、うっすら微笑み、ポーズを決めた両腕を広げて「押さえて押さえて」のしぐさをします。やっと静まった一瞬を捉えて激しく「コパカパーナ♪」と歌い始めるその姿。これぞ、スターの証!駆け出しの若手スターには絶対真似できないわぁ、と脱帽しまくりでした。


そしてレオン君のあぶなすぎるお御足、すみれコードギリギリ(笑)のレオタード姿がひらひら舞い踊るロケットシーン。黒鳥の姿で踊る20名ほどの娘達、その中央でひときわ長く虚空を舞うレオンの長い足に目が集中してしまいます。本公演より遥かに長くソロで踊っていたのですが、同じくらい男役での踊りのソロが見たかったな・・・とついつい思ってしまいました。

嫉妬 〜 闇

このショーの中でもかなり好きな場面が”嫉妬”のシーンでした。歌が渋くてカッコよくこれをトウコちゃんの歌で聴けなかったのはかなり残念。しいちゃんは人の良さがどうしても前面に出てしまうのであまり敵役?は向きではないのですが、頑張ってましたね。タッパがあるのでわたる君に蹴りを入れるシーンは、キマッてました。そして、ボコボコにされて激しく慟哭するわたる君に、シバ神が現れて救いを与える、この場面の歌もかなり気に入ってます。そちらのほうはトウコちゃんが噛み締めるように(説得力ありまくり)歌い上げてくれたので、すっかり癒されてました。

やがて星組全員が白い衣装で歌い踊る幻想的なシーンへ。 

韓国歌謡 「会いたい」

薄いブルーの衣装に着替えたトウコちゃんが、「アリラン」のメロディーに合わせて現れます。ここまでのショーの流れとは全く違う、アジアンなムードが漂って、それが「会いたい」*2のフレーズに変わると劇場内からどよめきが起こりました。


このソロは、私にとっては初日の方がものすごく印象的だったのですが、トウコちゃんが韓国語で(→なかなか綺麗な発音だったそうです。)、悠然と歌い上げていくにしたがって、観客の反応が驚きから感動へと転換していったかのようで、次第に客席が一体となっていくような不思議な空気に包まれました。最初のサビを歌い終わった後の、怒涛のような盛り上がりと拍手。異邦人の私でもトウコちゃんを包み込む韓国人のお客さん達のあの圧倒的なパワーには眩暈を覚えました。舞台の上のトウコちゃんは、それを身体いっぱいに受け止めて昇華し、またいっそう見事に歌い上げます。文字通り鳴り止まぬ拍手。


海外公演では、現地の歌を歌って盛り上がることはよくあると思いますが、なんというかもっと素直に純粋に、まじりけのない”歌そのもの”が深い感動を引き起こしている、という瞬間に出会えたような気分でした。間奏で娘役が現れ、トウコちゃんを囲んで(韓国でお馴染みの)円形になって扇*3をヒラヒラとさせて踊ったのですが、そこでまた温かい拍手が起こってました。


 
 左右に置かれた字幕用スライド。
 台詞や歌詞の他に、安蘭けい(歌唱)とか
 湖月わたる白羽ゆり(ダンス)などと表示されました。
 (この画像は、キョンちゃんより貰いました。)

黒燕尾 〜 デュエットダンス

さて最高潮と言ってもいい盛り上がりの後で、星組男役達の黒燕尾シーンが韓国公演ハイライトとして追加されました。黒燕尾が入る!と日本で噂に聞いてから猛烈に楽しみにしていたのですが、海外公演でも珍しい(?)階段を使用した本格的な黒燕尾のダンスで、真四角から逆三角形に体列をちゃんと変えたりして、「ザ・タカラヅカとでも評したくなるような見事さでした。しかも、たっぷり長めのダンスシーンです。黒燕尾が出てくるだけでいつも客席でめくるめく快感に酔いしれる(笑)私としては、意識不明にならないのがやっとのことでした。それでも初日はやはり記憶が定かでありませんでした。これまた文句なし!いやあ、貴方達、なんなのそのカッコよさは〜!特に楽での気合の入り方は凄かった。「アタシ達のカッコ良さをしっかり目に焼き付けておいて」と言わんばかりで激しく踊る男役達には、心底シビレました。。。


定番「すみれの花咲く頃」が転調していきアリランになる、という噂だったのですが、どうしてもその曲がアリランには聞えなかったのでキョンちゃんに聞いてみると、アリランではなくノ・サヨンの「出会い」という曲だったそうです。そんな風にリアルに確認できるのは、ありがたかったです。


続いて純情少女漫画の世界、ちょっとクサめ(笑)の演技が光るデュエットダンス。となみちゃんのお披露目として、昔の恋愛映画の一シーンのようなストーリー仕立てになっていて、なかなか素敵でした。全国ツアーにはなかった、わたる君のリフトシーンがあります。身体には大変だと思いますが、わたる君と言えば豪快なリフト、のイメージが強いのでこれはとても嬉しかったですね。ここに至って彼女を”女”として見ているお客さんは、誰一人としていなかったのではないか(笑)と推察してしまいました。

チケットリンクの観劇コラムにあった「わたる、どうして貴方は”本物の男”じゃないの・・・。」というあまりに実感のこもったフレーズとシンクロしてきますね。

フィナーレ

エトワール(ちょっと感じが違いましたけど)は、トウコちゃん。その後、いつものフィナーレに突入していきました。しいちゃんも赤い大きめの羽を背負ってました。一仕事を終えて充実した表情のジェンヌさん達の笑顔はとても輝いておりました。

わたる君の最後の挨拶は全て韓国語。彼女の持ち味である愛嬌満点の笑顔としぐさは、いつの間にか客席の観客達も魅了してしまったようです。初日は緊張と興奮のあまり、暗記していた韓国語が後半かなり飛んでしまったようで、「参ったな〜」とテレ笑いをしてたわたる君、あまりに人間味溢れる表情の連続で、客席も大爆笑になりました。しかし本人は必死に思い出そうと焦っていたのは間違いなし。


視線を上に向けて、学生が分からない単語を一生懸命思い出そうとするように途切れ途切れに言葉を探している様子。(しかしどうしても見つからない)えーい、とふっきって「カムサハムニダ!」と大声で締めちゃったところでまた大爆笑。本当に、わたる君を韓国に連れていったのは大正解(笑)。これだけ、会場を沸かせるのは、まさに一種の特技でしょうね。初日から熱いオールスタンディングが展開されてました。


千秋楽では、挨拶は完璧に言えたものの3回目のアンコールで感極まってしまったわたる君が「もう話せる韓国語が一つもありません!・・・ありがとうございました。」とちょっと切なそうに叫んでました。そのまっすぐな態度が韓国のファンの心を動かしたようで一層大きな歓声が巻き起こってました。たとえ言葉が無くても真心は通じるものですね。。本当に宝塚スター達のみならず、韓国のお客さんにいっぱい感動をもらった公演でした。

長い長いレポでした(フーゥ)。しかし、まだまだ続くんですね、これが。

韓国旅行記~宝塚韓国公演(1)~
韓国旅行記~宝塚韓国公演(2)~ いよいよ初日開幕!
韓国旅行記~宝塚韓国公演(4)~ 韓国人ファンの熱いソウル
韓国旅行記~宝塚韓国公演(5)~  韓日ファンミーティング
どうなる宝塚韓国公演 - 雅・処
宝塚韓国公演 プレレポ ~公演までの道のりから~ - 雅・処

*1:私の前の方の席でしたので良く見えました。

*2:TVドラマ『天国の階段』のテーマ曲、歌はキム・ボムス

*3:ここでは白い羽を手に持ってました。