雅・処

好きな俳優・映画・演劇などエンタメ一般やスポーツについて自由に語ります。

貫禄の新トップお披露目 ~瀬奈じゅん~

宝塚月組の新トップスター、瀬奈じゅんことアサコちゃんのお披露目公演の2回目を17日に見てきました。トップ就任直後、梅田芸術劇場で『アーネスト・イン・ラブ』は写真で見ただけなので、実のところ、お披露目と言ってもだいぶ経ってようやく見られたなあ、といった感じです。先月見た初見では、お芝居の方がかなりの’凡作’・・・(汗)と思い、2度見るのをためらったものの、幻想的なショーのシーンが忘れられず、やはり見に行くことに決めました。


芝居は『JAZZYな妖精たち』・・・タイトルからして意味不明です、どの辺がJAZZYなんでしょうか?(笑)とにかくお芝居の中でアイルランド移民の苦難を織り交ぜているというところから、アイリッシュ・ダンスから始まります。このダンス、これが今回一番の見せ場でした。アイリッシュ・ダンスというのを実際に見たのは初めてでしたが、なかなか魅了されました。


上半身を使わずに足だけで踊るダンス、という説明を聞くとナルホドと納得しますが、タカラジェンヌの細くて長い脚から放たれるステップは美しく、躍動的でしたし、直線や曲線を描いて隊列を変えていく精巧さにも感心。硬い靴音がタップダンスにも似て心地良く響いてきました。最近の宝塚では、未体験のダンスを披露する場合、世界各国から一流どころの講師を招いて(突貫工事さならがら)集中レッスンで覚えることが多いので、ジェンヌさん達も大変でしょうね。全くもって頭が下がります。長めのプロローグですが、衣装もシンプルですが麗しく、アイリッシュな風が吹いて本当に楽しかったです。


アサコちゃんと同様に、彩乃かなみちゃんの娘役トップもこの公演がお披露目でした。花組時代の『ルードヴィヒ』で一目惚れ(笑)して以来、かなみちゃんは最もお気に入りの娘役でしたが、宙組へ異動してからはあまり縁がなく、久しぶりに再会してやはり変わらず大好きな娘役さんだ、と実感できました。歌声のなーんと綺麗なこと!また彼女の1番の長所は芝居巧者なところで、物語の弱さを補ってしっかり泣かせてくれました。アサコちゃん演じる主人公パトリックを少女のような夢見る瞳で見守り続ける童話作家シャノン役で、明るいけど芯の強さも持つちょっと理想的すぎる(笑)女性役。


下院議員候補のパトリックは、その後、思わぬトラブルに巻き込まれ、シャノンも白血病で1年余の命と宣告されます。そこにアイルランドから移民として一緒にアメリカに入国した幼馴染みの3人、殺し屋のウォルター(霧矢大夢)、新聞記者のティモシー(大空祐飛)、警察官のミック(月船さらら)が絡んできます。幼い日々の思い出と絡んで芸達者な(笑)妖精達も登場するのですが、これは正直ちょっと収拾がつかない感じでした。


今回の芝居では、最後に5人がお互いを想って語るシーンが私的に最もオツなところでした。それも役だけではなく、この5人の本当の個性の違いだとか関係性を少しでも理解しているともっと楽しめるんではないかな、と勝手ながら感じてしまいました。割と同じような色合いを持った生徒さん達が集まってる組もありますが、月組は昔から良くも悪くもなんか個性がバランバラン(笑)で、そこが面白いところだったし強みだなあと、とつくづく感じました。なんてことない台詞のやりとりがやけに琴線に触れました。

【 派手なショーは気持ちがイイ 】


ショーはとにかく贅沢至極な電飾の数!!ビカビカです(笑)。セットも普段の公演より一層豪華な気がしました。派手で大好きな群舞もたっぷりありますし、男役の黒の衣装(黒地に金の文様が入って、袖口からヒラヒラレースのぞいている衣装)が、とにかくカッコイイし、砂漠のシーンはとても幻想的で夢のように美しい。お約束の黒燕尾シーンも長い!最初から最後まで幻惑されまくってました。その分、人数にものを言わせてる部分は多分にありましたが(笑)。


アサコちゃんは最初から最後まで、とにかく妙に貫禄がありました。数年前までは(失礼ながら)「本当にトップになれるのかな〜?」と思うくらい、フレッシュ君ムードが漂っていて、ここ最近ではかなり違和感を感じそうなトップお披露目公演だと思っていたのですが、どうしてどうして実際に見てみたら全くもって「アンタが大将!」で、まったく危なげないパフォーマンスを見せてくれました。それと彼女には”真琴つばささん時代の月組”を彷彿とさせるムードがあって、「ああ、あの月組が帰って来たわ〜」「これは先が楽しみだわあー」とワクワク。都会的な鮮やかさを持っている上に、組子への愛情も一際強い彼女ですから、きっと彼女の下で下級生はグッと成長できるでしょう。


世代交代もあるのでしょうが、今までなかなか目の出なかった(?)月組の下級生達の出番も増えてましたし、いつの間にかすっかり縁の下の力持ち、になってるユウヒ君や、存在感が倍増しているキリヤン、何をやっても達者なホックン(北翔海莉)にもそれぞれ目が行きました。


中でも、今回の公演で退団するさららん(月船さらら)に何度か想いが飛びました。月組へ異動してきてからどうにも’浮いてる’感が抜けなかった彼女。どこかしらカラ廻りしてる気がして見てて落ち着かないジェンヌさん、と苦手意識があったのですが、今回は芝居でもショーでも目が離せないような強い”光”を放ってました。もちろん当人にしてみれば宝塚最後の舞台ですからそりゃあ気合も違うでしょうけれど、もっと前から彼女の’持ち味’を生かせる役に出会っていたらもう少し違っていたんじゃないかな、などと惜しむ気持ちが強くなって、そんな自分にも驚きました。これが宝塚マジックなんでしょうね。


最近、アサコちゃんの次の中日公演『あかねさす紫の花』がとても見たくてたまらなくなってきて、頭を悩ませております。アサコちゃんの大海人皇子、文字通り「当たり役」だと思います。

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 ◆ステージ写真:ENAK SUMiRE STYLE 月組「JAZZYな妖精たち」「REVUE OF DREAMS」東京公演STAGE GRAPH

 ※画像は、東京宝塚劇場内に飾られているクリスマスツリーです。