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雅・処

好きな俳優・映画・演劇などエンタメ一般やスポーツについて自由に語ります。

哀愁の人間模様 春野寿美礼「Appartement cinema」

花組春野寿美礼主演『Appartement cinema』を見ました。宝塚観劇は実に2ヶ月ぶりでしたがその間、ほとんどその世界を離れて過ごしていたので、久々の再会となり逆に新鮮に見ることができました。


2ヶ月前、『落陽のパレルモ』で宝の持ち腐れ気味(?)だった、まとぶん(真飛聖)がこの芝居で持ち味全開!やたら安定感のある寿美礼ちゃんはもちろんのこと、ユミコちゃん(彩吹真央)との三つ巴がとても美味しい作品でした。初のトップとなった桜乃彩音ちゃんも、ヒロインというには少し影が薄いものの、初々しくとても品があって良かったです。


あらすじ:”殺し屋ウルフ”(春野)は、重病で余命いくばくもなく、最後の安らぎを求めて組織から逃亡し、ホテルに身を潜めている。その一方で、わがまま放題の女優アンナ(桜乃)を追いかけたり、薬を届けてウルフの身を案じる弟分オーランド(まとぶん)を焦らしたり、屈託ない姿を見せてつかみどころがない。そんな折、ウルフが殺しを請け負ったレオナード=スタン(彩吹)が記憶を失って現れ、ウルフとの間に不思議な友情が芽生え始め・・・。


メインの3人も含め、ホテルの人々の群像劇もあり、ちょっとしたどんでん返しもあって、これが初の脚本となる稲葉先生については、「なかなかやるなあ」と思わせられました。コジャレたシーンや若々しい遊びの部分で楽しませ、かつスクリーン映像*1も見せて刺激を与えつつ、宝塚の根底に流れる「渋くてカッコイイ男役」もちゃんと見せてくれます。


実はこの芝居、初めて見たとき、Studio Lifeの2005年新人公演『ホテル・ボルティモア』を連想させました。舞台の大きさもストーリーも全然違いますが、古いホテルを舞台にワケ有りの人々がホテルに集まり、そしてまた去っていく・・・という、オーソドックスな流れが共通しています。またホテルという空間をメインにしてるため場面展開が少ない、映像を適度に使用するなど、どこぞの舞台で見たような演出(Studio Lifeに限りませんが)もあって、結構外の舞台で見たものを取り入れているんじゃないかしら?と思えました。

花組のゴールデントリオを堪能 】


個人的にとってもヒット!だった3人。最近の寿美礼ちゃんは、自分の歌への自信がみなぎっていてもうどうとでも料理してやろうという感じで歌ってますね。一人だけ次元が違う完成度の高さ、で聴いてても気持ち良いことこの上なし。そして、彼女の持つ「孤高の男」オーラは今回も健在。日常では生命力が溢れまくりでありながら(笑)何故か舞台の上の寿美礼ちゃんは「静かに破滅(死)へ向かう」ようなカゲのある男役、が似合います。いつもラストシーンでは、笑顔で”哀しみ”の余韻を残していく人だなあ、と感じてしまいます。


そして「アニキ〜!」と慕うまとぶんは、星組時代から持っていた熱血さに時折、クールさも織り交ぜた演技をして寿美礼ちゃんとの呼吸が見事。バッテリーというか、恋女房と言っても過言じゃないほどに似合いすぎの二人です。寿美礼ちゃんの芝居は、自分の思い描いた”美学”を貫くような強引さで突っ走ることもあって、それが相手役次第では受け止めきれない時があるのですが、まとぶんは、妙に包容力があってガッチリ受け止めてくれるのでとても心地良く見ていられました。2人のシーンが本当にハートフルになっていてどんな隅っこに居ても光を放ってます。


”永遠の優等生”ユミコちゃんも今回は今までより一歩進んだ感じがしました。彼女はどこまでも上品なムードがありますが、それなりの苦悩や怒りを抱えてるのが静かな演技の中ににじみ出てきて、目を引きました。寿美礼ちゃんとがっぷり組んだ芝居が出来るようになっていたのが良かったです。二人が心を通わすシーンは、互いに理解し合ってる雰囲気が充分に伝わってきて見ごたえありました。あずき色のジャケットが良く似合う!と、これもポイント高かったです。


まとぶん、ユミコちゃん、寿美礼ちゃんがトライアングル状態で歌い継いでいくところがなんと言っても圧巻。こんな骨太な歌声を堪能させてくれると見る甲斐もあるものです。久しぶりにまとぶんを見た友人が「いやあ〜花組に行ったら歌上手くなったんじゃない、まとぶん!」と感心していて、楽しく盛り上がりました。


宝塚GRAPH (グラフ) 2006年 04月号

宝塚GRAPH (グラフ) 2006年 04月号


最新号のグラフ、表紙は春野寿美礼ちゃん。

*1:芝居でやらずに、宝塚の手法としてはちょっと卑怯ですが(笑)。