雅・処

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麗しの朝海オスカル!「ベルサイユのばら〜オスカル編」観劇記(2)

引き続き「ベルばら」の感想です。まずはなんと言ってもコムちゃん(朝海ひかる)のオスカルから。期待を裏切らない素敵さ、で大満足でした。


実のところ、オスカル登場シーンでは、かなり顔がヤツレていたので「今が一番キツイ頃かな〜」などとちょっと心配してしまったのですが、それを気迫で押し切っておりました。さんざん「漫画から抜け出てきたような・・・」と評されていた、コムちゃんの”ビジュアル”、これはもう文句のつけようがないです。


原作の漫画はともかく、宝塚史上稀に見る”当たり役”ではないでしょうか。*1「ベルばら」が今後、今後も数年ごとに再演されても、コムちゃんのオスカルは忘れることはないと思います。これは湖月わたる君のフェルゼンにも言えますが。(と、すでに早くも伝説にしてたりする。)


おまけに普段のコムちゃんには細すぎる、と感じてしまう体のラインが、軍服というコスチューム*2にカバーされ、上から下までピッカピカ、”歩くお人形”状態です。赤の軍服から仄かに匂いたつ色気と部屋着のフリフリブラウスの愛らしさまで、お約束とはいえ(笑)素晴らしい似合いぶりでした。


もちろん、いつもの硬質でドスの効いた声を自信たっぷり響かせ、本人がオスカルファンということも手伝って気持ち良く”なりきって”演じてるのが分かります。過去のスターさん達と同じ台詞を語っていても、コムちゃん流の味付が微妙に入っていて、バスチーユ以降は一層盛り上がりました。特に絶叫&嗚咽シーンは素晴らしい・・・の一言。オスカルの魂が乗り移ってるかのような熱演を見せてくれました。線は細くても、中身はとても逞しいオスカルでした。


もう一つ、今回最大(?)の見せ場になっていた、「ペガサスに跨って空を飛ぶオスカル」。これは大ウケ、拍手喝采でした。

①アンドレがウットリとした表情で「俺には見える!」と独白
②”愛の肖像♪”がバックに流れ始める。
池田理代子先生原画のオスカルの巨大な肖像画が舞台を埋める。
④絵がだんだん透けていき、オスカルを乗せたペガサスが羽ばたく。
⑤イラストと同じ衣装で絵の中から飛び出していくオスカル。
⑥ペガサスの翼が羽ばたきながら、オスカルがゆっくりと上下に移動
⑦満面の笑顔で「わが名はオスカル」を歌うコムちゃん
⑧最後に剣を振り上げた途端、金の紙ふぶきが噴出

「2階のお客さんと目線が合うの」とコムちゃんが言ってた通り、確かに2階から見たほうが高さを感じて楽しめました。クレーンさえ見えなければもっと良かった。これぞ「ケレン」の醍醐味!それにしてもペガサスに乗ったコムちゃん、もはや人間ではないくらい一体化して見えました。このまま本当にフィギュアで発売して欲しい・・・と思ってしまいました(笑)。

【 もう一人の当たり役、水アラン 】


今回、雪ベルばらを一層盛り上げてくれたのが水夏希さん演じるアラン。配役発表の段階で「これは見ものだ!」と思ったのがこの役。もう誰が見てもピッタリ!と分かると思いますが、これまた久世星佳さんやまとぶん(真飛聖)とも違う、まさに荒くれ隊士を生き生きと演じてくれて、見てる間中、ニヤケまくりでした。特にディアンヌへの”口は悪いが心の優しい兄さん”ぶりなんぞたまりません。水さんがアランか、アランが水さんなのか、と錯覚するほどに素敵でした。


惜しむらくは、アランの見せ場が少なかったところ。平成月組バージョンでは、『恋に破れたディアンヌの自殺で、失意のどん底に落ちるアラン。そのアランの元にやってきたオスカルがディアンヌを悼んで(ディアンヌが憧れていた)金髪の巻き毛を一房剣で切り落とし、アランに渡す』という、強烈に記憶に残ったシーンがあったので、このシーンが入ったらどれだけ良かったことか、と残念でならなかったです。アランのオスカルへの仄かな恋慕を暗示するこのシーンを水さんだったらどんなに魅力的に演じられただろうか・・・と想像すると「ああ、惜しい〜」と唸りまくり。

【 悲喜こもごも・・・雪組ベルばら 】


今回、まーちゃん(舞風りら)のロザリーのシーンが入ったために、「一体これは何の話なの?」と戸惑う部分がかなりありました。ロザリーに罪はありませんが、展開に無理がありすぎ、なのです。比べてばかりでは悪いのですが、平成版に比べて物語全体の出来栄えは6割程度ではないか、と思います。長い説明台詞どころか、意味不明な場面が沢山入ってしまったというところが質を落としてました。


その代わり、衛兵隊のシーンはかなり楽しかったですね。大好きな「我が祖国フランス♪」のシーンは、2001星組バージョンから加わったシーンですが、今回は雪組の総合力を利用し、隊士の家族・恋人の娘役達を加えての素晴らしいハーモニーが展開されました。魅惑の声の持ち主、美穂圭子さんが途中歌い出したあたりから、心が揺さぶられて滂沱。それにしても、出来不出来の激しい脚本でした。そういえばフェルゼン編には、ジャンヌのシーンが無かったのが惜しまれます。あの合唱も怖くて(笑)とても好きでした。


そして、ねったん(夢輝のあ)演じるジェローデルを見て以来、この役の魅力にすっかりハマった私は、カシちゃん(貴城けい)のジェロ様にアンドレ以上に期待しているのですが*3、役替りで壮一帆ちゃんが演じました。壮君も大のお気に入り男役なので楽しみでしたが、さすがに若々しくて爽やかで、まだ人生経験が足りないかも・・・(笑)と感じてしまいました。やはりこの役は、シンプルだけれども”大人の男の包容力”を感じさせてくれないと物足りませんね。

 「受け取って下さい。ただ一つの愛の証です。」
ああ、この台詞をカシジェロに言われたら、客席で卒倒しそう・・・(笑)。

◇産経新聞:SUMiRE STYLE 2006 華麗に、かれんに朝海オスカル
 → 空飛ぶコムオスカルが楽しめます(笑)。


ベルサイユのばら特集本 (1) (宝塚ムック)

ベルサイユのばら特集本 (1) (宝塚ムック)


今年の「ベルサイユのばら」の主役、コムちゃんとわたる君。おかげで夢の世界を最高に楽しめました!

*1:安蘭けいちゃんのオスカルも評判だったようですが、未見のため、私の中では今のところ№1です。

*2:白が基調だと幾分、ふくよかに見えてしまいます。

*3:カシちゃん自身もカシちゃんファンもジェローデルが一番好き、だとか。