雅・処

好きなアイドル・俳優・映画・演劇などエンタメ一般やスポーツについて自由に語ります。

劇団スタジオライフと運命の出会い、『黒いチューリップ』

それはちょっとした運命?

私が男性ばかりの演劇集団であるスタジオライフを知ったのは、『トーマの心臓』再演の頃('97あたりか?)だと思います。JUNE誌に小さくポスターが掲載されていました。とっても気になったのですが、そのポスターがあまりにも「ニューハーフのお店、新装開店」風*1で怪しかったので、気になりつつも足を運ぶことはありませんでした。


後からファンの友人各位に聞くと、皆同じことを思って観劇を躊躇していたそうで大爆笑となりました。あのポスターのおかげで強烈に”異色の存在”が頭にインプットされたものの、それがために敬遠していたのですから「あの頃、もったいないことしたよねー」です。


2000年8月13日、運命のその日、私は理由も無くどうにも芝居が見たい気分でした。どっぷり宝塚にもハマっていたので、その余韻をかったまま、体が空いた状態だと落ち着かない状態だったのかもしれません。チケットぴあの店頭でぴあ誌をめくって今週上演予定作品に何かないか、と探してました。しかし、あいにく「見たい!」と思う芝居が見つかりません。


そこで唯一、とっても気になったのがスタジオライフの『黒いチューリップ』の写真。ドレス姿で美しく着飾った貴婦人の装いの団員の小さな写真に何度も目が留まります。何度もやっぱり止めておこうと、ページを行きつ戻りつつ。ようやく決意したものの「ああ、こんなアヤシイ劇団見に行くなんて~(汗)。」と失意に襲われます。それでも怖いもの見たさも手伝い、意を決して池袋の芸術劇場小ホールへ向かいました。


その日は、『黒いチューリップ』の大千秋楽でした。劇場内は、想像していたアングラ系の暗いムードもなく、いたって普通でした。*2入り口の物販コーナーでは、劇団員のブロマイド写真とTシャツ(女装した麗しい及川健氏のプリント付、買えば良かったな~。)というレア商品が飾ってあり、むしろ「なかなかノリが良いなあ・・・」と好感度が増しました。


ラッキーなことに千秋楽でありながらも(見切れ席のためだと思いますが)前から4列目ほどに座ることができましたし、空席も決して少なくない状態で今から思うと信じられないのどかさでした。セットは、木組みで2階部分を作っただけのシンプルを通り越して”簡素”なものでした。

【運命はここから始まった】


芝居の冒頭で村人達が客席からドタドタと騒ぎならがら駆け込んできました。不思議なことにそこからわずか5分くらいで、私はこの劇団のファンになることを直感し、すでに次回も見たい、とまで思ってました。長年、自分という人間と付き合ってきて「己の直感は信じるべし!」がモットーなのですが、このときの会場に漂っていた独特の空気感は、他の舞台で一度も感じたことのないもので、私を包み込むように優しく甘やかな誘惑に満ちていました。


肝心のお芝居のほうは、オランダを舞台にした文学作品ということでいたって健全な作品でした。黒いチューリップを作る”チューリップおたく”の青年(山崎康一)が陰謀に巻き込まれ、無実の罪で投獄されてしまい、そこで看守の娘と恋に落ちる、という作品。ピンクの可愛いドレスを着た少女を劇団屈指のプリンセス・及川健氏が可憐に演じてました。


少々すきっ歯*3なことを除けば、巷の女の子以上に小柄で、ピンクの靴を履いた脚もとのホッソリとした様子とキュートな表情にすっかり目を奪われてしまいました。彼があまりにも”美少女”でしたので、何の違和感も感じません。ちょい役で出演していた高根研一さんやオレンジ公の笠原浩夫さんも無意識にインプットされており、さすがにイイ男は見逃さない、なんて(笑)。


たった1回の観劇なのですが、妙に集中して見ていたようで、今でもシーンがフラッシュバックしてきます。ラストで見せる及ちゃんのウエディングドレス姿は、かなりインパクト有でした。この時は、山崎さんの芝居巧者ぶりと及ちゃんの麗しさ、それが一番感銘を受けた点だったのですが、後から別キャストが曽世海児岩崎大コンビ、と知ってこちらのキャストも見たかったなあ、と思いました。


曽世さんというのは、ちょっとキツネ系のちょっと変わった顔立ちで貴族姿はどうか・・・?と思ったのですが会報での山崎さんのやり取りを見ていて、会話でもかなり機転の利くタイプのようで興味を持ちました。大ちゃんについては、写真で見ると背も高く、ニューハーフみたい、とか思っていたのですが、本人が後日、トーク

 「この芝居で初めて父親が見に来てくれたのに、自分はウェディングドレス着てて『俺こんな姿で、いいのかな~』と悩みましたね。」

という面白いエピソードを話してました。ちなみに岩崎・父のその後のコメントは無し、だったそうです。そんなエピソードを聞きながら、彼はごくフツーの男の子なんだな、と思ったものです。


そんなこんなで芝居が終わるやいなや、即FCに入会するという電撃的な展開になりました。とはいえ、その時はなんか面白そう、という予感程度のもので本当にハマったのは、その年の暮れの「訪問者」&「トーマの心臓」の連鎖公演からなのですが。


黒いチューリップ (創元推理文庫)

黒いチューリップ (創元推理文庫)

こちらが原作です。

*1:綺麗なお兄さんもいるんだけれど、漫画を意識しすぎたポーズがちょっと・・・(汗)。

*2:なぜか少しだけ期待を裏切られたような気分でしたけど(苦笑)

*3:その後、無事に歯は治療されて綺麗になりましたね。