雅・処

好きな俳優・映画・演劇などエンタメ一般やスポーツについて自由に語ります。

’06『トーマの心臓』Bチーム観劇記(1)

奥田ユーリの苦悩・・・?

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 喋りたいんだ、喋らせてくれないか・・・ (by オスカー)

まさにそんな感じでとめどなくトーマレポが溢れる昨今。私にとってこの作品を見ることは、即ち”巡礼”に等しいこと。かといって「本当に原作の意味合いを100%理解しているのか?」と聞かれたら、「どうなんだろうか・・・。」と悩んでしまったりもします。自分自身の”魂の浄化”として、ごくごく個人的に楽しんでいるというところでしょうね。


とにかく毎回、気持ち悪いくらい涙を流しているので(汗)、見終わると頭がグラグラしてしまいます。でも、「泣ける作品」なんてお安い宣伝文句で語りたくはない、そんな矛盾とせめぎ合い。そんなことをつらつら考えつつ、Bチームの初見となりました。


【 主要キャスト雑感 】


Bチームの注目は、今回初の抜擢となった、奥田努君のユーリ。見る前に想像していた奥田ユーリを良い形で裏切ってくれたら嬉しいと思っていたのですが、やはりまだ硬い。何か特別な「殻」に覆われているような感じがしました。


そこがユーリという役の個性とぴったりくるならば怖いものなし、の魅力となるのですが彼自身がまだこわごわと演じてるところがあるようで、飛び出してくれるまで時間がかかりそうです。千秋楽までイイ形で出てくれたらいいのですが・・・。


元々、奥田君は昔から安定感があって、非常に裏切らない演技をする人。激情に流されそうでその一歩手前で立ち止まるような用心深いところがあると思います。


そこが私にはいつも物足りないところでした。彼自身、スタジオライフ特有の”耽美性”とか、”アチラの世界”を垣間見る時のちょっと脆かったり甘かったりする部分を頑なに拒絶してるようなところ*1があり、どうしてこの劇団に長らく留まっているのか不思議に思ったりしたものです。


もちろん、嫌いな役者ではないのですが自分の資質と劇団のムードが一致しないので、こういう畑違いの役者がいることの面白さはもちろんあるですが、一方で本人にとっての違和感はないのだろうか?とずっと思っていました。一度、プロボクサーの試験を受けるために休団したのも、自分を見つめなおす意味もあったのではないか、と邪推していたほどです。*2


芳樹君の自虐的ユーリとは違って、己の感情を窮屈なほどに押し込めて仮面の下に生きる奥田ユーリ。その方向性は、彼の持ち味からすると納得する部分があり、ユーリとしてもとても新鮮に目に映りました。


ただ、後半のトーマへの愛、悔恨など吐露する場面がなんかまだしっくりこないんです。迷いが感じられて、役にのめり込むほどの余裕すらない感じ。奥田君自身がまだ”闇の中”に居るような感じがして少しもどかしいです。


奥田ユーリがあまりに抑制されているので、対するオスカー(曽世海児)が飛び抜けてしまってます。パワーの違いすぎが曽世オスカーをこの上なく目立たせてしまってて、一体主役はどっち?となってしまうのです。曽世オスカーは向かうところ敵無し、むしろまんま本人になってないかい?と。(笑)


ある意味、笠原オスカーとは別な方向でアプローチしていて3年前よりもっと確信を深めているのが、人間の成長を感じさせて楽しいです。「泣きの曽世節」も健在で、過去話を展開するときの一人語りの見せ場はほとんど独壇場。つくづく器用な人だ、と感心することしきり。


基本的に周りに気を配りすぎる繊細(というか神経質?)な一面も持っている人という印象なので、オスカー役だとシッカリ者ぶりが余計に出てしまいますけど。


エーリク(三上俊)。松本慎也君同様、ライフの娘役路線を担う?期待のホープなだけに、ルックスは言うことなし。むしろ、パンフレットの売り子をしていたときのほうがそのキュートさにメロメロになってしまってましたが、台詞のキレの良さは並じゃないです。


”えも言われぬムード”や”哀愁”となると松本君に軍配は上がると思いますが、持ち前の素直さは彼の強み。まだ台詞を言うことに神経を使ってるところだと思うのでもっとエーリクという役柄を自分に近づけるようにできたらいいんじゃないかなあ、と思います。


終わりにサイフリート(岩崎大)。久しぶりに大ちゃんに二重丸!たまにドラキュラ伯爵がシンクロしてくる瞬間もありましたが(笑)、まずは楽しそうにサイフリートを演じていて良いです。出てくるだけでパッと明るくなってしまうのがサスガ。妖しさよりもナルシストさよりも、サドで攻めてくれてスッキリ。


背格好も好ましい高さですし、眼光も鋭く、台詞回しも工夫の後あり、想像以上の出来でした。やっぱり私は大ちゃんの悪役はとても好きです。って締めになってないかも?!

*1:いわゆる硬派な人というイメージ

*2:その時は内心戻ってこないんじゃないか、と思っていました。