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雅・処

好きな俳優・映画・演劇などエンタメ一般やスポーツについて自由に語ります。

映画『王の男』

12月9日の公開初日以後、1週間経ってようやく見ることができました、イ・ジュンギ君の『王の男』。予想したセンセーショナルな歴史劇、長年の禁忌を破ったキケンな試み・・・というのにはやや薄く(日本のあらゆる芸術文化作品に蔓延する倒錯美に慣れてしまったせいでしょうか・・・汗)どちらかというとまっとうな人間ドラマでした。


あらすじ:16世紀初頭。旅芸人のチャンセンとコンギルは、ある事件がきっかけで大都市漢陽へ繰り出し、一稼ぎを試みる。そこで彼らを待ち受けていたのは、暴君・燕山君(ヨンサングン)と王宮の人々。不幸な生い立ちから笑うことを忘れた王に命がけの芸を披露し、逆に王の芸人として寵を得る。なかでもコンギルの不思議な美貌は、ヨンサングンを強く惹き付けていた。しかし、王の面前で芸を披露するほどに、宮廷の澱みきった膿が次々と暴かれ、血が流れていく。やがて破滅の時が芸に生きる二人にも迫っていた。


この映画の見どころはやはりチャンセン、コンギル、ヨンサングンの心の動き。しかも3人共、自分の心情や本音をあまり吐露しないので、運命に弄ばれて当人達の予想もしない方向へ流され、やがて自滅していく様が描かれています。宮廷内の重臣達、女性達の描き方がやや平板で動きが少ないため、その辺りはダイナミックさに欠ける気がしました。ドラマ「チャングム」の方がよほど権謀術数に溢れているかも?

【韓国で超ヒットの話題作】


韓国での公開直後から大いに話題になった同性愛コードの映画ですが、日本人の私からするとすみれコード*1ギリギリくらい(宝塚ファンなら分かるでしょう(笑))の描写ではないかな?と思いました。しかし、それだけにメインの登場人物3人が言葉に出さずにひたすら”目で語る”演技がとってもイヤラしく、いえ妖しく(笑)実に正統お耽美ムードを醸し出していて終わってから妙に後を引きました。


コンギル役のイ・ジュンギ君もインタビューで「いろんな解釈がある映画だけれど、同性愛ではない」と言い切っているくらいです。いやそこまで言いきらなくても、コンギルへ向けられたチャンセンの激しい親愛の情や王の熱っぽい瞳は、充分に「理屈では説明のつかない想い」を現していて、見ごたえがありました。まるで三角関係のようでギリギリのバランスがたまりません。


むしろ男同士の複雑な想いが交錯する世界を、本心では拒否しつつ(表向きは、と言っておこうかな)魅了されて演じているからこそ、微妙な色香が出てくるのでしょう。これをもし日本人がやったら、きっと狙い過ぎて別なものになってしまうかもしれませんね。今のご時勢だと喜んでやってしまう男優も多そうだし・・・(汗)。


それにしても、何故コンギルは王の元をなかなか去れなかったのでしょうか。王への愛か同情か、自らの保身か。想われる者の辛さか・・・その辺りの葛藤が分かるような分からないような「女(男)心って辛いわね〜」と勝手な解釈で楽しんでいました。そして最初から最後まで艶っぽいコンギルの”誘いかける眼差し”もたまりませんでした。


何本か韓国映画を見てきて、さらにこの映画を見て、いつも感じることが2つ。1つは、韓国の役者さんって素顔の写真はいまひとつピンとこないものの、映画で演技をしている顔は別人のように魅力的になる、ということ。顔に迫力があるのは確かでしょうが、演技力やカメラワーキングの為せるものか、美男美女に限らず、役者本人の最大限の魅力を見せてしまうマジックがあります。


もう一つは、バイオレンス性。激しい民族性もあるのだと思いますが、とにかく韓国映画は”痛い”。比較的香港映画もそうですが、肉体的に痛い描写が必ずある、ということ。喧嘩・暴力シーンにしても、戦や刑罰にしても「イタタタ・・・」と思ってしまうほどリアルで強烈。バイオレンスが苦手なだけにいつも思います。


コンギルも女形をやったり奥ゆかしい部分もありますが、必要以上にナヨナヨはしてなくて案外にバンカラなところもありました。それはともかく王宮での衣装の美しさはなかなかのものでした。綺麗なおべべを着せられたジュンギ君はまるで人形のようでかなり目の保養にもなりました。


「王の男」は、もともとは舞台版からヒットした作品で、そちらは映画とはまた違った観点−王とコンギルの描写が強くなっている−で描かれているそうです。映画では、曖昧に描かれていた部分をもっと突き詰めて知りたいなあ、と思いました。


王の男 (角川文庫)

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まず手始めにこれから攻略するか、と。

韓流次世代スター読本 ケイ・プラス〈Vol.5〉

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イ・ジュンギ君の単独写真集か「王の男」ムックを切望中。

*1:宝塚の清く正しく美しく、にふさわしくない禁止事項を言います。たまに過度のエロスもこれにひっかかります。