雅・処

好きなアイドル・俳優・映画・演劇などエンタメ一般やスポーツについて自由に語ります。

「ちびっ子歌合戦常連者」から演歌の新星に!北山たけし


昨年の『紅白歌合戦』を見てるうちに、「そうそう、この人を確認しなくちゃ」と思い出した男性歌手がおりました。その名は、北山たけしさん。2年前の紅白を見た時に「あれ、この人どこかで見たことがある!」と思って気になっていました。紅白以外のTV番組では間違いなく見たことがない(まして普段聞かない演歌ですから)はずなのに、何か脳裏に引っかかってしまったのです。


もしやもしや・・・と思いながら確認もせずに、2年目の紅白を迎えてしまったのですが、今度は名前を確認しました。「北山たけし・・・うーん、覚えが無い(汗)。」もしやと思い、ネットで調べてみると、本名の渡辺毅という名前が出てきました。そして、'80年代前半にちびっ子歌合戦で何度も優勝していることもプロフィールに書いてありました。


 「やっぱりそうだ、”あの子”だったんだ。」


密かにささやかな感動を覚えた一瞬でした。思い起こせば'84-85年頃、よくテレビで「ちびっ子歌合戦」番組が放送され、楽しく見ていました。ビデオを買ってもらった頃なので、いろいろと録画して遊んでいたのですが、その時にいくつかの「ちびっ子〜」も録画していました。そしてそこには、いつも11歳頃のたけし君(→ひとまず子供時代を思い浮かべてこの呼び名を使わせてもらいますが)の姿があったのです。


黄色や青色の着物に袴姿で「風雪ながれ旅」「まつり」といったサブちゃん(北島三郎)の歌を必ず歌いまくる少年。おかっぱに近いストレートの黒髪、眉の上で切りそろえられた前髪、ちょっと上を向いた鼻筋を力ませ、頭を小刻みに揺り動かして、懸命に唸りながらの歌唱。その真剣そのものの表情がとにかく印象的で何度も歌を見返していました。彼だけは忘れてなかったところを思うに軽くファンだったのかも(笑)。


普通に演歌の上手な”ちびっ子”は数多く出ていたのですが、たけし君の歌い方は独特で、演歌の得意な少年のそれ、ではない。むしろ、あまり演歌向きではない高めの声を、必死に唸ってコブシを作り出しているようでした。そこまでして自分には、難しいサブちゃんの選曲する姿と、その”取り憑かれたような気迫”に気圧されてしまうのです。


そんな姿がやはり観客にも強い印象を残したのでしょう、彼は何度か優勝もしていました。優勝を告げられた瞬間、その目にはうっすらと涙がたまり、はにかんだような子供らしい笑顔を見せましたが、曲が始まるとすぐに歌の世界にどっぷり心をさらわれていってしまうのです。そして、サビの部分では一個の歌手が見せるような満足を表情に浮かべて、勝利を味わうようにしっかりと歌い上げていました。時には審査員に厳しい言葉をもらい、ジッと耐えるように聞き入っていた姿も思い出されます。


プロフィールを見ると、音楽教室を開く父親から8歳まで”発声のみ”教えられていた、ということで子供の頃から特訓していたようです。そして師と仰ぐサブちゃんの元で長い下積み*1をして、ようやく夢が叶っての歌手デビュー。そんなエピソードを知って、ようやくあの時の「あの時のあの子は、その後どうしたんだろう?」という疑問が解明しました。


ちょっと歌が上手いからと子供に大人の歌を歌わせて、TV番組に出させる親も多くいたとは思いますが*2、子供であろうとその気持ちは純粋で真剣だったのだろうと思います。その中でも、歌手への憧れや希望を持って、本気で歌手の道を選ぶ子供ももちろんいると思います。しかし、その道は”茨の道”であることが多いでしょう。


たけし君にしても、ちょっと他の子には見られないようなひた向きさと叶えたい夢があったからこそ、辛い下積みに耐えて、今があるのでしょうね。まさに演歌を地でいくような人生ですが、今後の活躍をささやかならが祈りたいです。どこかで懐かしの映像が出てこないかなあ、なんて思いながら(笑)。

◆北山たけしプロフィール:
北山たけし[プロフィール]- TEICHIKU RECORDS

たけし、一歩

たけし、一歩


とても演歌っぽいジャケットが、いいです(笑)。

*1:高校中退時に一度は断られているようです。

*2:特に難しい演歌を安易に歌わせてTV出演や賞を狙う傾向も見えて疑問を感じたこともあります。