GW中、「東京タワー オカンとボクと時々、オトン」を見に行きました。覚悟はしていったものの、オダギリジョー君演じるボク、の母を労わる優しさ、と樹木希林さん演じるオカンの自然な演技に泣かされっぱなしで、体中の水分が放出されてしまったようで疲れ果てました(笑)。
もともとこの映画、大事な親を持つ身にはヒトゴトではいられない作品だと思います。親子のささやかな暮らしと、癌にかかった母親を看取るまでを描いたものだからです。私も「ボク」と同様、世界一母親は大切だ、と思いながら親不孝も重ねていて妙にシンクロしてしまいました。老いてまた母親と同居するくだりも似てて、最後まで客観的には見られません。
ボクが東京へ出て行くシーンは、自分が上京した時の光景を思い出しました。東京タワーを始め、ちょっと前まで見慣れた街(新宿、有楽町、渋谷等)が次々と切り替わるところもやたらとリアルに思い出が浮かび、いつの間にか自分を投影しちゃってよけいに胸がつまったり。
ベストセラーの原作や、スペシャルドラマ、連続ドラマとだいぶ映像化もされていたのですが、オダギリ君の「ボク」をストレートに感じたかったので、ほとんどスルーしていました。月9のドラマ版だけ幼少期を見たのですが、とても丁寧に描いていて映画にはない描写もあったのでなかなか良かったです。
【樹木希林のオカンはたまらない】
それにしても樹木さんのオカンは、素晴らしいの一言。さり気なく可愛く、そして愛すべきオカンをこれ以上はないだろう、というくらいの圧倒的な存在感で見せてくれます。若き日のオカンを実の娘さんである内田也哉子さんが演じてますが、やはり演技力の確かさでは樹木さんがはるかに凄い。役なのにまるでそこに確かに生きている、という息づかいまで感じられるオカンで目が離せないのです。
とっぽいオダギリ君も素敵でした。なんだか根無し草的ないい加減さのある若者から、大人になってもイマイチ軟弱だけど人一倍オカンを想ってる、優しい息子役。実際に、オダギリ君自身も自分の生い立ち(母と二人暮らし)に重ね合わせているようで、芯がブレることなく、とても良い感じです。情けなくポロポロ涙を流す時の表情にかなり揺さぶられてしましました。
少年時代のボクを演じた冨浦智嗣君、ハイトーンボイスと素朴で可憐な顔立ちが気に入ってます。「3年B組金八先生」で一番小柄な生徒役で目を引き、「輪舞曲」では知的障害者を独特のムードで演じてましたが、今一番気に入ってる少年子役です。ただ、子供時代のオダギリ君とは、どの子もあまり似てませんでしたね。
パンフレットが700円でありながら、とても分厚く読みどころ満載なのに驚きました。また、チョイ役に有名タレントが多数出ていたのも驚きました。地味な不動産管理会社のオネエちゃん、が出てくるところで「似てるけど、これってまさかキョンキョン?」とビックリしたり。さりげなく、いろいろと凝ってる映画のようです。
余談ですが、”筑豊炭鉱の町並”として映画に出てくる細倉鉱山のことを母に話したら、亡くなった祖父が若い時分に1ヶ月間だけそこで働いていた、という話が出てきました。美男子で名を馳せた?ジイちゃんでしたが、一目で誰か分からなくなるくらい真っ黒になっていたそうです。本当に何から何までやたら身近に感じることの多い映画でした。
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映画に対する特集では、昔からキネ旬の記事が興味深いです。