雅・処

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スタジオライフ『ロミオとジュリエット』観劇記(1)

最も期待値が低かった演目

すっかり遅くなってしまいましたが、ようやく観劇後の感想について書こうと思います。が、その前にこの演目に対しては一つお断りを。1月のスタジオライフイベントの時に、今年の予定演目としてこの有名すぎるシェイクスピアの戯曲『ロミオとジュリエット』が発表された時、実は内心、大いなる失望に襲われました。


その理由として、まず私自身が『ロミジュリ』を食わず嫌いしていたことが真っ先に挙げられます。宿敵同士の子供達の恋愛悲劇で、結末や幾つかの台詞についても、原作をちゃんと読んだわけでもないのに何故か脳裏に入っているわけです。これまでも映画や舞台、テレビなどで限りなく題材に使われているからなのですが、その根底に”純愛””ラブロマンス”がどどーんとある、ということで私の趣向とは相容れず、むず痒くなるほどに苦手でした。


男性のみのスタジオライフという劇団の世界に、お耽美路線やちょっと変わった系統の(?)感動を求めているファンとしては、こういう”正統派すぎる作品”を何もわざわざ本公演で上演する必要があるのか?という手前勝手な論法も有りましたし、実際、同じシェイクスピアならもっと興味深く、劇団のカラーを活かせる作品もあったろうに・・・という声も多数聞きました。「やはりそう思うのは、私だけではないのね」ということで。


加えて決してシェイクスピアのような古風で勿体ぶったような膨大な台詞を安心して聞かせられる役者が多い劇団でもないので、若手の配役は見るのもげに恐ろしいものがあったのです。シェイクスピアにチャレンジするのはいいとして、もっと段階を経て、それなりに実力を蓄えてからがいいのでは?というのが本音でした。


かつて蜷川幸雄作、藤原竜也×鈴木杏版をTVで見た時、髪を振り乱しほとばしる汗をたらしながら狂ったように台詞を吐いてる姿を見て、「見てるほうが疲れそうだし、やっぱり面白さが分からないなー。」とか思っただけにそれこそ不安を通り越して、「期待しないで見よう」とまで思ってしまったのです。

【ライフ版ロミジュリ、いざ】


全く期待しないで見たのが良かったのか、意外に楽しめたのはやはりそれでもライフマジックか。まずは通路をふんだんに使って、役者達が何度も座席近くを行ったり来たりすることで、臨場感を体感できます。モンタギュー、キャピュレット家が言い争う場面では、沢山の剣士達の重い剣先*1が頭の上をかすめ、「おおっと、危ない」という感じで首をすくめる一瞬もありました。


(男優扮する)女達は、いつになく豪華な衣装で衣擦れの音をサワサワと立てながら慌しく行き来します。対する若者達は、ピッタリと細身の足を目立たせる中世風のズボンがとても似合って、「やっぱり綺麗どころは揃ってるなあ」と目の保養にもなりました。砂漠の砂をまぶしたような石作りっぽいシンプルなセットが絵本のようにパタリと開くとバルコニーが出現したり、最低限の舞台装置はいつもの通りですが、創意工夫が面白いです。


ライフ版のロミジュリでは、他の芝居よりもジュリエットの家族の描写が多かったようです*2。娘の気持ちなんて露ほども構わず、己の野心のために伯爵と結婚させようとする父親、嘆く娘を説得することもできず、かといって夫に刃向うこともできない母という描写も丁寧に描いていましたし、ロミオとマキューシオとの友情も見せるため、ロミオとジュリエットのベタなラブシーンがそこまで暑苦しく(笑)感じなかったのが何より。


それというのも理由無くいがみ合う2つの勢力の無益な諍いによって、純粋で貴重な愛が無残な最期を向かえ、全てが失われてしまった・・・という悲劇の根幹を強く描き出したかったのかなあ、と思いました。ただ後から振り返ってみると、ポイントが曖昧で、見終わってからどこに感情移入をしたらいいのか分からない感じでした。


すなわち激しく宿命の恋に燃え上がった若者二人の悲しい死なのか、二人に好意を寄せて両家の明るい未来のために尽力したつもりが悲劇を招いてしまった修道僧ロレンスの哀しみなのか、はたまた争いの果てに一人息子と一人娘を失ったモンタギュー&キャピュレット家の虚しさなのか。。。


まあ、この話は解釈はいろいろとあるでしょうし、もはや現代では想像するのが難しいほどの強烈な「純愛」なので”何か、もやっとした想い”でも残ればいいか、というところですが。なんにせよ、ロミジュリが大の苦手の”この私”にここまで”ちゃんと”物語世界を感じさせてくれた、だけでも儲けものでございます。


(2)へつづく


スタジオライフ『ロミオとジュリエット』観劇記(2) - 雅・処
スタジオライフ『ロミオとジュリエット』観劇記(3) - 雅・処
スタジオライフ『ロミオとジュリエット』挿入曲 - 雅・処

*1:よく見ると鞘に宝石なども散りばめられてゴージャスな剣でした。当たったら怪我しそうでしたし。

*2:自分では見てないので、友人談から。