雅・処

好きなアイドル・俳優・映画・演劇などエンタメ一般やスポーツについて自由に語ります。

岩崎宏美、待望のアルバム復刻に寄せて

歳をとることは悲しいし、良い事なんてそうそうないさ・・・そんなことをついつい思ってしまう昨今ですが、「長生きして(?)良かった」という出会いもあります。


素敵な友達や憧れのアーティストとの新たな出会いはもちろんですが、かつて愛聴していた麗しい歌声に再会できることもその喜びの一つです。


特に幼い頃に出会って胸焦がした歌声は、歳をとっても色褪せることなく、輝かしい光を放ってるものです。ここ数年の静かなる復刻ブームに乗って、そんな曲達がまた帰ってきてくれました。フィンガー5完全復刻、岩崎良美オリジナルアルバム復刻、と奇跡のような復刻で嬉しい悲鳴をあげていたのですが、次のお出ましは、歌謡界の大御所、”歌姫”岩崎宏美ちゃんの復刻シリーズです。


さすがにオリジナル・アルバムはン十枚という実力派歌手だけあって、復刻版や大全集は何度か再発されていたと思いますが、その中でも私が追い求めていたアルバムは、長らく漏れていました。もう二度とあのアルバムにCDで出逢えることは無いのかも・・・とため息していた日々。しかし、その願いがようやく叶いました。


もともと良美ちゃんの方にハマっていたので、宏美ちゃんのアルバムはほんのわずかしか持っていなかった上、必ずしも全てが気に入っていたわけではありません。どうやら宏美ちゃんに対する私の好みは、「思秋期」などドーンと哀しみの淵に落とされるような、泣ける曲なのです。そんなアルバムは案外に少なく、都会的でミドルポップ、という本来の宏美ちゃんの個性が生きてる作風のものが多い気がしました。


その中で、1枚熱烈に愛した作品がありました。「すみれ色の涙」がヒットした頃に発売された、『緋衣草 サルビア』というLPです。曲名が全て草花シリーズで統一され、歌詞も純日本的な美しさに溢れていました。いわゆる企画モノ、のアルバムですね。

【麗しい日本の恋歌の世界】


私のツボの一つが、エセでもいいから”和風”。真紅と書いて「べに/くれない」と読み、自鳴琴と書いて「オルゴール」とルビを打つ、この粋さ・・・ああ、ダメよ、ダメダメ(笑)。ただそれだけ、詞の世界だけでクラクラと酔ってしまうのです。このアルバムでは、全体的に哀調を帯びた「わかれうた」が多く、


 貴女を変わらず愛しているけれども、
 誰も恨まずに、
 私は一人、出て行きます


なんて日本文学調?な歌が、とても印象的に流れます。宏美ちゃんの歌の上手さと、切なく美しいメロディが追いうちをかけ、当時、何度涙を流したことか。悲恋や別れの哀しみ(→そんなものが分かる年齢ではないはずだったのだけど)を背負い、何も言わずに、一面の花畑にひっそり佇む黒髪の女性、を想い浮かべてしまうのです。


きっと私の前世は、”大和撫子”だったのでしょう。不条理に耐え、遅い旦那の帰りと報われぬ愛に悩み、子供を寝かしながらそっと涙するような・・・。(もちろん、本当はそんな女なんて大嫌いっ!)だからきっとその反動で、今の好き勝手に生きる自分があるのよね。そうそう。きっとそうよ。美輪さんなら、そう言ってくれるわ(笑)。


ま、そんなおバカは置いといて、宏美ちゃんの作品の中で本当にナンバー1に好きなアルバムでした。そして、この頃、地元の県民会館で宏美ちゃんのコンサートも見てます。最前列かぶりつきだったためか、コンサートの内容は、ほとんど記憶が飛んじゃってるのが残念ですが、幻想的なドライアイスの中からトレードマークの黒髪ロングヘアの宏美ちゃんが現れたときの神々しさを強烈に覚えています。


それにしても復刻盤CDも最近はとても凝ってますね。帯はもちろんのこと、歌詞カードは当時のものをそのままミニチュアにして、しかもCD盤までレコードの色合いになってる。昔あったレコード形チョコレートを思い出してついつい食べたくなってしまいます(笑)。


緋衣草(サルビア)+5(紙ジャケット仕様)

緋衣草(サルビア)+5(紙ジャケット仕様)


熱愛するアルバム。これ一枚だけで充分、なくらいグレード高いです。('81年の作品)



『緋衣草』の姉妹盤といった感じですが、'70年代フォークソングのリバイバル集です。こちらも名曲揃いなので購入予定です。



こちらもずっと待っていました。全体的に、香港チャイナ風でポップなアルバムです。シングルとは別バージョンの「夢狩人」が大好き。パーカッションが楽しいのです。