まずは、昨年末の『紅白歌合戦』から。いつものごとく流し見をしていたのですが、例年のように他のチャンネルに切り替えたり、途中で見るのを止めることもなく最後まで見てしまいました。自分でも驚きました。
もちろんずっと画面を凝視しているわけではないのですが、それでも目や耳に訴える演出が多く、手を止めて見入ることがありました。途中挟まれる無理やりな盛り上げ合戦やお喋りが少なく、鶴瓶さんの妙にアットホームな語りに引き込まれてしまうこともあり、長さを感じませんでした。
【ベストパフォーマー】
圧巻は、GACKTの「RETURNER」。大河のセットで歌うところまでは予想していましたが、景虎の台詞を(時代劇調で)あそこまでじっくり見せてくれるとは!また、バンドも含め、鎧武者でビッチリ固めての大パフォーマンスに、総毛立ち・・・。脊髄から脳髄までシビレが走ったほどのカッコ良さ!で骨抜き・ヨレヨレ・鼻血寸前(笑)になりました。
私的には、『風林火山』は後半からは完全に景虎側の視点になり、「おのれ、憎き武田家め!」というワケ分からない(笑)本末転倒状態だったのですが、今回の生中継で、NHKは、GACKTを”もう一人の主役”の扱いをしていたのだなあ、と確信しました。でなければあれだけのサービスショットはないでしょう。
細やかな演出とさりげなく凝りまくった映像、最後は足軽達の迫力ある眼力や雄たけびに血が沸き上がりました。あそこだけ紅白ではなく”戦国の野営地”でしたね。GACKTの景虎なりきりを見て、「いやいや本望だわ」と拝みたくなる思いでした。ありがと、ガクちゃん!
【一番、心に響いた曲は】
いくつかじっくり味わった曲もありましたが、他に歌でグッときたのは、中村中さん。紹介を受けてる時、そういえば性同一性障害ということで話題になっていた歌手がいる、と思い出しました。歌声は女性としか思えず、これが裏声なのか地声なのかとても気になりました。
そして、彼自身のこれまでの苦悩がさりげない歌詞に深く埋め込まれていて、ちょっと軽く刺されたような痛みがありました。ほとんどの歌手は、歌に”人生の悲しみ”や”歌うことの喜び”を投影していましたが、「歌そのもの」が命を持って直球を投げつけてきたのは、中村さんだけでした(私にとって)。
最近とんと流行歌を聴かなくなった私みたいな視聴者に、こういう”歌手”が発見される場、こういう”歌”が発見される場として、「紅白歌合戦はまだまだ捨てたモンじゃない」と思いましたね。何気なく1年間の流行をほぼ全て網羅してるところがすごいですし。イイモノ見せてもらったわい。
- アーティスト: 中村中,浦清英
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- 発売日: 2006/09/06
- メディア: CD
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経歴を見ると、ちゃんと才能を認められたシンガーソングライターなんだ、ということが分かります。ゆっくりまた聴いてみたい人ですね。