雅・処

好きなアイドル・俳優・映画・演劇などエンタメ一般やスポーツについて自由に語ります。

『L 〜Change The World〜』感想

封切後、映画館で見るつもりだった『L』を先日、試写会で一足先に見ることができました。正直、感想は微妙です。予告を見て「大丈夫かな・・・」と心配していた点が、悪いほうに当たってしまいました。原作から離れたスピンオフという自由度があるのに、結局それを持て余してしまったのかもしれません。


特にシナリオがダメなせいなのか、悪役キャラクターが生きてません。私が鈍いだけなのか、彼らの意図や目的が最後まで不明でした。ツメが甘すぎて矛盾だらけ。ここから集中力がどんどん低下してしまいました。


極めつけは、『リング』の中田秀夫監督がメガホンを取った、ということで、自らの得意分野を活かした(ホラー映画のごとく)グロテスクな描写が冗長、かつ必要以上に多く、何を見に来たのか分からない・・・感じでした。鑑賞しながら食べ物は食べないほうが良いかもしれません(笑)。


ハリウッド並にお金をかけた、と聞いたシーンは「これだな」と分かりましたが、だから何なのさ、いうほど危機感や切迫したムードが感じられず、最後まで映像世界に引き込まれずに疲労感だけで終わってしまいました。『デスノート』がストーリー展開と主人公に絞って面白さを出していたのに比べ、こちらのスピンオフは散漫すぎてもったいない・・・と思うばかり。


但し、松山ケンイチ君のLシーンはとりあえず全て楽しめました。彼だけが、この映画に独特の緊張感を持たせて、牽引してくれた功労者だったと思います。やはりLというキャラクターを作り上げてるから多少の無理があっても揺るがない。お茶目で可愛らしいシーンも沢山あって非常にラブリーでした。


福田麻由子ちゃんも役がどうというより、ピカ一の存在感でイイ感じになっています。人間性が未知数であったL、との友情?が芽生えていく、ところが見どころでしょうか。ストーリーにはあまり惹かれませんでしたが、ラストに呟くLの一言にはウルっときてしまいました。やはり松山君のLがあってこそ、1本の映画が新たに生まれたんだな、と実感した瞬間でした。


素材がいいのに料理法を間違えてしまった映画、と思うと残念至極です。

【浅野ッチのグローバル化


先週は、浅野忠信氏の『モンゴル』がアカデミー賞外国語部門へノミネートが決まったという明るいニュースもありました。浅野君については、以前、とある映画でファンの方と知り合い、わずかながら興味を持った時期がありました。


昔から「ミニシアター界の横綱」といった存在で、ものすごい数の映画に出演しキャリアを重ねてきているだけに、顔を見てない人はいないはず。私も浅野君主演の映画はともかくとして、脇役やら友情出演もどきも含めたら、かなりの数見ていることになりそうです。


今の日本映画界で、大小を問わず映画を中心に出演する俳優が増えているのは、浅野君の築いた道があったからこそではないかな、と思っています。沢山の若手俳優に影響を与えて、アジアの監督の作品にもどんどん出演して、とうとうアメリカにも”上陸!”ということで、本当に素晴らしいことだなあ、と思ってしまいます。


最近は風格すら滲み出ていて、老成しているように見えますが、まだ若干34歳!という若さなんですよね・・・。飄々としたムードと独特の人間くさいイントネーションがトレードマークの彼。一層のご活躍を祈りたいです。