雅・処

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大河ドラマの私流ハマリ方~「独眼竜政宗」編

最近また大河ドラマが面白くなってきました。昨年の『風林火山』に引き続き、あまり期待していなかった『篤姫』が予想外に面白くてビックリ。そして来年は、妻夫木君主演で『天地人』と、目白押し、の感があります。


そんな現在進行形の大河ドラマとは別に、3月からなんとあの独眼竜政宗』がWOWOWで一挙放送!というニュースが飛び込んできました。今から21年前、平均視聴率39%超を記録し*1大河ドラマ歴代一位となった幻のドラマです。主役、伊達政宗役はこのドラマで一躍時の人となった渡辺謙さん。言わずもがな、今や日本が誇る世界的大スターです。


このドラマ、私にとってもものすごく思い出深い作品です。最初に1年間見続けた大河ドラマは、豊臣秀吉の妻ねねを主人公にした『おんな太閤記』。豪華キャストが勢揃いし、あまりにも密度の濃い傑作ドラマであったために、大河ドラマの凄みを知り、学生だったこともあって戦国物にも著しい興味を持ちました。しかし、その後の作品はどうもいまひとつで幕末物が3年続いたこともあってすっかり見る習慣がなくなっていたのです。


そこへ起死回生のごとく、取り上げられたのが”戦国時代に遅れて生まれてきた”伊達政宗。小学生の頃、青葉城址にある政宗騎馬像を写生しながら、「一体この人はどんなサムライだったのだろう?なんで今でもこんなに地元で有名なんだろう?」とずっと謎に思っていた、その人物でした。そこから大河ドラマ予習も兼ねて、1年間私自身が政宗ブームを体感しまくり。


時流に乗っての「ミーハー根性」が一段と育まれた気がします。そこで、当時の思い出と共に私流大河ドラマのハマリ方なるものを挙げてみます。

1.原作・関連本・特集雑誌を読む


もう導入篇としては、これが一番でしょうね。もっともドラマを楽しむために原作は後から読むという手も有効です。その当時は、大河ドラマが始まる前に、山岡荘八著『伊達政宗』全巻を読破しました。これが大変読みやすくて面白かったです。歴史小説なら吉川英治氏がお気に入り(特に「宮本武蔵」は名作!)ですが、伊達政宗は、生涯がとてもドラマチックだったのでとにかく楽しめました。


関連本も多数読みました。今では箪笥の肥やしになっておりますが(汗)、鎧・衣装・調度品に観光名所まで政宗ゆかりの写真を集めた写真集が特に印象深いです。作者が変われば、同一人物に対しての見方もガラリと変わるのは当然ですが、「偉大」と持ち上げすぎたり、「尊大」と蔑んだり、あまり極端なのはよろしくないな、と感じました。


いろいろと読んでいくうちに、政宗という人は計算ずくの智略の人というより「自分から無茶を仕掛けて何度も墓穴を掘り、ギリギリのところで己の才気としたたさで乗り切っていく」破天荒な人間、と解釈しました。魅力的ではありますがそんな危ない橋から落ちないで生きてこれたのは優れた家臣団がバックで支えていたからこそ。まさに「強固な主従関係」が萌えポイント(?)だったわけです。

2.大河ドラマを毎週欠かさず見る


当時は、ビデオでしたが毎週録画して食い入るように見ていました。ドラマが始まる前に、大河ドラマの公式本を買って、「こんなすごい俳優さんが出るんだ!」とビックリ、かなり興奮しました。父役に北大路欣也さん、母役に岩下志麻さん、乳母役に竹下景子さん。政宗の右腕(家臣)には、あおい輝彦さんと三浦友和さんが扮し、しびれるような名演を見せてくれました。


子役達も頑張っていました。藤間遼太君の「梵天丸もかくありたい」が最初の火付け役。その後、(少女時代の)愛姫役の後藤久美子ちゃんの美貌に日本中が驚き、その直後に美少女ブームを巻き起こしました。政宗の実弟で、政宗に成敗される美少年竺丸役に岡本健一君。実母が竺丸可愛さに政宗を毒殺しようとした事件なのですが、これは政宗が仕掛けた狂言説もあったりして、歴史の面白さを感じます。

3.史跡めぐり


楽しさの真髄は、これにあり、かもしれません。ドラマでロケ地として使われたセットなんかに行ければより楽しさは増しますが、主人公のゆかりの地で当時を偲ぶのもオツなもの。伊達政宗の場合は、仙台の城下町自体が空襲で焼かれてしまっているため、残念ながら青葉城界隈にはあまり見るものがありません。


少し足を伸ばして日本三景・松島を訪れ、瑞巌寺やみちのく伊達政宗歴史館(政宗の一生を場面ごとに蝋人形が表現しています)など見て楽しく過ごしました。2年前久しぶりに訪ねましたが、当時よりいくつか施設が増えているなあ、と思いましたが有名観光地らしく、あらゆるものがごった煮状態です。


密かに気に入っていたのは、仙台市博物館青葉城仙台城)に向かう手前にあるのですが、政宗ゆかりの品々が飾られています。短い紹介フィルムも上映していたのですが、それが「また見たいなあ」と思わせるなかなかの出来ばえでした。いくつもの書状に見える政宗の達筆な字とマメな性分を堪能して、何故かノリで博物館の会員になったり・・・勢いというのは怖いものです(笑)。


中でも見どころは政宗の命を受け、慶長遣欧使節団としてローマへ渡った支倉常長を特集してる小さな展示室(赤絨毯でどこかヨーロピアンなムード)。江戸時代初期に何年も苦労の船旅を送り、ようやく目的地のローマで大歓迎を受けた常長でしたが、帰国後、キリシタン弾圧の時世にあってお家断絶&その後の消息不明・・・と過酷な運命に翻弄されたようです。

4.NHKスタジオ見学


そう、わざわざ行きましたよ!皆様のNHKに。とはいえ、スタジオ見学には葉書での事前予約が必要で、日にちも選べなかった(抽選だった気がします)ので、一般見学として観覧コースを歩き、一部スタジオを上から見下ろす形での訪問でした。ただただ、「ここで撮影してるんだ!」という、素朴な喜びに満たされた(→ピュアだったなあ)のを覚えています。


それから随分後のこと、友人の遠い知り合いがNHK関係者だったことから、NHKの大河ドラマスタジオ見学に連れていってもらいました。その時は、スタッフが入るようなセットのごく近くまで接近することができ、実際に3m先で役者さんが演技をする様子も見ることができました。時代劇のセットは、武家屋敷のごとく沢山の部屋で組まれており、廊下は胸のあたりに達するほど高いのに驚きました。


他のドラマと同様に大河ドラマのカット割りも細かいもので、同じ台詞を喋る役者さんがあらゆる角度から何度も撮影されていました。引率の関係者の方に聞いたのですが、大河ドラマに出演が決まった役者さんは、忙しいスケジュールの合間に”所作”の訓練などもちゃんと受けるらしく、その辺りは栄光の大河だけあって、結構厳しいようです。

5.役者にファンレターを書く


ファンレターは、いまだに苦手なんで*2めったに書かないのですが、やっぱり頑張って欲しいなあ、と思った時はペンをとります。忘れもしない某有名俳優Kさんに1度だけファンレターを書きました。当時、28歳にして二児の父親だったKさんは落ち着いた大人の男性で、大好き!と騒ぐようなことはありませんでしたが、何より歴史上の人物を全力で演じきる姿がとても眩しかったのです。


このたった1度の手紙が、どうやらKさんの後援会の名簿に登録されたようで、その後十数年にわたって”年賀状”*3が自宅に届き続けました。Kさんもその後、紆余曲折あって芸能活動も休止したり、と大変なことも多かったと思いますが、一人の視聴者にここまで永らくサービスをいただけると、どうしたって好感をいだかないわけがありません(笑)。


ささやかなおもてなしの心”こそが、忘れられない強い絆を生む、という事例かもしれません。

6.イベントやロケで出演者に会う


ま、トドメはこれでしょう(笑)。大河ドラマの一年間、ご当地であれば必ずやイベントの一つ二つは用意しているはずです。NHKもいろいろと思惑があるでしょうし、ゆかりの町では話題づくりや町おこしも兼ねて観光客を呼びたいのは当然の流れです。ロケを見るのは、さすがに難しいかもしれませんが、祭りなどに合わせてのイベントは結構、主役が登場する可能性が高い。


渡辺謙さんと妻役の桜田淳子さんも「青葉まつり」というイベントに参加したので行ってきました。この時の盛り上がりはまた尋常でなかったです。駅構内でお二人が挨拶する、というのに大量の人々が押しかけました。コンサートとかファンの集いとかとも全く違います。ドラマファンでも役者ファンでもなく、ものすごく雑多な人々が、熱にうかされたように集まっている(笑)。


この意味不明なエネルギーで人力発電ができるんじゃないか、と思わせる妙な熱さなんです。きっと「ほら、NHK大河の政宗役の人、駅前さ来たから見てきたんよ。」とか、ローカルネタにぴったしの話題でもあるし、なんだか”おらが町”の英雄さん、というような不思議な身内意識とかちょっとした晴れがましい気分とかいろいろと混じりあってる感じといいますか・・・。

7.美しい思い出となる


どこまで美しいのかは怪しいものですが、何かに夢中になることの楽しさと高揚感は、とてつもなく堪能しました。それにこの1年間、ずっと”歴史的人物とお友達”みたいな錯覚もあって歴史が楽しくて仕方なくなったものです。政宗のみならず、戦国時代には生か死か、のサバイバルの中で政治・文化・芸術にも秀でたスケールの大きい人間が沢山輩出された魅惑的な時代です。


これからもまだまだいくつかの出会いがあることを願って、楽しく見ていきたいと思います。しかし、NHK作品であっても一つの作品として他局で放送されるということがあるんですね、素朴な驚きがありました。

伊達政宗特集:天下の独眼竜 伊達政宗
 → 盛りだくさんな内容で、伊達政宗を多角的に紹介しています。


独眼竜政宗 (3巻セット) [DVD]

独眼竜政宗 (3巻セット) [DVD]


総集編DVDです。こちらはちょっと前にNHKで放送されました。完全版DVDも発売されています。

伊達政宗 (1) 朝明けの巻 (山岡荘八歴史文庫 51)

伊達政宗 (1) 朝明けの巻 (山岡荘八歴史文庫 51)


堅苦しくない文体で、スピーディに読める原作本です。

図説 伊達政宗 (ふくろうの本)

図説 伊達政宗 (ふくろうの本)


「ダテ」を生んだ?と言われる数々の歴史的遺品が紹介されています。水玉の着物がとても小さいのに驚きました。当時の武将は、155cmくらいだったらしい。

*1:今尚この記録は破られてはいません。

*2:いつの間にか批評もどきになってしまったり(汗)。

*3:FCで用意する葉書なので、直筆ではありません。