今季の初め(昨年冬)に発売された男子フィギュアスケートのファンブックをようやく購入しました。お目当ては、羽生結弦君!「紹介記事が1頁くらいかなあ〜。」と思っていたら、さにあらず。なんとカラー6頁の太っ腹特集でありました。おまけに羽生君より先に、”踊る”スケーティングに惚れ込んだ佐々木彰生君もたっぷり掲載されており、即効で買い求めました。
一瞬、「コレは私に買えと言ってる?」と問いたくなるほどで、読み応えがありました。羽生君の写真は、どれも可愛いですし(笑)満足です。まだ伸び盛りのジュニアの選手達の未来に向けた抱負を読んでいると、ことスケートに関しては日本の未来は明るい、と思ってしまいます。高橋選手、織田選手というエース達はもちろんのこと、シニアの急先鋒となった小塚君や無良君、ベテラン勢から有望株まで沢山。
よくは知らない選手達もインタビューを読んでると、皆それぞれに個性的で親近感が湧いてきます。年齢的にバンクーバー五輪の次を目指している選手も多いのですが、高橋選手は「バンクーバーまで」と断言してますね。あれだけのテクニックを持った選手なので、勿体無い気がしますが、それだけアマチュアの大会は過酷なのでしょう。
その高橋選手ですが、インタビュー*1を読むと、去年の世界選手権後に「燃え尽き症候群」のような状態になっていたようで、覇気がない発言が気になりました。コーチを変更したりと、いろんな難しい問題にも疲れていたのかもしれませんが、怪我のおかげで多少の充電期間が出来ると思うので(リハビリは大変ですけど)華麗に復活してくれるといいな、と思います。
ジュニアの若い選手達が語ってた中で印象に残ったのが、高橋君やベテランの中庭健介選手等が、温かい声をかけてくれるので「男子スケート界は、とても良い雰囲気」なんだそうです。小塚選手なんかは、同年代の選手達にライバル視もされてるようですが、それも彼の実力の上昇を認めてのことで、前向きな言葉が多かったです。
氷上の上では、皆キリリとした顔つきでカッコ良く見えますが、同時に無垢な表情をしてるものですね。写真で見ると”イケメン”揃いだということに気付かされます。切磋琢磨してどんどん強くなって欲しいものです。
日本男子フィギュアスケートFan Book ---Cutting Edge 2009---
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高橋大輔君のポスター付(笑)。読んでると「皆頑張れ!」という気持ちになってきます。
【ヤグディンの自叙伝】
最近は通勤電車で、ソルトレイクシティ五輪で優勝した、アレクセイ・ヤグディン選手の自叙伝「Overcome」を読んでいました。ここ最近まで、あまり海外の男子選手に好きな選手はいなかったのですが、ヤグディン選手についてはちょっと興味があったのです。
もともと「氷上のプリンス」なんて痒くなるような(笑)表現の多いフィギュアスケート界で、またその言葉が形容詞についても可笑しくないような美形スケーターもあまたいるのですが、”美形好き”よりも”クセモノ”好きが上回ってしまう私の場合、あまり王子様系は得意でないようです。
王子様系というと、イリヤ・クーリック、エフゲニー・プルシェンコ、ジェフリー・バトル、最近ならジョニー・ウィアなどが思い浮かぶのですが、いずれも美しく芸術性の高いスケーティングを見せてくれる選手達という認識はあるものの、個人的にあまりときめくことがないのです。
それとは反対に目が行くのは、小柄で独特の体型(→よくお尻に目がいってました)だったエルビス・ストイコ、とか長野五輪”伝説のダルタニヤン”フィリップ・キャンデローロ、そしてヤグディンや最近惜しくもアマチュア引退したランビエールなどの超個性派ばかり。
ヤグディンは比較的記憶に新しい選手でしたし、17歳くらいで世界的な試合に参加していた頃(ニキビ面のちょっと垢抜けないイメージの少年でした。)を覚えていたので、どことなく親しみを覚えていました。またチャンピオンとなったあたりから、いつ見ても完成度の高いジャンプやダイナミックなスケーティング技術も焼きついていたので、人となりにも多少の興味があり。
自叙伝のほうは、「とても率直に語ってるなあ」という印象でした。マスコミなどが勝手にプルシェンコと比較し、二人を「永遠のライバル」と盛り上げてるのかと思っていたのですが、実際のところ、自分と正反対の優等生タイプであるプルシェンコをヤグディン自身がものすごく意識していたことなど、飾らずに書かれてあります。
意思が強く、自分の良いと思ったことを貫くタイプのヤグディンは、最初のコーチ、ミーシンとは折が合わず、その後、祖国ロシアのスケート連盟も敵に回して苦労したことなどもありました。ロシアを愛するヤグディンにとって母国の選手権では、素晴らしいスケーティングをしても(何かしらの細工が働いて)優勝から遠ざけられたこと、なども初めて知って驚きました。
そして彼が選び、五輪まで共に闘ったのが今、真央ちゃんを教えているタチアナコーチ。母のように面倒を見てくれる母性の強いコーチだそうですが、その彼女とも何度か小さな衝突はあったようで、手のかかる選手だったのは間違いなさそうです。そういえば、若き日のニコライ・モロゾフも、ヤグディンのサポートメンバーとして登場していました。今につながる顔ぶれですね。
たまには浮かれて遊んぶこともあるけれど、厳しいトレーニングは欠かさず、怪我に苦しんだりする様子も他の選手達となんら変わらず。オリンピックの重圧や、完璧を求めるあまり軽い摂食障害(過激なダイエットにより)や精神不安定に襲われるところなど、金メダルをとるほどの実力ある選手でもやはり並大抵の大変さではないのだなあ、と思ったり。
ラブロマンスは、かなり抑え目で95%くらいフィギュアスケートの話だったところも、良かったです。個人的に興味深かったのは、ゲイとカミングアウトしている某選手と「良き友達」として仲良く付き合っていたのに、あらぬ疑いをかけられて”そちらの人”という噂が絶えなかったとのこと。お気の毒ではありましたが、タチの悪い噂で足を引っ張ろうとする動きというのは、フィギュアスケートの世界でもかなり深刻のようです。
オーバーカム―フィギュアスケートオリンピックチャンピオンストーリー
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写真もいっぱい載ってます。いろんな選手のスケート伝を読むのも楽しいものだなあ、と思う昨今です。現役時代だとなかなか赤裸々に語ることはできないと思いますが。
*1:怪我&手術のため今季の大会出場が残念ながら中止となっていますが、これはその前の記事です。