雅・処

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「ドロウジー・シャペロン」観劇記

客演目当てで・・・

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先週末、日生劇場藤原紀香主演の『ドロウジー・シャペロン』というミュージカルを見に行きました。東京日帰りを敢行してまで見たかった作品かどうかは、正直悩むところではありましたが、劇団スタジオライフの石飛幸治さん&林勇さんの初めてのメジャー系大舞台(?)ということで、見逃すわけには参りませんでした。


まずこのミュージカル、タイトルがちっとも覚えられませんでしたね(今でも)。普通の日本人だったら、意味不明なのが普通ではないでしょうか?公式サイトを見ると「よっぱらいの花嫁介添人」という意味ですって(今知りました)。初めからそれにしてよ!って感じですね。横文字だからカッコイイという勘違いが蔓延してる感じです。センスの良い日本語名のほうがよほどアピールすると思うのにな・・・。


それはともかく、私にとってはこのミュージカル、子供の頃からお馴染みの有名タレントがいっぱいで妙に贅沢気分でした。小堺一機小松政夫中村メイコ木の実ナナ、尾藤イサオ川平慈英・・・なんて、私が普段目にしているマイナーな小劇団系役者からすると、”TVの世界の住人たち”で全く接点ありませんでしたもの。紀香ちゃんについては、何の偶然か彼女の初舞台も見てました。*1


日生劇場のステージは、それほど大きいわけではありませんが、それでもセット・衣装・小道具がこれまた”メジャー作品”を感じさせるほど無駄に豪華に見えました。登場人物の衣装替えもかなり多くて、ビックリ。言い換えれば、普段いかに貧相なセットに慣れているか、という自分に苦笑してしまいました。まあでもそのおかげで、どんなに何もなくても、脳内想像で立派な仮想セット・仮想小道具を作り出すことに慣れたりしてますが(笑)。

【あらすじがあるのかないのか】


ストーリーは、なんとも説明がしずらい作品です。予備知識無しで見てましたが、「これってブロードウェーと同じ演出なんだろうか?」と見てるあいだ中、考えてしまったほど。本当の主役は、小堺さん演じる”椅子の男・ナレーター”なのかな?彼は、子供の頃に親に買ってもらったミュージカルのレコードを大事に夢中で聴き続けている独り身の男性。


確か20年代くらいの古いレコード盤で、それをかけると彼の”夢の世界”が、登場人物の姿となって舞台上に現れてくるのです。結婚式直前の男女、介添え人の男女、売れっ子スターである花嫁の結婚を望まないプロディーサーとその愛人、他にも年配の執事とマダム、ジゴロやギャングコンビなど・・・妙なドタバタ劇が繰り広げられて、とにかく意味があろうがなかろうが駆け足で過ぎていくのです。


頭を空っぽにして見られる、という意味では、非常にリラックス気分で見ることができる作品でした。深刻さもなく、濃厚なラブストーリーでもなく、ノスタルジーに浸るような懐かしい空間が展開されてて。妙なシチュエーションにも、「いいでしょ~、この場面」なんて上気した調子で客達に同意を求める小堺ナレーター、その純粋さと本当の彼が背負ってきた孤独とが対比されてホロリとさせるシーンもありました。

【石飛&林ギャング・コンビ】


で、肝心の二人はどうだったか、というと。これほどの大きな舞台でも、怖気づくことなく、普段のままの実力を出していたと思います。ちょっとだけ違うのは、気持ち良さげな”晴れがましい笑顔”かな。中日でやや踊りがヘロヘロ気味だったけれど可愛い笑顔の石飛さん、相変わらず声の調子もダンスも軽やかな林さん、さすがに二人の息はぴったりで。


出番も本当に多かった。半分くらいは出てたんじゃないかしら。大勢の歌唱・ダンスシーンにもちょくちょく参加していて。全く飽きてる余裕がありません。あまりハモリはなかったけれど、歌の掛け合いなどでメインとなるシーンも頂いて、知名度からすると贅沢なほど。多少は、ライファーの動員で貢献出来てたらいいんですけど(笑)。


しかし、彼らの持ち味を思えば、本当はまだもっと役を膨らませることができるハズですが、そこは生粋のコメディアンではないので、役者としてカッチリ演技してました。個人的には、たとえ一瞬でも紀香ちゃんに小道具を手渡ししたり、してる姿が信じられなくてアングリ、て感じです。彼らを知った9年前に、こんな日がくるなんて予想もしなかったですからねえ。


舞台役者の中には、メジャーに行っても代役のきかないほどの個性を生かす人もおりますが、それってほんの一握りなのかもしれません。一口に演劇やミュージカルと言っても、明らかに世界観も演出方法も違ってて、それを己の演技力だけで確固たる世界を作り出すのは、よほどの実力がないと、という気がしました。


スタジオライフ役者の外部公演はいくつか行きましたが、そこでの役が、なかなか本家のライフを忘れさせるほどに魅力的に見えることは少ない気がします。その”見えない壁”を越えたとき、もしかしたらパーッと門戸が開かれるのかもしれません。但し、外部公演で大活躍すること、というのは必ずしもファンにとっては、”幸せ”とは限らないのが難しいところです。


それはさておき、石飛さんも林さんも「今まで役者やってきて良かった・・・」とか思ってたかも(笑)。そしてハコが小さかろうが大きかろうが、私も貴方達のファンで本当に良かったよ!!

*1:その時もライフの青木君が客演していたので。