雅・処

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スタジオライフ「LILIES」こぼれ話(2)

裏の人間ドラマ

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昔を思い出しながら、『LILIES』について書いているうちに、あの時の熱っぽさが少々戻ってきて、ついDVDを見返してしまいました。久しぶりでしたが、集中して見ているうちに、やっぱりあの世界へ引き込まれてしまい、魂が浮遊していく感覚に襲われ・・・。


それはともかく、今回は、こぼれ話をまとめてドーン!?と書きます。

【'02 初演編】

1)もっともっと愛を!

男ばかりの劇団員とはいえ、そこは一般社会と同様、皆がお友達、というわけではありません。それなりに相性もあれば、先輩後輩間の微妙な上下関係というのもある。初演当時、あまり親しんでなかったらしい山本芳樹高根研一コンビに対し、演出家の倉田さんから「食事でもなんでも一緒にいって、もっと打ち解けるように!」というお達しがあったそうです。


いくら演技とはいえ、”恋人”同士の2人の間に白けた空気が漂っていれば、それが演技に現れてしまいます。究極の愛を描いた作品なので、そのアドバイスには納得。以来、二人は、いろいろと一緒に過ごす機会を増やし、交友を深めたとか。公演後、「雨の日に2人で傘を並べて帰っていったよ。」という目撃談を聞いては、こっちの方が妙に悶えてしまう羽目に陥りました。いかんいかん(笑)。


当時、ご贔屓役者のさんを差し置いて、芳樹ヴァリエにハマリまくったワタクシめ、歓談タイムでは、芳樹君のもとにも突進!高根さんとのコンビのことを聞いてみると、やや放心状態のまま「・・・やりやすかったです。」と答えておりました。ただそれだけで、また興奮→ほとんどビョーキ状態。初演ではまだ恋も知らないようなウブな二人でしたが、再演では、年季の入った恋人同士に見えてしまったのが大きな違い。距離感って本当に難しいものです。


芝居が終って、面会に訪れた芳樹君のお知り合いさんが、芳樹君に「彼(高根さん)と、本当に付き合ってるの?」と真顔で聞いた、という逸話も残っているそうです。実話が噂か真偽のほどは不明ですが、個人的にすっごいウケました。

2)バスタブシーンは、「丸見えだ~」

劇中重要な場面で登場する洋風のバスタブ。お湯がはってあり、ヴァリエがつかります。舞台セットには、一応2階があって、そこに佇むことの多い舟見ビロドーに、シーンの印象を聞いたときの答えがこれ。客席でも、始めは「えっ?」と意味不明だったのですが、しばらくして爆笑の渦になりました。芝居の展開を見ていただければピンときますが、「ビロドー、君は一体何を見ていたんだ」という内心ツッコミが。

3)身の回りにあるもので作った衣装

囚人達が独房で演じる劇中劇ということで衣装は、新調するわけではなく、囚人服を利用して作った、という設定にしてるとか。(衣装班の首領、石飛さん談)伯爵夫人の白いドレスは、男性用のワイシャツを前後ろ逆にして加工したもの(写真上参照)で、スカートはカーテン生地。リディアンヌの緑のドレスもカーテン。なかなかオシャレに見えた衣装だっただけに、感服してました。

【'03 再演編】

1)芝居経験豊富な大沢健君を飲み込んだ客席

再演では、客演に大沢健君が参加して、シモンを演じました。子役時代から活躍し、まだ20代でありながらもすでにいくつもの舞台を踏み、キャリアは言うことなし。私自身も、”正統派美少年”時代を強烈に覚えていた大沢君の参加を聞いた時には、まさかライフの舞台でお会いするとは!と本当に驚きました。但し、この時はシモン本役は一度しか見ることがありませんでした。*1


大沢シモンの相手役は、姜暢雄君のヴァリエ。身長では、ヴァリエ>シモンというややアンバランスなコンビです。大沢君については、さすが声の通りが素晴らしかったです。台詞がキッチリ聞こえてきて、難解な「セバスチャンの殉教」の演技なぞ、ちゃんと芝居らしくなっておりました。「プロは、違うな~」なんて感心したりして。ただ色気に関してはは、やや不足気味に感じました。→まあ、ライフ役者が異常に激しい、という話もありますが(笑)。


大沢&姜チームの初日を見た友人の感想については、「大沢君がすごいカミカミで、そのうち劇団員全員にカミカミが移っていって、いやあ大変だったよ。」という話を聞いて意外に感じたのですが、それにはワケがありました。トークショーで大沢君本人からその理由が語られたのですが、いつもの舞台のごとく、幕が上がるまではさほど緊張していなかったようです。


ところが幕が上がると、客席の空気が只事ではない。一言の台詞も聞き逃すまいと食い入るような眼差しを向けるお客さん達の熱意がものすごくて、一瞬にして”緊張の波”に飲み込まれてしまったそうです。無言であってもそういう空気ってちゃんと舞台に伝わるんだ~と驚きつつも、さもありなん、という感じ。前回も書きましたが、初演の客席の”只ならぬ熱情”が、1年後にも引き継がれていたってわけですね。


もちろん、ヤバかったのは初日だけだったと思います。劇団員にも、「経験豊富な大沢君からいろいろと学びたい。」という前向きな思いもあって、和気藹々と進んでいったようです。

2)芝居に出たかった人、女役がやりたかった人

前者は藤原啓児さんで、後者は甲斐政彦さんです。「LILIES」初演の盛り上がりを初日からずっと眺め続け、劇自体の完成度の高さと面白さに心を奪われていた藤原さん。


初演終了後、感動しながらも客席で見ているしかなかった”自分”に役者としての血が騒ぎ、「もしも再演があったなら、その時はどの役でもいいので演らせて下さい。」と倉田さんに自己申告しに行ったそうです。その結果、割り振られたのは、リディアンヌ役。「そんな素敵な役で、本当にいいのですか!?」と狂喜した、とか。


初演でシモンを演じた甲斐さんも同じ役となりました。ずっと女役をやりたい、と言い続けていてやっと叶っただけにこの頃の甲斐さんは、イベントでもウキウキしまくり、でした。女役を演じるのが当たり前の劇団に居ると、女役が廻ってこないことにもちょっとしたダメージがあるんだ、とライフ特有の感情があるようで面白いです。その甲斐さんのリディアンヌは、ベテランの”余裕”が漂う怪演・・・に思わず唸りました。


逆に、初演でリディアンヌ役だった深山君は、「今回はベテランを出してあげたいの、勘弁してね。」と倉田さんに謝られて肩を落としたようです。笑う陰には泣く人有り。実際、「LILIES」については、登場人物が少ないだけではなく、わずかな端役以外、全ての役どころに見せ場があります。


それぞれに自己抑制し、厳しい世間の目に翻弄され、”その人なりに”必死に生きなければいけなかった、ツライ理由があります。本当の悪人は不在です。どの登場人物も感情移入できるほど、人物描写が緻密に書きこまれている見事な脚本です。「捨て役」がないだけに、トータルで配役が大事。

3)運命が変わった人

公式のLILIESブログで知ったのですが、ジュニ7の吉田隆太君は、役者*2を辞めて田舎に帰るつもりでいたところ、たまたま見に行った「LILIES」に大感動し、劇団スタジオライフへ入るきっかけになったそうです。初舞台の頃から、折に触れてライフ初体験は「LILIES」で、山本芳樹ファン(笑)ということを聞いていたのですが、まさかそんな人生の岐路に立っていたとはつゆ知らず・・・でした。


しかも、同期の三上君とネット記事で対談(下記リンク↓)していますが、芝居を見た翌日に劇団に電話をかけていきなり「入りたいんですけど・・・。」と言ったらしい。受付の人もさぞかし面食らったでしょうね。


今回の再々演でやっと待望の「LILIESデビュー」することを一番喜んでいるのは、吉田君かもしれません。ツワモノ揃いのジュニ7が今回も大活躍となるようですが、前知識無しで演じる方が幸せかもしれない・・・と思いつつも、運命が変わった、吉田リディアンヌに大きな期待を寄せる私です。


追記:マッキー(牧島進一)も初演をきっかけにライフに入団した、と劇団公式ブログに書いておりましたね。そういえば、何かのトークショーの時に、「LILIES」の思い出話をして目を潤ませていたような記憶が・・・。そんな人が多いほど、芝居も盛り上がるってことだわ。



(つづく)

◇三上&吉田の対談(動画有):http://www.garupara.jp/garusupe/studiolife.html
→ 入団のきっかけの他に、女役に対する拘り、なども聞けて面白いです。特に、女役に対する吉田君の意気込みには、プチ感動。

◆LILIES公式ブログ「『LILIES』は人の運命を惑わす」より:
→ この芝居で運命を変えられた制作スタッフさん、のコメントです。
『LILIES』を見ないと一生後悔します!」の言葉に同感です。


miyabi2013.hatenablog.com
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*1:熱愛度の激しい山本&高根コンビに全霊を傾けていたためです。

*2:とある芸能事務所に所属し、いくつかの映画等に出演もしていました。