雅・処

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不世出の男役スター、大浦みずきさん 早すぎる死に衝撃

11月14日、宝塚花組の元トップスター、大浦みずきさんが亡くなりました。想像もしていなかった若さの死(享年53歳)で、とてもショックですし、まだ現実のものとして受けとめられない思いです。大浦さんといえばトレードマークの黒燕尾と卓抜のダンスが「日本のフレッド・アステア」と称されたほどの非凡な男役スター。


残念なことに彼女の宝塚現役時代を知らない私ですが、最初に好きになった元トップスターのリカちゃん(紫吹淳)が、”憧れ続けたお方”と知って興味を持ちました。彼女が若かりし頃、所属した花組のトップスターが大浦さんで、「ナツメ(大浦)さんがポーズを決めた時の親指の角度を必死に真似したものよ。」と語っていたことや、当時あまりに”神様”的な存在で、「一緒にお風呂に入ることも絶対に拒否していた」*1と話していたことが思い出されます。


お父様が作家だったということで、文才もなかなかのもの。半生を振り返ったエッセイは、格別に面白かったです。在団中はレッスンもあまりしない、不真面目な生徒だったようなことを書かれてますが、大いなる謙遜だと思います。あのダンスのキレは、他では見られないですから。ビデオで見ただけでも「ダンスの花組」を支えたカリスマスターというのが納得のダンディさ、でした。

【気さくでお茶目な素顔も魅力】


とはいえ私ごときが語れるのはさほど多くはありません。大浦さんの人となりに興味を持って聞きにいったコーセートーク、たった1度のコンサート鑑賞(ライザ・ミネリ「キャバレー」を模したステージが印象的でした)、帝劇ミュージカル「イーストウィックの魔女たち」観劇と、ナマの姿を拝見したのはわずか3回ばかりです。それでも、いつでも舞台での大浦さんはオーラを放っておりました。


コーセートークでは、”今だから話せる”爆笑話を披露してくれたのを覚えております。宝塚ファンの中には、一部有力(←人脈・財力共に)な”オバサマ”ファンがいて、スターの世話役もかってでるほどです。そういった方々は、退団が決まったスターのお見合い話なども持ってくることが多いとか。大浦さんも内心それを期待して「電話機の前で待っていた。」そうですが、「待てど暮らせど私のところには1コもそんな話は来なかったのよ〜!」(会場、大爆笑)


一方、宝塚時代の映像では、”踊るベルばら”と語られた「ベルサイユのばら フェルゼン編」が忘れられません。あの時の大浦フェルゼンの凛々しさ、包容力ありまくりの台詞廻し、ハスキーな低音の素敵な歌唱、ことごとく見事なダンス。やはり大浦さんを凌ぐフェルゼン役は、二度と見られないと確信するほどの完成度でした。


フェルゼンが「王妃さま〜!」の絶叫と共にセリに沈み、その後、ピンスポを浴びながら黒燕尾で浮上して男役の群舞へと続くアンコール場面は、総毛立つほどのカッコ良さ!私の中の大浦さんは、そのイメージのまま、なんですね。やはりあのお姿を永久保存したい!→復刻DVDを望みます。


それにしても今年はなんという年なんでしょう、各界の大物スターが立て続けに亡くなるなんて・・・。大浦さんの若すぎる死は惜しくてなりませんが、彼女の業績が目減りするわけでは決してありません。これからも伝説として語られ続けるであろう、大浦みずきさんのご冥福を祈ります。


Mizuki@mail.宝塚/jp (小学館文庫)

Mizuki@mail.宝塚/jp (小学館文庫)


幼少期〜宝塚時代を語ったエッセイで、大浦さんの面白い逸話がいっぱいでとても面白かったです。きさくな性格が出てますし、笑いのセンスに感心。

*1:大浦さんは面白がって、わざとお風呂を誘ってきていたそう。