雅・処

好きな俳優・映画・演劇などエンタメ一般やスポーツについて自由に語ります。

’10『トーマの心臓』大千秋楽・仙台公演

[Studio Life] 今季ベストの演技!しかし台無しの出来事も

一昨日は、劇団スタジオライフ『トーマの心臓』仙台公演に行きました。終演後は、曽世海司さんのオスカー卒業パーティにも参加という、なかなかハードな1日で。大千秋楽といっても、本当はこの後も演劇鑑賞会*1の札幌公演があったりするので、ちょっと微妙ではあるのですが。。。


私自身は、3月初めに紀伊国屋ホールで見てきて以来なので実に5週間ぶり。ということで、ちょっと不思議な感じでした。久方ぶりに地元での公演でもありますし、代表作の「トーマ」ですし。客入りまで心配しました。会場となった仙台市民会館には、若かりし頃の哀川翔ソロコンサート(笑)を見に行って以来ですから、さすがに全く記憶がありませんでした。改築したという話も聞かないので、老朽化も少々不安で。


しかし、行ってみたらなかなかどうして、ステージは非常に見やすく、地方の会館らしい趣もあって悪くなかったです。平日の夜ということを考えれば、動員は相当がんばった感じです。2階は無理としても、1階は2/3近く入っていたようで、ホッとしました。関東方面からもだいぶファンが来ているようでしたし。今回は、曽世さんのオスカーファイナルということで、やはり一種独特のムードがありました。


最初に書いてしまいますが、今回は全て(体調・集中力・期待感・座席)がベストの状態でありながら、史上最悪にマナーの悪いオバサン観客のおかげで台無しになってしまったのが残念でなりません。不必要に騒音を出す無頓着な観客が地方に多いのは、渋々我慢するところですが、静まり返った空気の中で、お喋りを繰り返す傍若無人ぶり、おまけにその内容が嘲笑まじりの言葉や暴言ばかり。さすがに”殺意”を覚えました。ただでさえ思い入れありまくりの「トーマ」なのに・・・。


「そんなに見たくないなら帰ってよ!」と、はらわたが煮えくりかえりました。というか、内容にも興味をもたず、ただの”演劇のお誘い”程度で来て、ちっとも楽しめないのなら、長時間の芝居を我慢して見続けてること自体が、私には理解を域を超えています。ましてや第三者には、そこにアナタが居ることこそが一番の”暴力”。多少の手段は講じたものの万全ではなく、最初っから最後まで不快指数がUP。


客は選べない・・・という悲しい事実がありますが、こんなことなら、「たとえ地元であっても地方なんか来なくていいわ」とまで思いました。地方の一風変わったのどかさや新鮮な反応、アットホームさなど、都会では味わえないムードが良い場合もあって、それは捨てがたい魅力なのですが、信じられないマナーを見聞きさせられる可能性が高いのも地方。天国と地獄ですね。

【達観している曽世オスカー】


そんなこんなで散々な目にあった公演でしたが、役者の演技は見事でした。最初に見た時と全然、気合が違う。やはり全員が一丸となって最高の舞台を作り出す、そして曽世オスカーを盛大に送り出そうとしているのが、ひしひし伝わってきました。一番違っていたのは、山本ユーリ。しょっぱなから”初心に返ったのね”(笑)と思いました。


芳樹君のユーリは、ライフの中では揺るぎない存在ですが、あまりにも役が身体に馴染んでしまって「慣れ」を感じることがあります。多分、眠っていても演技できちゃうくらいに(笑)没頭しているんじゃないかな。私が前回見た時のユーリは、魂のほうは幽体離脱していて「体が覚えてる」タイプの演技でした。なので、あまり素晴らしい!と思えなかったわけです。


今回は、オスカーの前にもエーリクの前にもちゃんと「ここに居る」演技をしていました。誰からも逃げているようで、無視されることのない(笑)絶対的な存在感を持って、己の繊細さに傷つけられながら不器用に生きている様を表していました。そうそう、これこれ、やればできるじゃん、よっちゃん!とか失礼なことを思ったりして。それにしてもユーリを演じてる時の芳樹君は、終わってからもどっぷり放心状態なのがすごい。一体どこに旅立っているんでしょう。


エーリク役の松本君は、ちょっと「妙」でした。これまでは、腕白で男の子っぽいハツラツさに溢れていたのに、やたらと女っぽくて甘えたハニーミルキーな少年。ヒロイン役も多かったからか、その癖が出てしまったのか。いやさにあらず、公演を繰り返すにつれ、ユーリという相手役に本気で恋をしてしまったエーリクなんでしょう。劇団的に言えば、強い憧れと信頼感を抱いている、と言い換えられます。決してBL的な意味合いじゃないんですけど、そういう熱っぽい眼をしていました。


そして真打、曽世オスカー。高まる激情を押さえて、すっきりとクールに役を構築していました。涙もろい曽世さんのこと、もしかするとボロ泣きしちゃうかも、と予想したりもしましたが、透明で何一つ後悔のない澄み切った表情をしていたのが印象的でした。ちょっと違うかもしれませんが、”神々しい”という感じです。'03年の山崎ユーリ、笠原オスカーも卒業公演では、同じ清々しい表情を浮かべていました。


自分が心血を注いできた役柄との永遠の別れ・・・それを自覚したときの寂寥感や哀しみにグッと耐えて流されず、「しっかりとオスカーを生きよう」と言い聞かせて、一つ一つの場面をこなしていく。その姿が一番、美しくカッコよかった。曽世さんの”オスカー・完成形”を存分に見せていただきました。


他のメンバーも全員良くなっておりましたが、特に関戸レトヴィと奥田サイフリートが大変よろしかったです。ちゃんと役をモノにしてて、完全オリジナルを創り上げていました。長期の公演は、役者が四苦八苦しながら役を掴みとっていく過程を見守ることができる醍醐味があります。最初はハラハラしながら見守っていたのが、最後は引き込まれてしまう・・・というのがなかなかにグッドです。

【千秋楽の挨拶】


千秋楽の挨拶は、たっぷりとありました。ほとんどの役者は、自分の役への想い、と久しぶりの仙台公演(7年前の「MOON CHILD」、4年前の「ドラキュラ」以来)が実現した喜び、そして「個人的な感想ですが・・・」から、始まる曽世オスカーへの感謝の言葉を述べていました。毎度のことですが、人柄の良さが滲み出るのは牧島君。


上級生役からバッカス役への抜擢で「ようやく海司さんと肩を並べられる、というか、同じくらいの年代の役で絡ませていただいて、海司さんの最後のオスカーに間に合って良かった、という感じでした。(一瞬の間)・・・愛してます!*2」という愛の告白で客席爆笑。


松本君は、「皆がカッコイイ海司さんのことを話すので、僕はちょっと暴露話を。」と切り出しました。稽古期間中、しばしばメールのやりとりをしていたそうですが、文章の最後に書かれた「by ラスト・オスカー・カイゼ」に大ウケしてしまったことを暴露。本気で照れる曽世さん。あまりに皆の熱い想いがこもったメッセージが続いたので、主宰が事情を知らないお客さんへ「彼はオスカー役は卒業しますが、劇団を辞めるわけではないんですよ。」と慌てて説明する一面も。


いつになく緊張した面持ちで言葉を選びながら話をしていた曽世さん。残念ながら、内容はほとんど覚えてません(おいおい)。劇団員のラストが曽世さんではなく、芳樹くんだったのにはビックリしました。まあ、配役上でも入団順でも上ではありますが、この日だけは曽世さんがメインじゃないかと思いつつ。ただ、どこか心こにあらずの表情で、一人佇んでいた芳樹君が、マイクを向けられてから普段のおちゃらけぶりを披露して、「今まで本当にありがとう」という具合に土下座し始めたのが可笑しかったです。


曽世さんが「いやいやそんな何をおっしゃいます。そんな勿体無い。」という具合に、芳樹君の土下座を止めに入る姿にまた笑いが起こりました。その後、主宰がクラッカーを向けてパーン!と勢い良く鳴らすと、劇団員も次々にクラッカーを鳴らし、上から金色の紙吹雪も舞い降りました。この光景で、7年前の卒業公演を思い出しました。とうとうこらえきれず泣き笑いしている曽世さんの姿を見て、「やっぱり終わりなんだなあ~。」と思いつつもまだ実感しきれておりません。


最後に藤原さんが、曽世さんのご両親へ”感謝の言葉”を舞台の上から述べていたのが印象的でした。「(アポなし)劇団員を心良く泊めて下さった。」とのこと。アットホームな心の交流を、曽世さんによく似た話し上戸のお母様としてたのかな、なんてふと想像してしまいました。


(パーティレポへつづく)

miyabi2013.hatenablog.com

*1:会員以外は、チケットが入手できない

*2:大好きです!だったかな