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雅・処

好きな俳優・映画・演劇などエンタメ一般やスポーツについて自由に語ります。

2011フィギュアスケート世界選手権(男子) 波乱に次ぐ波乱

フィギュアスケート

只今、世界選手権男子の部を見終わりました。昨日のSPで、パトリック・チャンがぶっちぎりの93点台をたたき出し、優勝がほぼ見えた、という時点で、もう望むのは、日本男子3人が己れの個性と実力を全て出し切る演技をしてくれることだけでした。ゲームとしての醍醐味は落ちる分、こりゃ出来レースかなあ、と予想していましたが、甘かった。とーんでもない!展開に引き込まれました。


あれだけ難度が高い、と言われ続けた4回転を2回もチャレンジしてくる選手達が続出。これは経験の少ない若手の方が、一か八かの勢いがあるだけ(体力もあるし)有利だったよう。しかも、皆結構キメてきました。見慣れたジュベールトマシュが出てくるとホッとしますが、ガッツある若手達がものすごい闘志で攻めてくる展開に目が離せなくなりました。


チェコのブレジナカザフスタンデニス・テン(ジャンプは失敗していましたが要素一つ一つ、個性も光ってましたね)、ロシアの新星・ガチンスキー、アメリカのドーンブッシュも印象的でした。放送で流れた選手だけなので、他にももっと印象に残る演技はあったのかもしれません。そういえばキツイ顔立ちのガチンスキーは、ジュニアの世界選手権で羽生君に敗れてるんですよね。この数ヶ月の間にものすごい高みに行ってしまったようで、羽生君はテレビの映像から更に発奮しただろうなあ、なんて余計なことを想像してました。

【何かと苦手なこのヒト】


大本命のパトリック・チャンが、すごい気合で滑っていって、世界新記録をあっさり出しましたが、その後の番狂わせの連続があまりにドラマチックだったので終わってみれば、あれ?と思うほどインパクトが薄くなってます(笑)。私、ハッキリ言ってパトリック・チャンは、好きな選手ではありません。どうにも印象が悪いのは、これまで転倒が多いのに「世界一のスケーティング」という肩書きで、高得点を与えられていたためです。


転倒しない試合が記憶にないくらい、私の中で彼は”転倒王子”でした。それなのになにかと強気の発言、中には感心しないようなものもチラホラ。それでも、今回の彼の演技はパーフェクトだと認めざるをえません。ただ一人、氷の上というのを感じさせず、宙を舞ってるかのような、軽やかなスピードで滑走していました。ジャンプについては、少しぐらいの危うさはありますが、力で抑え込んでて、よく練習しているのが分かりました。


滑りながら、「僕がチャンピオンだ!」と誇示するかのようで、まあ文句のつけようがない、脱帽です。但し、どれほど素晴らしい動きであろうと、彼の身のこなしには「美」は感じない。惹きつけられる感動もほとんどありません。一番苦手なのは、あの顔なのかも(汗)。なんか目の動きと身体の動きが”操り人形”みたいに不自然で、そこが苦手です。単に好みの問題だから、これだけはすいません、という感じなんですけど。


でも、日本のインタビューに答えるパトリックは、スケートの迫力とは離れたところで人の良さをにじませて憎めないキャラクターぶりでした。優勝候補、と騒がれ続けて、それでも自滅せずに優勝しちゃうところも成長を感じさせました。ただ、怖いのは今後の採点で「PCS=パトリック・チャン・スコア」と揶揄されるような高得点の固定化が起こることです。それは、視聴者として競技をドキドキ楽しむことからかけ離れていってしまうから。

【運命の波乱、それでも当初の予定通りか】


日本勢は、最終滑走に全員が残る、という相変わらずの強さを見せながらも、下手したら表彰台は逃すかも・・・と不安を持ち始めていました。まずは織田信成選手の4回転失敗、3回転トウループの跳び過ぎ判定からスタート。チャン選手のすぐ後という動揺に足元をすくわれ、というのは理解できます。ただ世界選手権やオリンピックという大舞台となると、全てに失敗を招きやすい精神面の弱さが致命的で、これはいろいろな試練を乗り越えてもまだ直る見込みが無いようです。


実力は折り紙つき。グランプリシリーズでも、出だしは好調な織田選手。但し、ここまでくるとただの”おっちょこちょい”では済まない。ジャンプがどこかで失敗したり、スッポ抜けた場合のフォローの練習を全くしていないのでしょうか。過去に跳べなかったコンビネーションを下手にフォローしようと思って跳び過ぎになった場合と異なり、跳ばないで済ませたほうがまだマシ、という判断だったかもしれません。しかし、そうだとしても、この手の失敗があまりにも多すぎ、しかも悪癖を懲りずに繰り返す。


もはや怒りや失望を通り越して、諦めの境地というか・・・。本当に織田選手には申し訳ないけど、メダルとか言う資格は彼にはない(思うだけなら自由ですが)、と思ってしまいます。それでなくても、織田君の昨年の世界選手権での失敗のために、今回予選で一回多く滑らなきゃいけなくなった小塚選手の負担の件もありますし、本チャンでここまで失敗が続くと伸び盛りの若手選手達の大舞台出場のチャンスを奪っているようにしか見えないですもの。


確かな実力はある、でも何かが足りない・・・そのまま終わるつもりなのでしょうか、織田選手は。パパになったからと言って、大人のシッカリした男に変貌したわけではないし、やっぱりどこかに”致命的な甘さ”があるんじゃないかな。インタビューを聞いていても、素直な良い青年だということは滲み出ている反面、本当の問題点を彼は理解できてない気がしてなりません。それが分からない限り、この失敗は決して直らないし、残念ながらメダルにも手が届かないと思ってしまうのです。


そして、その後は高橋大輔選手のアクシデント。4回転が失敗してすぐに審査員席に行ったときは、「まさかまた靴紐か?!」と嫌な予感に襲われた人は多かったのではないでしょうか。実は、スケート靴のビスが2個外れたという、これまた驚きのハプニング。いや〜、呪われているわ、日本男子。というか、まさに試練なのか。過去にも氷にひっかかって転倒した浅田真央選手、肩脱臼して途中退場の安藤美姫選手、と世界選手権では何かが起こる。


元気を失くしかけている日本に勇気を与えてくれるはずのパフォーマンスだったはずなのに・・・まだ震災のネガティブパワーは続いているのか?と一瞬ひるんだのですが、その後、リンクに戻って精一杯演技を続けた大ちゃんには素直に感謝です。見ながら「神様の意思」みたいな超常現象を考えてしまいました。思えば今季の大ちゃんは、何か見えない力にまったりと捕縛されているような感じがありました。


バンクーバー五輪銅メダル、トリノ世界選手権優勝の後の「燃え尽き症候群」もありだろうし、本人も匂わせていたように「美しく華麗な幕引き」の場を探しているというのも感じていました。その「この辺りでソロソロ・・・かな。」という意識が、もっとできるはずなのに何か煮え切らない感のある演技に繋がっていた気がします。そして、その延長にこの世界選手権があったという。


年齢的なピークとか体力の限界、まして重い怪我の後遺症の心配があり、正直私も高橋選手の現役引退は予想していました。大震災で大会が中止か延長か、となった時に、「大ちゃん、辞める場所が無くなったんじゃないかしら。」と思いましたし、今回のアクシデントで「これじゃあ、辞められないよね。」と思わず苦笑い。ああ、でもその後の大輔君のインタビューを読んで、「ソチ五輪をめざす。」という流れになったところに、神の意思を感じてしまいました。


本当にソチまで続けられるかは神のみぞ知る、ですが、神様は高橋大輔に「まだスケートをやれ!お前が皆に見せる希望は、滑り続けることだ!」と言ってるわけですね。なるほどなるほど。競技のほうは、織田君、大ちゃん、と期待のエース達の思わぬ苦戦に不吉な感じが続いたのですが、みそぎが済んだのか(笑)、小塚君の完璧パフォーマンスに繋がりました。


コヅ、本当に頑張りましたね。まさにパーフェクト!!SPでの失敗で、勝負に出たという気合が全身に漲っていて、あんなにクールな小塚君が熱い男に変わっておりました。とにかくキビキビとした動きと、溢れるパワー、寡黙だけど勝負師の目を持った、切れ味最高の”サムライ”って感じ(笑)。GPシリーズで見せた、本気の小塚がここで甦る、これぞ迫真の演技でした。


全日本選手権を制し、日本で長らく”第3”の男と呼ばれていた(?)小塚君が、実力で1番を見せつけた瞬間でした。圧倒的なパトリック・チャンの得点と点差がさほど感じないほどのまさに完璧な出来栄え。銀メダルは立派ですが、「がんばれニッポン」の日の丸を抱えて微笑む小塚君にまた感動。波乱続きの日本勢でしたが、なんか終わってみれば、今季一番調子が良かった小塚君の好成績はちゃんと予定調和していたような気がします。


スポーツの中継では「よく奇跡は起こるか?」という盛り上げ(煽り)方をしていますが、調子や運も含めて「そうそう奇跡は起こらない」と思いますね。同じくらい辛いトレーニングをこなしてきているわけですし、勝ったり負けたりの勝負なんですから、その瞬間に本当に強い人が表彰台に乗るってことですね。そして、早くも来年への闘いが始まるわけで、確かなことは、この先の日本チームが決して安泰とは言えない・・・ということですね。世界はまた一段と強くなってました。


というわけで、いつものごとくテクニカルなことは何一つない、感覚だけの感想で失礼します。とにかく選手の皆さん、お疲れさま。明日からは、女子。またヒートしそうです。