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雅・処

好きな俳優・映画・演劇などエンタメ一般やスポーツについて自由に語ります。

貴城けい20周年記念ライブと山口百恵カバーCD

ひどい雨の中、元宝塚トップスター、カシちゃん(貴城けい)の20周年記念ライブに行ってきました。このライブのことを知ったのは、つい最近。「レ・ミゼラブル」観劇で上京するのに合わせて何か他に見たいイベントはないだろうか、と探していたところで見つけた、というファンにあるまじき(笑)状態でした。


現在カシちゃんのFCには入っていないし、ここ2ヶ月ほど専ら社会問題ニュースばっかり見ていたので、エンタメ情報にはますます疎くなっておりました。といってもカシちゃんに関しては、「無理をしない」のが私のスタンス。近隣県で通える範囲の舞台やライブには行く、という実に自分本位のファンをやってます。


宝塚退団後も途切れることなく、精力的に舞台を続けているカシちゃんには頭が下がる思いですが、地方在住の身であり、2足のわらじ(いや、それ以上)をやってるため、全てを追いかけるのは、身の程知らずで身の破滅というもの。毎回、カシちゃんを見に行く度に「本当にゴメンね」と心の中で謝ったりするのですが、マイペースで細く長く愛し続けていきますわ。


前日には、銀座の山野楽器へCDを見に行ってきましたが、そこで衝撃の真実が・・・。なんとカシちゃんのソロミニアルバムCDが売ってるではないか!!ってそこで気付くか、自分。軽く自己嫌悪に襲われました。またもや、カシちゃんゴメンね。


すぐ手にとって買おうと思って、ちょっと待てよ。これは、ライブで物販するかも。そして何かオマケが付くかも・・・。と、悪知恵?だけはよく働く。(案の定、価格プラス300円で、PV付DVDという代物が手に入りました。)「タワーレコードでは、1枚くらいしか入荷していないみたいで『どこで買えるんですか?』というファンの方の声が」と恐縮していたカシちゃん。大丈夫、山野楽器には少なくても3枚はあったからね(笑)。

【COTTON CLUB&ライブ】


会場は、丸ビルなど開発真っ盛りのビルが立ち並ぶ東京駅の目の前。TOKIAビル2FのCOTTON CLUBでした。テーブル席がコの字型に並んでいて、正面の一番後ろの席がカウンター席。200名くらいはいるのかな。どこから見てもステージは肉眼で良く見える贅沢な空間でした。ディナーショーじゃないから、食事は別料金。しかも高い、しかもサービス料込。うう、庶民には辛いわ〜。


最初に全身青い光り物の衣装(パンツルック)で宝塚の懐かしいナンバーを数曲。うんうん、退団直前に発売された”思い出のメロディー”CDに入っていた曲ばかりです。でも、比較的新しいファンだった私には、それらの曲自体の思い出が少ないので、感涙ってほどではなく、まあなんとなく懐かしいな、という感じ。


ゲストであるチェンバロ奏者・曽根麻矢子さんの伴奏による「奇跡」だけは、さすがにグッと胸に響いてきました。宝塚時代から今に至るまで活動を続けてきて、「いろいろ楽しいことも辛いこともあった」とMCで思い浮かべながら語るカシちゃんの言葉が一番この曲にはこもっていることが分かるから。なんか私までいろいろと思い出して、「うお〜、カシちゃん」と盛り上がってました(笑)。


シルバーのショートパンツで可愛いカツラを被って歌ったのは、出演したミュージカルの曲なのかな?細かいセットリストは、他のファンの方のブログを参考にどうぞ(おいおい)、ということで。

【百恵ちゃんなら私に語らせろ、なんてね】


個人的に最も身体が熱くなったのは、なんといっても山口百恵メドレーでした。(エンタメニュースで読んだ、カシちゃんが大阪のライブで百恵ちゃんをカバーした、というネタの受け売りですが)ファンの方々から「百恵さんの歌が合うのでは」という声が多数あったそうです。確かにカシちゃんのハスキー低音は、パンチもあって、独特の百恵ソングにいい感じかも、と想像しました。


真っ赤なドレスに着替えて実際、披露してくれたのは、「絶対絶命」と「ロックンロールウィドウ」、そしてアンコールに「愛の嵐」。どちらかというとパンチのある曲ばかりでしたね。実のところ、CSで流れたという「曼珠沙華」が聴きたかったなあ。。。百恵ファンにとっては、一二を争うほど大事な曲ですからねえ。そんなアタシは、当時、”狂・百恵ファン”でした。全然違うジャンルなのに、自分が好きな人同士のシンクロ率がやけに高いのが怖いくらいですが、まさかカシちゃんの歌う百恵ソングを聴く日が来るとは!


ナマでも百恵ちゃんの歌を聴いたことがあるので、彼女の歌は一際難しいのは理解しています。メロディーが難しいのではありません。百恵ちゃんの歌には「ドラマがある、映像が見える」。歌詞の登場人物がどういうシチュエーションで、どういう表情でそこにいるのか、そして歌い手が代弁する”主人公=アタシ”の深層意識がどうであるか、一瞬で目にパーッと浮かんでくるほどのドラマチックで驚異的な表現能力の高さ。ほとんどの曲で百恵ちゃんは、歌の世界の中で”主役”を演じてきっているのです。


この世界観を生み出し、百恵ちゃんの歌の世界に肉薄するだけの実力を持った歌手は、皆無に近いのではないか、と思っています。だから真似すれば、低級に響いてしまう、ここが怖いところ。でカシちゃんはどうかというと、ライブでは気持ち良く盛り上げてくれました。カシちゃんの最も歌いやすい低音層を生かしてくれる楽曲だけに、確かに聴き応えがあって楽しい。ヅカ男役だけに姉御肌のサバサバしたところが、ツッパリ歌詞とも自然に合ってきたりして。


家でCDで何度も聴き返してみたら、百恵ちゃんとは違いが歴然としてました。特に「さよならの向こう側」とか全然違っていて、笑ってしまった。それは決して悪い意味じゃなくて、全く百恵ちゃんと違う新しいイメージの曲に作り上げられていたから。「さよならの〜」は、私自身あまり好きではない曲です。なぜならこの曲は、愛する人(=百恵ちゃん)との”永遠の別れの歌”だったから。


当時、この曲を聴くたびに、引退へのカウントダウンのように、じわじわトドメを刺されるように別れが辛くなっていきました。その重たく辛い歌を、カシちゃんは素晴らしく健康的に(笑)、とても麗しく、宝塚のモットーのごとく「清く、正しく、美しく」歌い上げてくれました。なんて素直で、優しく、慈愛に満ちてる歌声。そして、この曲の魅力を初めて再認識したようでした、ありがとうカシちゃん!


同じく「曼珠沙華」。女の情念を込めたようなこの重厚な曲も、一陣の風のように爽やか、だったりするのがすごい。カシちゃんの歌の魅力は、どこまでも歌詞の言葉・音節一つ一つの美しさを、てらいも惜しげもなく正直に伝えようとする生真面目なところかもしれません。


百恵ちゃんの歌には、彼女だけが持ち得た何人も近づけないくらい強い意思と類まれな表現力が溢れていました。一方でカシちゃんには、彼女の一番の武器”正直さ”と人の心に寄りそう優しさや慰めが溢れています。ああ、別の意味で”一つの表現”なのかもしれないな、と再発見がありました。


カバーアルバムには、「秋桜」「愛染橋」とかありがちな曲が選ばれなかったのも好感大です。カシちゃんこの手の曲を歌ったら、宝塚特有のクサみが出てちょっといただけなかったかもしれません。(逆にお芝居の中なら相乗効果が出るかも)


私のようなひねくれ者は、本来のオリジナル曲「PASSER」のような、カシちゃんの素直なハートがさらけ出されているような曲は、直球すぎてかえってピンとこなかったりします。メロディも単調で、面白味に欠ける。歌詞に音符をなぞらえてるような曲に思えてしまう。宝塚出身のスターさん達は、膨大な稽古で”歌詞を大事に歌う”ことを一番に教わってくるだけに、曲に応じて変化をつけることがやや苦手な気がするんですよね。だからこそメロディに魅力がないと、ただ似たような歌の大量生産になってしまう。

【震災について】


終わりのほうのMCで、東日本大震災についての言及がありました。震災を受けて、このライブをやるかどうか真剣に悩んだこと。「こんな時期にライブなんてやっていいのだろうか。」という悩みは、彼女だけでなく数多くのエンターティナーが、自問自答した、と見聞きしました。カシちゃんもやはり同じだったんだな、と思ったのですが、それには更に理由がありました。


震災のまさに2日前*1、カシちゃんは「愛と青春の宝塚」の全国ツアーで仙台で公演をしていたからです。その時に客席で見たお客さんの笑顔を思い出し、「あの時、楽しそうに見ていてくれた方々は無事だっただろうか。」と思い出して辛くなったそうです。話しながら、思わず涙ぐむカシちゃん。


あの日、私はその仙台公演を見ていました。当日も、今にして思えば余震と思われるM7クラスの地震が午前中にあり、カーテンコールで湖月わたるさんが、「雪にもマケズ、地震にもマケズ・・・ご来場ありがとうございました。」と挨拶して、盛り上げていたのです。それを聞きながら、笑って見送ってくれたあの観客の方々の中にももしかしたら、被害にあった方がいたのかもしれない・・・と。


カシちゃんとは逆の立場で私自身もそう思いました。そして公演を行ったツアメンバーの方々は、どんなにショックを受けただろう、と(地震が少し落ち着いた頃になって)振り返ったりしていました。実際、『愛と青春の宝塚』という舞台自体が素晴らしくて、やっぱり宝塚を身をもって知ってる&愛していた人達が、”宝塚が主役”の芝居を演じるのは間違いないな〜と感心したものです。


カシちゃんは、主役の一人を演じました。現役時代に比べても何一つ劣るところがないタカラジェンヌぶりが素晴らしく、久しぶりに胸が熱くなったものです。どうやってその感動を書いたらいいかな、と迷っていたところ、あの地震が起こって全てが中断してしまいました。ライブでは、幕間に引っ込んでから、再登場しての第一声。「大切なことを言うのを忘れてしまったわ〜!」。用意した募金箱のこと言い忘れたのだ、と。焦って、ひたすら謝るカシちゃん。


やっぱり普段、芸能で身を立てている人達は、”とにかく食べていかねばならない”一般人に比べて、ずっと繊細でデリケートなのかもしれませんね。希望とか理想とか、何かしら崇高なものを提示したり、あるいは皆をただ楽しませることをモットーにしているだけに、笑うこともできないような現実の閉塞感に間接的だけど激しく打ちのめされるような・・・。


「ここに一人、私みたいなのも紛れ込んでいるから、ライブ開催のことも募金のこともそんなに恐縮しなくて大丈夫だよ。」と、声をかけたくなりました。なんだかカシちゃんが、ものすごく身近に感じた一瞬でした。理屈抜きにカシちゃんを見てるだけで幸せ、なんかハートがポカポカします。


カシちゃんのライブ感想ではなくて、自分の思いだけでまたもや突っ走ってしまった、このブログ。まあ、たまには(というかいつもだけど)こういう例外もアリかな、なーんて。20周年が大変おめでたい貴城けいさん、の今後一層の活躍を祈ります。


PASSER (パッセ)

PASSER (パッセ)


本文にもさんざん書きましたが、カシちゃん流「さよならの向こう側」「曼珠沙華」が、全く新しい解釈で面白かったです。特に「さよならの向こう側」の”Thank You For Your Kindness〜 ♪”のサビがすごーくピュアで聴く度に涙しそうになってしまいます。百恵ファンにも聴いてもらいたい一枚です。


◆2013.1.31追記:もう時効なので(笑)書きますね。実は、このライブで私、カシちゃんに頭ナデナデしていただきました。歌いながら、客席方面へカシちゃんが降りて来て、通路端の席に座っていた私のところでふと止まると、急にクルッと回転し、私の頭をグシャグシャっとしてくれて。多分、ちょっと色っぽい歌詞だったのだと思いますが、あまりのことに全てが吹っ飛んでしまい、公演終了後まで興奮状態。お茶会でも、ゲームですぐ隣に座ってくれたり(これもたまたま)、カシちゃんについては、ファン人生短い割には結構触れ合いが多かったなあ、と。その分、親近感も他のスターさんよりあるのかもしれません。

*1:ライブでカシちゃんは、前日と言っていてそれはちょっとした勘違いか、それとも移動日だったのか分かりませんが。