雅・処

好きなアイドル・俳優・映画・演劇などエンタメ一般やスポーツについて自由に語ります。

スタジオライフ『夏の夜の夢』&『十二夜』連鎖公演(2)

メイン4人は、おNEWな組み合わせ

続いてソワレで観劇したのは、BONBONチーム。一番の違いは、及川ハーミア、関戸ライサンダー青木ヘレナ、緒方ディミートリアス、という顔ぶれ。ちゃんとちゃんが、3回とも同じ配役で安定感のあるSavarinと異なり、BONBONチームは、今まで2度にわたってヘレナを演じてきた関戸君がライサンダー(男役)に”性転換”、他のメンバーはお初、という状態で全く予想もできませんでした。


惚れ薬に与えられての大騒動は、一体どんなネタで盛り上がるのか?満を持してヒロインを演じる及川氏も若手に囲まれて、どんなテンションで動き回るのか?ブログを見ていると、身体にムチ打って動いてるさまが感じられてちょっと痛々しかったのですが、実際には外野からも総ツッコミ状態の「年齢ネタ」のほうが、はるかに痛々しかったです。今回の名アドリブは、


 青木「このヴェテラン女優!ピップエレキバン女!」
 及川「何よ、この引きこもり~!」
 青木「アナタに私の人生の何が分かるのよっ!」


他にも外野の倉本パックにまで「あの子、いくつになったんだろうね。」とボソッと呟かれていたり。アドリブでもさんざん”年増”扱いされていて、グサリと突き刺さる暴言の応酬に客席大爆笑。いやあ、そのヴェテラン女優の演技を10年以上見続けてきた私は、「及川さん、それでもアナタは、スタジオライフの立役者・看板女優よ。」と心の中で慰めておりました。


もはや及川氏のみならず、自分をも慰めているような変な感じで。でも、もし『黒いチューリップ』の若きヒロインで及川氏に出会わなかったら、スタジオライフのファンにはならなかったかもしれません、それはまぎれもない真実。いまや若干、風格さえ漂う及川氏の若かりし頃のヒロイン役が次々と脳裏をかすめていってました。


アドリブ攻撃だけでなく、その小さな肉体で、逃げるライサンダーに必死に追いすがり、高いボックス状のセットによじ登って真直角になりながら、紐を引っ張ってる姿を見た時は、肉体酷使しているなあ~とやや心配になりました。本当に体力勝負な芝居です。


対する青木ヘレナ。”ブサ可愛い”で評判だった関戸君とも全く違って、ものすごく「女っぽさ」が滲み出ていて、ちょっと単純に笑って済ませないようなヘレナ像でした。後から友人に「なんかすごくリアルだったのよね、ナマの女みたいで。」と話したら、「ヘレナは、”女の自分が見たくない女性の嫌な部分”を投影させてしまう気がするなあ。岳大さんが演じるとそこはデフォルメされて薄まっていたのが、青木君の場合はリアルに伝わってくるので痛さを感じるのかも。」と言っており、ナルホドと納得。


岳ちゃんやセッキーが演じると割とカラッとしてて、ハーミアへの”妬み”やイジケた感情も笑いに転化されてしまうけど、青木君は、きっと演じようと思って演じる以上に、己の直感で「女の本性」を嗅ぎ取って、それを演技に滲み出させるのではないか、と。ゆえに「うわあ~」と引けてしまうというか、笑いに逃げ切れず、あイタタタっと感じてしまうのかも。


関戸ライサンダーについては、藤原さん(ハーミアパパ)に「当たり障りのない顔しやがって!」という強烈な一言で、全てが集約されてしまっていました。まさかこんなところに笑いの導火線があるとは思わず、そのせいで最後まで”当たり障りの無い顔”ネタで笑いが途切れませんでした。「細目」などとも呼ばれてましたね。もはや言いたい放題でキッツイきつい。


緒方君のディミートリアスは、アドリブの応酬にはやや経験不足が感じられましたが、舞台度胸の面ではいつものごとく感心させられました。初舞台の時から、舞台の上ですごく冷静な演技が印象に残ってましたが、最近役が大きくなるにつれてもその落ち着きぶりは変わらずで、若さに似合わず不思議な安定感があります。


パンと弾けるような強さはないけれどいぶし銀のような魅力を持ってる彼は、名バイブレイヤーに変貌する可能性がありますね。まあ、ティターニアには「なんか地味なのよねえ。ジミートリアス。」とかいじられておりましたが。

【熟練工ぞろい?の職人チーム】


職人チームでは、友人が絶賛していた、岳ちゃんの親方ぶりが光ってました。曽世さんや笠原さんを従えても、風格を感じさせておまけにアドリブもぬかりになく(笑)飛ばす。まずサラリと「我々、アテナイ中年”演劇部は・・・」で一笑い。


次に「なんで昼(マチネ)と夜(ソワレ)の間が、こんなに短いんだ。」と休憩時間の少なさに不満をぼやくところで爆笑。さっすがやってくださる。考えてみれば、「夏夢」と併せて3役を演じ分けているのですよね、それもどれも決してチョイ役ではない、こりゃあ大変です。


笠原スナウトは、「壁」の時のアドリブでかなり遊んでおりました。壁の上に乗ってる猫を竹ひごを引っ張って動かしたり。また曽世スターヴリングは、「月」を動かしながら「喋らなければいい男といわれるんですが・・・。」などとちゃっかり自己アピールで笑いをとる。ベテラン達だけに、何かやらずにはいられないんでしょうね。サービス満点です。


個性派揃いの先輩に囲まれて、やややりにくそうだったのは、ジュニ9の神野君。フルートの最大の見せ場、「シスビーの慟哭の芝居はどうなるんだろう?」と興味深々で見てました。涙ながらの熱演を見せてくれていましたが、どうも彼はあまり”女役”には向いてないのかも・・・。


小柄で愛嬌のある顔立ちなので、衣装とメイク次第では女に見えなくもないのですが、どうも台詞が一本調子で、肝心な女性の心情の機微が伝わりにくい。声が低いせいもありますが、石飛さんのようにバリトンボイスであっても、抑揚を効かせて色っぽさが滲み出ることもあるので、やはりこれは経験のみならず、女役としてのセンスが不足なのかもしれません。


むしろ、豆の花役の織田和晃君のほうが女の子のキュートさを感じさせたので、将来の女役候補にどうかな、と。スタジオライフは現在、松本君に続く、次期”正統派ヒロイン”がいない状態なので、なんとか若手に育ってもらいたいですし、11期生オーデションが間近な今、とにかく有望な子を見つけて欲しいです。これ以上、若手が増えても役が足りなくなるという懸念はありますが、劇団員数に反してヒロインや女役は慢性的に不足状態なので。

◆おけぴゲネプロレポ:11/10/25 スタジオライフ音楽劇「夏の夜の夢」「十二夜」ゲネプロレポ@紀伊國屋ホール (おけぴ管理人の観劇感激レポ)


◆ぴあ関西版WEB:シェイクスピアの「十二夜」「夏の夜の夢」を目にも楽しい 音楽劇に仕立てたスタジオライフ。宇野亜喜良による 美術・衣装にも注目の東京公演をレポート! - インタビュー&レポート | ぴあ関西版WEB


→ どちらのサイトも、舞台写真がいっぱいで楽しい記事ですね。


miyabi2013.hatenablog.com
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