雅・処

好きな俳優・映画・演劇などエンタメ一般やスポーツについて自由に語ります。

スタジオライフ韓国公演体験記(2)「夏の夜の夢」

爽やかなソウル千秋楽

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韓国公演から、あっという間に1週間が過ぎてしまいました。そんなに日が過ぎたのが信じられないほど。こうやって甘やかな思い出に変わってしまうのが寂しいくらい。しばし、現実に戻れない状態が続きそうです。当ブログも今月は、ライフレポで終わりそうですね。


20日(日)、前日深夜まで役者さんとのパーティがあり、ゆっくり起きて軽く観光*1。15時開演の「夏の夜の夢」を見ました。夜中に繰り出した大学路は、昼に訪れると雰囲気が一変しました。外気の冷たさはありますが、晴天で空気も澄み切っていてなんとも気持ち良い。


3人のガイドさんがそれぞれ持ったバスナンバーの旗と共に、1列に並んで劇場まで移動。ちょっとした”おのぼりさん”状態です。しかも観光地でもなんでもない、庶民的な町並みにそぐわない日本人105名の隊列、さすがにちょっと恥ずかしさを覚えましたね。


同徳女子大学パフォーミングアーツセンターは、地下鉄恵化駅から徒歩5分くらいの場所にありました。てっきり女子大の敷地内にあるのか、と思ったらさにあらず、入り組んだ道路の中にあり、周りにはスタバや飲食店も立ち並んでます。建物が見えてきてから、巨大な垂れ幕を見て、地下2階くらいまで階段を降りていきます。


フロアは、すでに人でごったがえしておりました。前日は、入場が遅れて人々がホールに入ってからだったので、実際に韓国のお客さんを意識する暇もありませんでしたが、今回は若者が多いなあ・・・とか、家族連れがいるなあ、とか、東京公演とは少し違った雰囲気を感じました。スタジオライフを初めて見るお客さんも多いのだろう、と思うと、日本での地方公演みたいな新鮮な感覚というか。

【思った通りの大盛り上がり】


「夏の夜の夢」については、再演3度目という劇団の代表作でもあると同時に、人気演目でなんの心配もありませんでした。役を演じる役者もこなれていて、適役揃いのSチーム。一際カラフルで夢の世界のような妖精達の登場で、パーッと舞台が華やかになっていく冒頭で、すっかり心をわし掴みされます。


ピンクの大きなリボンを背負った、倉本さんの可愛いすぎる”おじさん”パックが現れ、全身ピンクの豆の花、ちゃんがちょこんと顔を出し、その後は、水牛角石飛オーベロンの熱唱へ。聞き惚れていると、さん演じる激しいティターニア女王と妖精達のダンスが飛び出して、見慣れた饗宴が始まります。


オーベロンとティターニアの咆哮があって、一瞬シーンと静まり返ると、まずは最初の大笑い。二人とも、いつもと全く同じ絶妙の呼吸で、喧嘩するほど仲の良い(?)夫婦ぶりをあますところなく見せていきます。本当に危なげない、その安定感にウットリ。こうやってすっかり舞台の空気を温めてしまえば、次に続く役者達は楽でしょう。



劇場入口の自動ドアに貼られたティターニア様のシール。反対側には、マツシン&船戸コンビ。


To be, or not to be, that is the question.”という決め台詞で登場したシーシアス&ヒポリタにも軽い笑いが。有名すぎる詩の一節のせいでしょうか。その後、客席後方から大騒ぎで登場した、笠原ライサンダー仲原ディミートリアス岩崎ハーミアの3人と”老けメイク”の曽世イジーアス。ちゃんの「アッパ!(韓国語で、パパ)」に客席どっとウケていました。*2


若い恋人達3人が、相手を牽制したり、シーシアスに恋の申告を続けるこのシーンも細かい小技がいっぱいあって、見ているととても楽しい。客席も、若い”都の男女”が繰り広げる甘酸っぱい恋のさやあてに次第にノッてきたよう。更には、極めつけの”秘密兵器”岳大へレナの登場に、高まっていく期待・・・ってそれは私の方か(笑)。


このヘレナ、初演・再演に比べてものすごく乙女チックに可愛らしくなっているのが驚きです。ホッソリとお痩せになった岳ちゃん(→夜のパーティではすごい形相で「この劇団に殺されるか!と思ったよ」と発言され、吹き出していまいました。3役の稽古が相当に大変だったのでしょうねえ。)は、髪型まで可愛らしくアレンジされて、キモ可愛い、どころかかなりのラブリーさ。

【韓国客の笑いどころ】


斜め後ろに座った韓国人男性がこのヘレナに異常にウケていて、この後もずっと笑いを噛み殺すのに必死のようでした。ディミートリアスへの「サランヘヨ~!(愛してる)」攻撃も、予想通りウケてましたね。「夏夢」は、全体的に韓国語のアドリブがすごく多かったため、日本人の私にはキョトンとなるところも多々ありました。


まあせわしなく喋っていって、ハッキリ韓国語と分からないままスルーされる(打率6割くらい?)ことも多かったのですが、それでも役者達は頑張ってました。韓国語でウケていたのは、仲原君が熱唱する歌のフレーズ、これを韓国語で歌ったところで、大盛り上がり。それから、ティターニアが客席後方から登場し、お客さんをねめつけて「パクシュ(拍手)!」と求めたところ。オドオドが全くない、さすがの貫禄ぶり。


オーベロンがパックへ「遅いぞ、パック!!」と怒鳴ってからのアドリブ合戦は、ソウルでも炸裂。王様の剣幕にオドオドしながら、背中のリボンを客席に見えるように振りながら、「チョヌン ヨジョン イムニダ(私は妖精なんです。)」だったかな?更にその後両手でとがった耳を動かしながら、困り果てた様子で「チョヌン ヨジョン イムニダ」と繰り返す。そのあまりのラブリーさとおかしさに石飛さんが噴出すと、客席から大笑いと歓声が。


この時の石飛さんの笑い方は、徹さんのアドリブに本気で爆笑しているというより、ちょっと”演技”に見えた部分もあったのですが、まあ、それはそれとして。急傾斜の通路*3をヨタヨタ昇るパックに向けて「アジョシ~(オジサン)」と声をかける石飛さんにも続けて笑いが起こりました。長い台詞を頑張って話しているより、誰でも分かる短くて簡単な韓国語を、ここぞと狙った瞬間に放つ方がより効果的だったようです。


台詞とは別に、驚きの歓声を一身に受けていたのは、大ちゃんの体を張ったパフォーマンスの数々です。昇り棒を自由自在に使いこなしての身体能力の高さは本当に驚愕もの。浮気したライサンダーを追い詰める時の、凄みのある目の怖さも一品。ヘレナに身体の大きさを例えられるシーンで「ソウルタワー、チェ・ホンマン*4・・・」とか言われていましたね。


ハーミアに向かってヘレナが顔面を崩しながらドスの聞いた男声でうめくように台詞を吐き出すところでも、大爆笑の渦。ハーミアとヘレナの身長差「1.3cm」のくだりはどう訳されるのか、と思って字幕を見てみたのですが、これは残念ながら訳されなかったようです。ヘレナの岳ちゃんが「私、1.3cm小さいのね、ね。」と客席にアピールしてたのですが。(韓国語が分かるファンの方が言ってましたが、全体的に重要な台詞と思われるところが結構カットされていたそうです。)結局、都の若者達の大騒動は、日本同様笑いっぱなしの大盛り上がりで進みました。いやもう私もこれを見たかったのよ!って感じで。


反面、職人チームのシーンは、やや苦しい・・・展開。台詞が長い割には笑いどころが少なくて、奥田君の頑張りはあったのですが、若手も多い分、若干余裕がない感じ。要努力かな。夏夢初日に最も予想しない笑いが起こったのは、シスビーの登場シーンだったそうです。素朴な職人男が、裏声で乙女シスビーを演じる、という場面、青木君の熱演もあったのでしょうし、数々の夏夢ではコミカルなシーンで描かれている可能性もありますが、本当に最後まで笑われまくりだったのかしら?


ここは後半一番の見せ場であり、泣きどころだけに、ちょっと心配でした。青木君に釘付けだったため、客席の反応は分かりませんが、奥田ピラマスに泣いてすがるシスビーの哀しみには、日本人ファンからすすり泣きが起こってました。


ヒポリタが拒み続けたシーシアスへ心を開くシーンの美しさはまた格別でした。牧島君と松本君の美しいシルエットがスポットライトに照らされて、神々しいほど。全ての想いがこのラストに集約されて、やがて全員の合唱シーンへと繋がっていく。言葉では言い表せないほどの満足感と突き上げる思いにこのまま時よ止まれ!と念じたくなるほどでした。


なんというかスタジオライフの公演は、どんなに楽しい演目であってもラストには一種の寂寥感が漂います。胸が切なくなるようなキュンとする思い。ここ韓国であってもそのエッセンスは存分に伝わったのではないでしょうか。初めてスタジオライフを見る韓国のお客さんに存分に楽しんでもらって、同じように別れの寂しさを感じ取ってくれる人がちょっとでも多ければ、きっとまたスタジオライフが同じ舞台に立つ日がくるのではないかな、と思います。


余談ですが、韓国人友のキョンちゃんも見に来てくれて、「すごい面白いです。こんなに面白いとは思わなかった。十二夜も見ればよかった。」と言ってくれました。韓国人観客の反応も「面白かった。とても良かった。」と喜んでいた、と教えてくれました。ということで、初の韓国公演は大成功と言っていいのではないでしょうか。


◆写真は、韓国公演パンフレット(2000W≒150円)と無料の3つ折チラシ、あらすじ(場面別)・配役カード、チケットです。韓国版公式サイトからの記事をまとめたとはいえ、カラーで10ページはあるパンフレットがこの安さ。日本だったら1000円はするだろう、と思いながらも、買っているのは日本人ファンばかりだったような・・・(笑)。


miyabi2013.hatenablog.com

*1:こちらは後でブログにまとめる予定です。

*2:こうくるだろうな、とは予想しておりましたが。

*3:ホール中央のサイドには通路がないため、後ろの出口まで一直線に駆け上がらねばなりません。

*4:韓国のキックボクサーで2m18cmの巨漢