雅・処

好きな俳優・映画・演劇などエンタメ一般やスポーツについて自由に語ります。

映画『鍵泥棒のメソッド』 本当の主演は、香川照之さん?

9/15初日の『鍵泥棒のメソッド』を昨日ようやく地元の映画館で見てきました。6月の上海国際映画祭、先週のトロント国際映画祭での上映ニュースを読んでいたので、日本での封切が待ち遠しくてたまりませんでした。さん主演映画も『ツレがウツになりまして』からも、10ヶ月が経過し、なんか新作なのにようやく、という言葉がピッタリです。


この日は、新作封切も多かったのか、シネコンがいつになく込み合ってました。『踊る大捜査線 THE FINAL』の公開もあったせいかもしれませんね。「鍵泥棒」は、シネコン内の小さめの劇場だったので、後ろのほうの席は結構埋まってましたし、女性が圧倒的に多かったです。毎回、新作予告も楽しみの1つなのですが、『大奥』の予告も流れたのは、とても嬉しい驚きでした。おかげで帰りに前売券も購入し、特典のエコカイロもGET!


さて、肝心の感想ですが、全体を通して真っ先に感じたことは、「これは、堺さんではなくて香川さん主演でしょ。」ということ。要所要所に堺さんが出てくることはあるのですが、一人のシーンが多く、むしろ助演的な役割。圧倒的にストーリーの芯は、香川さん演じる”殺し屋”コンドウ+偽桜井の人格変更の面白さと、広末涼子ちゃん演じる香苗のラブストーリーです。


それが不満なんじゃなくて、あまりにも香川さんの役に目がひきつけられてワクワクしちゃうので、堺さんの桜井(偽コンドウ)が、作品のポイントとしては弱い感じに見えてしまう。「いっそ香川さんメインで良かったのになあ」と思ったほどです。また、涼子ちゃんが演じる、笑わない香苗のズレた感覚が笑いを誘っていたので、こちらもとても印象的。2人の不思議な関係が一番の鍵でした。


上海国際映画祭のネットニュースを追っかけてる時に、香川さんの名演技を見て、主演男優賞候補でも良いのでは、という話があったものの、一応堺さんが主演なので主演扱いでの受賞が難しい、ということを書いていた記事を見つけました。*1私的には、むしろ堺さんの桜井の見せ場をどうにかして増やさなきゃ、と監督が苦労した後が感じられました。可愛いヘタレを好演していましたが、堺さん特有の演技の「キレ」はあまり感じなかったです。


多分、桜井については、コンドウと香苗ほどのキャラクターの構築が生きてこなったのかもしれませんね。お金も無くて、仕事もできなくて、ちょっと抜けたところがある情けなさ、と後半に黒スーツを着こなして、タンカをきるカッコよさのギャップ、それこそ大泉洋さんとかが演じたら、すごくハマってたんじゃないかしら。堺さんは、清潔感や生活感がありすぎて、たとて汚い部屋に住んでいたとしてもなかなかルーズに見えないからなあ(→勝手な思い込みですけど 笑)。


ただ途中で何度か、やっぱり「リーガルハイ」とは別人だよなあ〜なんて思い出したり、はありました。徹底的に”おバカなキャラ”を演じてるのも新鮮ではありましたし、何気ないシーンで見せる顔が可愛いなあ、と感じたり。黒スーツ姿で、香苗と初めて向き合うシーンなんか、なんともハンサムでトキメキましたし、次にDVDとか映像で見返すときは、ちゃんと堺さんに焦点を合わせて見てみたいです。

【堺ファンならクレジットで席を立ってはいけない】


前評判通り、ストーリーは本当に先が読めない面白さでした。特に、桜井が巻き込まれる、殺人事件の依頼がどういうオチになるか、予想を立てることすらできないくらい、意外な展開を見せます。また、可笑しいシーンも、ゲラゲラと腹をかかえて大笑いという面白さではなくて、クスッとかハハハと抑えの利いた笑いで、真面目で真剣すぎてなんか可笑しい、みたいな日本的笑いだったのが印象的でした。


映画を見る前に、トロント映画祭のプログラマー、ジョバンナ・フルヴィ氏の「劇中の独特のキャラクタ−設定と、予想不可能の話が交差する展開は現在の邦画の素晴らしさを象徴しているようだ。考え抜かれ、完璧に練られた構成の素晴らしい脚本。また俳優たち演技も素晴らしい。面白いだけでなく同時に感情に訴える演技をみせてくれる。」というコメントを読んだときに、それは一体どういうことなのか、とずっと頭に残っていたのですが、ようやく理解ができました。


この映画の中では、登場人物の心の動きをあまり説明してくれません。香苗がいつ偽桜井(コンドウ)に惚れていったか、また桜井が香苗に心を動かされていく様子も、2人が少しずつ打ち解けていく様子を、微妙な表情の変化で追っていくだけです。そのうちに、この不釣り合いなカップルを妙に応援したくなっていく、何かスクリーンを通して、この不器用な二人の仲間のような気持ちになっていくから不思議です。


堺さんの演じる、桜井についてもどうにか窮地を救ってあげて欲しい、という気持ちになっていきますし、やっぱり3人に深く感情移入が出来る、そこが魅力の楽しめる映画です。殺し屋に仕事を依頼するワル役の荒川良々さんも、どこか憎めないキャラが全開で、ダーティになりすぎないよう、軽さに一役かってる感じがしますし、ちょっとテイストも漫画チックな作品ですね。


更には、クレジットに要注目。というかクレジットで帰ってしまう人って、まだ少しいたんですけど、今回すぐに帰ってしまったら、もったいないです。というか、堺ファンだったら、それは完全な失敗=犯罪(笑)です。ちょっとした仕掛けがあるので、お見逃しなく!


都内では、キャストの舞台挨拶があったようですね。堺さんのオデコ全開姿の写真に驚きました。TVドラマ「大奥」のカツラ対策なのかな?暑い京都ですし・・・。11月の『その夜の侍』もすごく楽しみな作品なのですが、青森以外の東北ではまだ、上映が決まってなくてやきもきしています。なんか東北人は見ちゃいけない理由(笑)とかあるのかしら!?


そういえば、10月のロンドン映画祭では、『鍵泥棒のメソッド』『その夜の侍』のどちらも招待されたそうで、堺さん作品がワールドワイド展開していて、まさに飛躍の年かもしれませんね。ネタばれ防止で封印していた、映画雑誌の特集もこれでようやく見られるなあ。

◆参考:

映画『鍵泥棒のメソッド』トロント国際映画 チケット完売!すでに12を超える映画祭から出品オファー!!− CINEMA TOPICS ONLINE

『鍵泥棒のメソッド』堺雅人&香川照之&広末涼子 単独インタビュー - シネマトゥデイ

会場は爆笑の連続!内田けんじ監督『鍵泥棒のメソッド』、カナダの観客にバカ受け! - シネマトゥデイ

◆海外受賞歴

・2012 上海国際映画祭・脚本賞(日本作品では初受賞)

・2012 ハワイ国際映画祭・作品賞(コンペ最高賞)

・2012 アジア太平洋映画祭 男優賞・脚本賞ノミネート

・2013 第55回ブルーリボン賞 作品賞(ノミネート)


acteur(アクチュール) 2012年9月号 No.31

acteur(アクチュール) 2012年9月号 No.31

日本映画magazine Vol.28 (OAK MOOK 440)

日本映画magazine Vol.28 (OAK MOOK 440)

キネマ旬報 2012年 9/15号 [雑誌]

キネマ旬報 2012年 9/15号 [雑誌]


今季の堺雅人特集(表紙が堺さんのもの)です。ちなみに全部買いました。表紙&大特集はさすがに無視できません。ミツグ君人生(笑)やってます。さすがに特集は、気合入った写真が多い(笑)。映画も続々公開予定だけに、ネタもたくさんありますし、全然読み切れてない・・・けど。


鍵泥棒のメソッド (角川文庫)

鍵泥棒のメソッド (角川文庫)


原作本です。

*1:真偽のほどはわかりませんが。