雅・処

好きな俳優・映画・演劇などエンタメ一般やスポーツについて自由に語ります。

全てを変えてしまった『PHANTOM』の出来事

(この記事は以前書いたものですが、考えあって別ブログより移行したものです。いつまでも、ご本人の過去の汚点?が残るのは忍びないので削除も考えましたが、私にとっても忘れられないエピソードだったので、残します。)


実は、上京して劇団スタジオライフの『PHANTOM 語られざりし物語 The Kiss of Christine』を見たのは、もう10日も前のこと。千秋楽前に感想を書こうかと思っていたのですが、すっかり手遅れとなってしまいました。それでもそろそろ感想を書かねばなあ、と思っていたところで、林勇輔さんのブログ('12.10.28付)が更新されている、と友人からの一報が。


私のみならず、林ファンも、一部の(?)ライフファンも、この芝居の始まる前からずっと「気に病んでいたであろうこと」について、ようやくおぼろげな回答が出てきました。林さんの書くメッセージに、ホッとしたのが半分、まだまだちょっとどこかひっかかりもあって、疑心暗鬼な部分も半分です。それこそ、ファンレターを書くのは苦手なこの私が「やっぱり今回だけは伝えねば!」と真剣に考えた*1くらい、本当にめちゃめちゃ心配したんですよ、って。


『ファントム』のカーテンコールでの林氏。普段と全然違う、こわばった表情とスタスタと幕間に引っ込む姿を見て、芝居の感動すら一瞬消えるほどの一撃を食らっていたのは事実。今まで劇団のあらゆる活動にあれだけ真摯に打ち込んで、サービス精神満点で私達を楽しませてくれていた彼の見たこともないような醒めた表情。想像するのは、最悪のことばかりで。(もちろん、演技には一切、感情のブレはなく、そこはさすがプロ、とは思っていたのですけど。)


公演前から続いた不安な日々が再現。ライファー友に聞いた公演中のエピソードも、ますます不安を高めるものばかり。そして、さんざん愚痴ったり、嘆いたり・・・にも、少し疲れ果てて。結局、2回の公演を見て、私もようやく腹をくくりました。これは「覚悟」ってやつですね。どうしても振り回されずにはいられないけれど、「もうアナタの好きなようにやっちゃってよ!」という気持ちも湧き上がってきたり。まさに林氏の語る「想像が妄想になってる」というジレンマな状態。


この『ファントム』という芝居は、確かに感情をかき乱すような激しい作品ですけど、客席の自分が一役者の進退に掻き乱されてどうする(苦笑)って。実際にファンレターやメールで、その思いのたけを書いたファンが、かなりいたのでしょうね・・・。林さんの書いた文章を読むだけで、想像に難くありません。「強情っぱりで、人騒がせで、自分の感情に不器用で、まったくもう!でも、こんなに皆に心配されてるんだから、やっぱり幸せな役者だよなあ。」と、本人でもないのに、共感してしまいました。


いや実はそのオトナゲない自分をセーブしきれない気持ち、大よそオトナゲない私自身、やたら共感する部分もあるんです。必ずしも全て彼に同調することはできないけど、私も自分が抑えきれないときは、周りを振り回すクチ(イタタタ)ですし、絶対に上から目線で道徳を振りかざすなんてことはできません。破壊衝動に駆られて失敗したり、数々の痛い目を受けてることもあるわけで。そんな自分を否定しきれず、肯定してしまうことも度々ありましたしね。

【配役は、これで良かったんだ、と思う。】


ただ今回は、他の劇団員も相当林さんに気を遣ってる感じ*2でしたし、主役二人にも少なからず迷惑かけてるなあ、というのが感じられて、なんだか心の奥がちょっと痛かったですわ。(どちらの気持ちも察しがついちゃうのがまたなんとも・・・)そういう普段とちょっと違う状況の中で、あれだけの完成度を保てたのは、劇団員全員の総力の結集ということで拍手を送りたいです。


それに私、今回の『ファントム後篇』を見て、倉田さんが少年エリックとシャルルを林さんに配役したのは、”絶対的に正解”だと確信してしまいました。前篇であらゆる不幸を背負った少年エリックが、才能・幸福・愛、さらには美貌も備えて生まれ変わってきたのがシャルル。これは、もう一つの隠されたドラマであり、役とはいえ、「輪廻転生」みたいな意味合いもあったはず。これは、倉田さんが林さんに是非演じて欲しかった役であり、エリックの真の救い、を託したためなのでしょう。実際、ラストのシャルルにすごく癒されましたもの。


この効果の狙いは、”似合いの少年役だから”云々だけ、とはどうしても思えないんですよね。作品の全体の完成度のために選んだ手段に思えてならないのです。もちろん、見えない戦略(話題性やチケットの売れ行きなども含め)のようなものは、毎回あるわけでしょうが。


叶うならば、トリプルキャストで林さんの大人エリックも見たかったけれど、それはもう二度とあり得ないこと、ではないでしょう。これからもチャンスは、必ずあるはずです。「だから、どうか早まらないで、絶望しないで!」というのが本音でした。それが分からない彼ではないでしょうし。どういう形であれ、必ずやちゃんとパワーアップしてくれるはず、と信じています。(ホント、信じてるんだからね!!)


まあ、ネガティブモードばかりでは仕方がない。林さん、折角歌が上手いのですから、限定CDとか出せばいいのになあ、と思ったりする昨今です。イル(青木君)みたいに。自主制作でもいいので。アーティスティックで拘りが強い人だから、ライブ会場も狭くて、すぐにSOLD OUTするみたいですし、地方人でも見られるような日時と場所にしてくれーい!なんか不遇っぽいこと言っていながらも、自分で幅を狭めてる気がして残念でなりません。(何でもやればできる人なのに。)


なんかファンレターでもなく、毎回ただの落書きにしかなってませんが、ようやく吐き出せました。ずっとモヤモヤしっぱなし、で、なかなかラクになれなかったから。。。まあ、こうやって書きなぐりながらも、勝手に自分の感情だけ吐露しているだけかな、という気もしなくはないです。林さん自身は、まだ迷宮を彷徨ってる感じだしなあ。


何度か彼の書いた文章を読みながら、「林さんの真意はいずこに?」と考え、理解できる部分はあるんですけど、結局のところ、諸々の葛藤というのは本人にしか分からないことかもしれませんし、誰よりも”決めつけられること”を嫌う人でしょうし。天邪鬼だったり、純粋だったり、多面性があって、感情の起伏も激しいし、舞台の上ではドンと安定感ありますが、内面はきっと振り子のように揺れ動いている。


大胆だけど、繊細すぎる(むしろ神経質なくらい)。まあ、役者ってそういう人だからやっていられるのかもしれませんね。基本は、「舞台の上で役者として輝いてくれていればそれでいい」なんですけど、その人間味や個性にもいつの間にか魅了されているんでしょうね。だから、こんなに心配しちゃうんだろうなって。


◇追記:(1日経って、また思い返してみて、少しだけ補足します。)やっぱり林さん、ここまでくるには、長年、耐えに耐え、我慢し続けてきたんだろうな、と。決して1度や2度じゃない。もう何年も必死に押し殺していた感情があって、心で泣いても(怒っていても)顔で笑って。それが今回ついにセーブきかないくらい噴出してしまったんだな、と。


周りからは羨ましがられるほどの大役をやっていても、もうそれがどうのじゃなくて、自分の中の許容範囲を超えてしまったのかもしれない。うちらは、外野でワイのワイの言うだけですけど、当人が一番苦しかったのでしょう。ブログの中のぼかした言葉の裏に、充分言いたいことは滲み出ていたし、たとえ何であっても自分の言葉で書いてくれたのは、ありがたかったです。一度落ちたらあとは上がるだけ。なんだかんだ言っても気長に見守っていきますから。

*1:寸でのところで出しませんでしたけど。何も決まったわけではないので、大騒ぎするのもどうかと・・・自制してしまいました。

*2:もちろん、林さんの長年の貢献があったればこそ、ですけど。