雅・処

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『大奥~誕生』5話完了 静かに嫉妬に狂う有功が怖い

先週、「大奥」の5話を見る前、何気なくテレビをつけたら「金スマ」で東尾理子さんの出産シーンを放映しておりついつい見入ってしまいました。生命の誕生ってやっぱりすごいもんだ、と思いつつも、いしだ壱成君が感動の涙を浮かべている様子になんかジワーンときて、この数年、彼ってどうしていたんだろう?と興味が出て、ウィキペディアを確認。


実は、壱成君は離婚して(結婚したところまでしか知りませんでした)一児を設けたものの、元妻がその子供を連れて谷原章介さんと再婚、という事実を知り驚愕。隠れた真実があったのかあ、と複雑な思いを受けてしまいました。本編と全然関係ないことなんですけど(苦笑)。この番組が17%を超える高視聴率だったおかげか、「大奥」も視聴率が微増の8.9%で、ちょっとホッとしました。


この際、一ケタ視聴率であろうと、世の多くの人に「変態ドラマ」と勘違いされようと、キャストが原作イメージに合わないと思われようが、予算が足りなくて「大奥」らしくないと思われようが、構わないのですが(もちろん多少は傷つきますけどね)、やはり数字が悪いというのは、とかく主演俳優のせいにされがちなので、そこがファンとしてはツライところです。


その分、DVD化されたらレンタル&セルでは、結構イイ線いくんじゃないか、思ったりしております。レンタル屋でこそ、こういう”癖の強い変てこなドラマ”に手を伸ばしたくなりますし(笑)。もっとも、私自身はすでにブルーレイBOX購入は確定、という感じなので。ファンであっても、途中脱落&未見ドラマ多数、趣向に合わない作品には、全く食指を動かさない我儘な私ですけれど、このドラマの堺さんの演技にはゾクゾクさせられっぱなしです。

【少し別のニュアンスが加えられていたような5話】


さて5話です。まず冒頭に流れた、前回のシーン。「殺して下さい」のカメラアングルが有功目線に変わっていて、「おおTBS、世の堺ファンへのボーナスショットをありがとう!」と喜んでしまいました。それから、捨ちゃん(捨蔵=窪田正孝君)の軽快な演技には、何度も笑わせてもらいました。思い切りが良くって、細い体で豪快な江戸っ子町人の演技をしてましたね。かといって、目の動きや顔の表情なんかは充分に繊細で、「おっかねえところにきちまったなあ・・・。」とボヤくシーンなんてお見事!


初回から、やたらシリアス・重厚タッチで息がつまりそうなシーンが続いていたので、むしろ、よしながふみさんの原作にある、”嫌味のないカラッとした笑い”をようやく表現してくれたような気がしました。上様の多部未華子ちゃんの漫画から抜け出てきたような「ワシがお前を抱くのじゃ!」にも惚れ惚れしましたねえ。ちゃんと将軍らしい迫力を見せてくれました。


捨てちゃんがお茶目で憎めない性格で、まっすぐ上様のお相手を勤めることで、追い詰められていく有功様。奥底に潜む嫉妬心に蓋をして、徹底的に自分の心を押し殺している姿が痛ましい。捨蔵が初めて上様の寝所に向かった後の、ビリビリに破られた襖、引き裂かれた調度品。朝餉を拒否し、玉栄に初めて漏らす人間らしい弱音。背中越しでも、痛みがヒシヒシと伝わってきました。


でも、「この襖を元に戻すの大変だったろうなあ〜」なんて内心思っていたら、その後、村瀬さんと談話中に綺麗に貼り換えられて模様が変わっておりましたね。まあ、そんなことはどうでも良いですけど。そして、若紫を連想させる子猫の登場に怯えて涙する玉栄。そして、道場での有功が玉栄をなだめながら「そなたは、ええ子やなあ。」で一気に泣かせモードへ。


あえて原作以上に田中聖君の”見せ場”を作ったと思われるシーンですが、原作では、有功は重郷が詰腹を切らされた後すぐに玉栄が犯人だと気付いており、「自分だって3人殺している(見殺しにしている)」と慰めているので、ちょっと有功を”聖人”にしすぎなような気がしました。原作の有功は、時折、軽口もたたいたりして、若々しく人間味がある感じなんです。それならいっそ若作りで悩ませたりせずに、堺さん演ずる有功を原作よりずっと年上の設定にしておけばいいのになあ、なんて思ったりして。


それから、次回以降で玉栄に大きな使命が降りかかってきますが、原作にあった、上様と有功と玉栄の団欒シーンを残しておいて欲しかったなあ。それがあるともっと各々の関係性が深まるのになあ、と。ドラマでは、玉栄が当初から、病んでる感じなのが気になりました。有功の前で、主人の苦しみを思い、よく悔し泣きをしているんですけど、重すぎる気が・・・。いや、きっと堺さんの有功が重厚だからかもしれませんね(笑)。


またラストのご懐妊〜姫出産までもえらく早くてウッソー!?という感じでした。実際に赤ちゃんが生まれるのは、次回の冒頭でいいんじゃないかな。有功、あれじゃあ救いなさすぎ、可哀想。。。さんざん”ドS”と言ってた私でも、目が点のビックリ展開でした。なんかこのドラマ、緩急のつけ方がちょっとズレてるところあって、そこが惜しいんですよねえ。空中分解しないで済んでいるのは、役者達の熱演の賜物です。

【大奥って残酷】


このドラマを見てると、本当に”大奥”ってつくづく残酷な制度だなあ、と思ってしまいます。女性版の「大奥」でも、毒を飲ませて流産させたり、相手を陥れたり、とか救いようのない不毛なエピソードがあったのをおぼろげに覚えていて、どうしてこういうえげつないドラマが人気なんだろう?と子供心に不思議に思ったことを思い出しました。


男女逆転の「大奥」が、男同士だからより残酷に見える、という意見もあるみたいですが、今までの女性版「大奥」は単に着飾ったり派手さで誤魔化してるけれど、描いてる世界は、より残酷ではないか、と。この作品で「男女の入れ替えというトリックを使って、大奥がいかに不条理な制度なのか、とよしながさんは描こうとしていたのではないか」という解説をどこかで読みました。納得です。


そして、ヨコシマ目線ももう一つ。今回、ややふくらましすぎな有功&玉栄の二人の絡みを見ていて、やっぱり主従関係って色っぽいなあ、と実感。もともと私が好きでハマっていた時代小説や戦国物に、仄かに感じ取っていたのは、”主従関係とは、ある種の恋愛の変形”なんだよなあ、ということ。「あなたのためなら死ねる」って最大の愛の告白じゃないですか。そこには男女の恋愛より固い絆があるわけで。


別にこの大奥をBL目線で見てるわけではないんですけども(たぶん)、あのウルウル玉栄の瞳と妙にピュアすぎる有功の言葉のやりとりがなんか色っぽいんですよね。お互いを誰よりも思い合って、弱みや本音も明かすのは2人だけの世界なわけで。これが若い兄ちゃん同士だとこの不思議な色気は出ないだろうし、素の堺さんと田中君が徒弟関係じゃなくて、適度に距離感(緊張感も)を持っているところが尚、この色っぽさに拍車をかけてると思います。


って、一体何の分析なのか(笑)?ドラマの最後に見せた、有功の虚空を見つめながら、何かを決意したような厳しい表情が一体何を意味するのか?いよいよ本領発揮の堺さん、て感じでワクワクしつつも、「何を企んでる有功〜!」と、戦慄を覚えた表情でした。

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