雅・処

好きなアイドル・俳優・映画・演劇などエンタメ一般やスポーツについて自由に語ります。

'12フィギュアスケートNHK杯観戦 in 宮城(2)

NHK杯が終わってもう何日も経ってしまったのですが、疲労がどーっと出てきてとてもまとまった感想なんかを書ける感じではないので、もう、直観とイメージだけの勢いで書きなぐりたいと思います(笑)。

 羽生結弦(男子シングル1位)


もう4年くらいずーっと長い間、ナマの演技を見たいと思っていた選手で、見たらどんだけ舞い上がっちゃうんだろう?と思っていたのですが、そうでもなく、意外に冷静に見られてしまったような・・・(笑)。でも、やっぱり記憶は曖昧でかなり緊張して見ていた感じですね。このところ、イメージしていた、華奢で折れそうなフェミニンなイメージが消えてきて、どんどんシニアっぽい逞しさを身につけていってるからかしら。(私的には、ちょっと旬を過ぎてきたかも・・・。)


もっとも世間的にはまだまだ可能性とか飛躍、とかそういう輝かしい「日本の未来、至宝」みたいな存在なので、私の感覚が偏ってるだけなんですけど。そりゃあ、まだたったの17歳ですからねえ。いや、むしろこの短い間の急成長*1が恐ろしいですわ。SPの神演技もさることながら、95点超えとかあり得ない。フリーも、冒頭の4回転なんてトリプルにしか見えないくらいのすさまじい安定感と美しさ。


ただその分、後半のバテバテぶりはかなりひどかったですね。プログラムにあれこれ詰め込み過ぎて、スピンで尻餅とか、ちょっとビックリして「あららら〜」と声が出ちゃったほど。まあ、本人も笑ってたし、周りも試合を忘れて笑ってしまった感じで、”愛されキャラ”は全開でした。良くも悪くも空気を作るという天性の才能があるのでしょう。


EXは、着物をモチーフにした綺麗なブルーと白の衣装が目に眩しかったです。EXのほうが、なんだかすごい大物感を漂わせていて驚きました。どんどんメジャーになっていく寂しさとか、なんかこの一瞬が儚く見えました。ショーの終了際、若干ハメ外しすぎな気もして「おいおいおい」というところもありました。地元での優勝に舞い上がってるなあ、というかまだまだ子供なんだなあ、というか。スーツ姿でかしこまってインタビューされている時と同じ人とは思えず。


世界選手権以後、相当注目を浴びていますが、彼の場合、勝気な性格なのでそのプレッシャーに押しつぶされる心配はなさそうですが、ある意味、順調過ぎて、というか人並み以上にグングン急上昇しているところに怖さを感じています。このままだとソチ五輪でも表彰台に上れてしまうんじゃないか、とかパトリック・チャンの対抗馬になってしまうんじゃないか、なんて心配(期待との裏返しで)も過ります。


一方で今のような4回転ジャンプ時代がどんどん進んでいけば、膝への負担はどれだけすごいでしょうか。柔らかな少年時代の膝や軽やかな肉体もこれからどんどん硬くなっていくでしょうし、怪我への不安もあります。一時代を築いた、あのプルシェンコが6回も膝の手術をしているなんて聞くと、将来満身創痍とならないか、恐ろしい思いです。これは羽生君にかかわらず、これからの男子選手全てに言えることですが。

 高橋大輔(男子シングル2位)


今回のフリーは、素人目にはかなり残念なプログラムです。高橋選手の持ち味を堪能できないままに気が付いたら、終わっていた、みたいな感じ。一番の見せどころであるステップが全く印象にない・・・(汗)。「何これ、重厚だけで終わってるじゃない!?」と落胆してしまいました。テクニックの面では、はるかに進歩している大輔君なのに、なんか5年前のフリーに戻ったような錯覚を感じました。


私には「大輔つぶし」としか思えないプログラムなんですけけど・・・(汗)。たとえ完璧な滑りを見せたとしても、大多数の一般客に魅力を感じさせなければ、優勝は厳しいのでは?これってコーチ・モロゾフ氏の美学なのかしら?安藤美姫選手を指導していたときのフリーも、過剰に重苦しく仰々しい音楽が多くて、「ロシアンテイストだなあ、私には合わん!」と思っていたものですから。


それにどこを見てもリンクサイドに”金太郎飴”のごとく登場するモロゾフ氏。彼が超一流のコーチであることは認めますが、これだけ世界中から沢山の選手が集まって彼のコーチングを受けてるとなると、そこにまたわざわざ大輔君が入る必要性があるのか?と思ってしまいます。1年数か月後に迫ったソチ五輪。「このままモロゾフ指導の下で本当に闘うのか!高橋大輔、本当に?」と自問していました。


ただ、ベテランの域に達しても、常に高いモチベーションと安定した演技を見せ、嫌味なく若い羽生選手に対抗心を燃やす姿は、まだまだメダリストの意地を見せてくれてるなあ、と感心。それにSPやEXのあのスケーティングの完成度(ジャンプはやや不安定ですけど)、「これぞ、日本の絶対エース」と唸りました。客席からの拍手や声援ももう別格、まぎれもない大スターへの尊敬の念すら感じる盛り上がりでした。


大ちゃんが引退した後、誰が彼のような超個性的なスケートを受け継いでくれるか、当分は無理だと思うだけに切ないです。

 男子シングル 他の選手


3位のロスマイナー選手は、日本選手以外でかなりの盛り上がりを起こしてくれました。どの選手も、「シーズンベストを、このNHK杯で出せるように!」と祈りながらの応援でしたが、波に乗って素晴らしい演技を見せてくれましたね。昨年もNHK杯に出場し、3位に入ったということで日本と縁がある選手になってますね。


得意の4回転ジャンプが不調だったフェルナンデス君は残念でしたが、「調子が悪くても日本で滑るのはとても楽しい」とインタビューで答えてくれた、好青年ぶりに好感度もUP!トムソーヤみたいな顔のケビン・レイノルズ君も見られて嬉しかったです。2年前のGPシリーズで、4回転ジャンプを2回決めた彼には衝撃を受けたものです。

 浅田真央(女子シングル1位)


15歳の頃からずっと成長を見続けていた日本のスーパースターだけに、最も見たかったのが真央ちゃんでした。バンクーバー以後、ジャンプのほうは、スランプから完全に抜け出てはいない印象ですが、ステップやスピンの美しさは素晴らしい、の一言。そのジャンプだって、フワリと重力を感じさせない軽やかさに、「やっぱり違うわー」とキラキラしく見えておりました・・・フリーの6分間練習は(笑)。


フリー本番では、ジャンプがことごとくすっぽ抜け、トリプルがシングルやダブルになってしまって「これ得点的にかなりまずいのでは・・・汗」とテンション下がる客席。結局のところ、0.05という僅差で鈴木明子選手を上回って優勝してしまいましたが、客席からは「え〜っ!?(そりゃあ、ないでしょう)」という不満の声がこだましていました。単純なブーイングとは違うのです。


皆、真央ちゃんを応援しようと盛り上がっていたのですが、ちょっと残念な演技となって、「それでも鈴木選手が素晴らしかったからいいかなあ、きっとまた次もあるし。頑張れ、真央ちゃん。」なんて思っていた矢先だったので、まるで金メダルを掠め取られたような感じになってしまった、と。真央ちゃんも可哀想で、その後、ずっと申し訳ない、という表情で「ジャンプが良くなったので満足できないです。」と反省の弁を述べていて痛々しかったです。


これが採点競技の酷なところで、不正な得点操作があったわけではないでしょうから、誰にとってもなんかモヤモヤの残る結果でした。まあ、それを覆うだけの素晴らしく可愛らしいEXを見せてもらったので、今となっては「ま、いいか」ですけど(笑)。真央ちゃんに関しては、性別を超越した、もはや「絶滅寸前のアイドル」という気がしますね。


スレた私ですら感じる、あのピュアさ、アスリートとしての不屈の根性。例えば仮に真央ちゃんが男であったとしても、ほとんど人気は変わらないのではないか、とすら思えてしまいます。下手したら、結婚しても子供産んでも、吉永小百合さん並みにアイドルかもしれませんね。彼女には、それだけのオーラがありました。ま、それはともかく、真央ちゃんもいつの間にか娘らしくふくよかさも出てきましたね。


15歳の若き新星・李子君(中国)のはつらつとしたジャンプを見ながら、真央ちゃんが15歳の時を何度も思い出しました。また、アリッサ・シズニー選手の代わりに急遽出場となった、長洲未来選手にしても、やはり同じ年の頃は全身バネって感じのジャンプを見せてくれてましたし、女子選手は未成熟で身軽な体躯を失った後は、やはりテクニックや色気、芸術面といったところで盛り返さねばならないのでしょうね。

 鈴木明子(女子シングル2位)


年齢を重ね、27歳というスケート界では高齢の部類に入る鈴木選手。ただし、彼女はその年齢と反比例するかのように、どんどん魅力的なスケートを見せてくれる稀有の存在です。トリプルに果敢に挑戦する姿もいいですが、あの弾ける笑顔と表現力、どこまでもスケートが好き、と全身から滲み出ているその姿が感動を呼びます。


今回のフリーは、衣装を見たときから「鳥」のようだ、と思いましたが、「O」というシルクドソレイユの曲に合わせて、まさに鳥が舞い上がり、羽根をバタつかせる様子が目に浮かぶようで、存分にその新たな魅力を振りまいてくれていました。ここ最近の映画音楽が題材のフリーには、あまり惹かれてはいなかっただけに、ようやく明子ちゃんらしい面白いプログラムを見れた、と嬉しく思いました。


更に大学時代は宮城に住んでいて、スケーターとしても苦しい時代を乗り越えて、花開かせている彼女には、毎回感動をもらっていて、本当に素晴らしい、の一言です。今年の3月の世界選手権は、苦労が実ったベテランの選手達が表彰台に乗れて、その中に鈴木選手もいたりして、ちょっと違う喜びがありました。明子ちゃんみたいなスケーターがいるからこそ、技術だけ美だけではない、競技としての多様性を楽しめるのだと思います。

 女子シングル&アイスダンス 他の選手


今回、NHK杯には、今井遥選手も参加していました。2年前、TVやマスコミでは華々しく村上佳菜子選手が取り上げられていた時も、地道に着実に成長している今井選手は対照的な存在に見えました。決して派手な選手ではありませんが、アメリカでスケート技術を磨いて、急激に頭角を現す日が出てくるかもしれませんね。女子は、国内外どの選手もかなり浮き沈みが激しいので、まだまだ分かりません。


エレーネ・ゲデバニシビリグルジア)は、小柄でもナイスバディでコケティッシュな顔立ちも印象的でしたが、今回生で見て、その愛嬌ある笑顔に魅了されました。なかなかに人を惹きつける魅力もあって、個性派ですし、テクニックも決して低くはない。これからちょっと楽しみにしたい選手です。


アイスダンスで優勝したベテランのメリル・デービスチャーリー・ホワイト組(アメリカ)は、まさに圧巻の素晴らしさでした。アイスダンスって一番馴染みがない競技ですが、それでもこの二人はかなり強烈なビジュアルもあって(笑)、即分かりましたが、どれだけすごい実力の持ち主か、やっと実感できました。知らなくてごめんなさい、と謝りたくなったほどです。


大好きなツイズルという技も、高速リフト(?)も圧倒的な速さと正確さ。独特の妖しいムードもあり、2位以下を寄せ付けない強さでした。日本選手以外で、会場を熱狂的に沸かしたのは紛れもなく彼らです。それにしても、メリルさんのあの独特の濃いアイシャドウは、何か理由があるのかしら?チャーリー氏のイケメンぶりと合わせて、摩訶不思議なコンビだなあ、と思ってしまいます。


日系アメリカ人のシブタニ兄弟も来てくれました。世界選手権でこのコンビを初めて知り、「なんじゃ、この兄妹ペア、すごいわ」と驚愕させられたので、見ていてワクワクしちゃいました。若さゆえの思い切りの良さと溌剌ぶりなのに、年に似合わないほどのクラシカルな風格や気品も感じさせるのです。顔立ちもどこか大正浪漫風(笑)ですし。


兄のアレックス君、ガッチリとした体形で、ホームベース型の輪郭に醤油顔のいかにも昔の日本人風な顔立ちでごつさがあるのに、不思議なカッコ良さがあります。妹マイヤさんを軽々と持ち上げて、表情も変えずに飄々とすごい技を披露していくところが、素敵なのかもしれませんね。「東洋系がアイスダンスって・・・」と、イマイチ苦手だった時期もありましたが、実際見ると予想以上に面白く興奮する競技でした。


なかなかに中身の濃い試合でしたし、人気のある個性派の顔ぶれが揃っていましたし、観戦は楽しかったのですが、アイスダンス以外は、1位をとった選手の演技がクリーンで感動的なものとはいえず、肩透かしもありました。でも、NHK杯はいつも「なんかいまいちパッとしない演技で優勝が決まる」というのが恒例と言えなくもない。シーズン序盤ということで、ここから少しずつまとまってくるからなのでしょうね。


蒼い炎

蒼い炎

今さら読み始めてます。記事は、インタビュー総集編的ですが写真はどれもいいです。ただ、撮り下ろし以外は既視感あり。

*1:もっとゆっくり成長を楽しみたかったくらいです。