雅・処

好きな俳優・映画・演劇などエンタメ一般やスポーツについて自由に語ります。

スタジオライフ『続・11人いる!』観劇記

純粋に楽しめました

久しぶりの東京遠征で、スタジオライフの本公演とさんの外部公演2作を詰め込んだ2日間。さすがに消耗しました・・・。しかし、その疲労も充実感と幸せなひととき、と浸っております。正直、『11人いる!』は2年前に見た記憶もおぼろげで、「あれ?誰が11人目だっけ?」「目的はなんだっけ?」と記憶が定かでなくなっていたくらいなんですけど。


王様バセスカの星アリトスカ・レ(東の地)と敵対する兄弟星アリトスカ・ラ(西の地)、その二つの星に裏からちょっかいを出す大国ドゥーズ、これら星同士の諍いが背景の世界。平和主義の統治者でありながらも政争に巻き込まれていくバセスカ、彼を訪問する宇宙大学の仲間タダとフロル、宿敵となってしまったかつての仲間、フォースとその妹チュチュが主軸となって物語は展開していきます。


続編とは言っても、(登場人物は共通ですが)王様主体のお話になるため、特に前編を気にしなくてもいい、ということで、流れに任せて見てました。しかし、初回の最初の30分くらいは、星々の政争の説明がややこしくて、眠気に襲われた頭にはなかなか辛かったのも事実。主要な登場人物の親玉はともかく、彼らの手下となって度々登場する戦闘員達*1に、「一体、この人たちは誰の部下なんだ?」みたいな確認作業が大変でした。


2回目の観劇では、セットの丸い大型スクリーンに映し出される、星の映像と文字を見ながら、今はここの星の話なのね、と確認しながら見たので理解が進みました。それでも、まるでその混乱と当惑を挽回するかのように(笑)中盤から一気に勢いが加速していく物語に没入できます。

【頑張れ!フレッシュ君】


最初に見たJupitarチームは、曽世バセスカ、山本タダ、及川フロルでしたから、もう芝居の安定感というか、往年の黄金コンビそのまま、というか(笑)。さらに笠原さんまで出演しているので若手公演というより、「トーマの心臓、再び」みたいな状況になってました。一方で、Jr.9からフレッシュに至るまで、新鮮な顔ぶれが大役で頑張ってる姿がとても印象的でありました。


このチームでは、フレッシュの藤森君、宇佐見君が印象に残りました。藤森君は、フォースという大役を精一杯演じていて、爽やかというかまっすぐでクセのない新人らしい演技。顔立ちも整った子なので人気を集めていきそうですが、Mars組の仲原フォースがあまりに素晴らしかったので、藤森君の演技の印象がほぼ消えてしまいました(汗)。そこはやっぱり先輩との実力の差なんですけど、それは仕方がないこと。


先輩達も少しずつ努力を重ねて、何年も舞台で鍛えられていって、ある日突然、その成長ぶりをあますところなく見せられて感動するんですからねえ。Jr.7や8なんかの新人の頃を思い出して、「ああやっぱりこうやってまた歴史が繋がっていくんだなあ」と別な感慨がありました。


「ファントム後篇」以来、私的には宇佐見君が気になる存在。顔立ちは一見、地味なんですが、役に寄ってガラリと雰囲気が変わるところがあり、学生演劇もやっていたらしいので、新人とは思えないほど器用なところがあります。なんか林さんにちょっと似てる感じがしますし。いずれ主役を演じる素材となるか、バイプレーヤーでもいい線いくかも・・・と期待をかけています。というか、2作目にしてちょっとファンになりそうな予感あります。


個人的にMarsチーム一番の見どころは、内藤大希君。とはいえ、やっぱりそこはライファーなので(笑)、王様を演じたJr.9の堀川君にもかなり目が行きました。彼も”主役級”の抜擢ですからねえ。見ながら、昔の高根さんを思い出してしまいました。まだ、演技が一定とは言えず、どこかハラハラさせてしまうところが似てます。荒削りの魅力といいますか。曽世さんのズバ抜けた器用さとは比較できませんが、堀川君の持ち味の”地に足のついた芯の太い”王様像が浮かび上がっておりました。


で、内藤君。やっぱり演技がライフ役者とは全く違いますねえ。ビジュアル的には、金髪のカツラや真っ赤な服が似合ってものすごく可愛くて、文句のつけようがない感じ。実は若い頃からいろいろと演技の経験があるベテランさんなので、演技にも安定感があり、小ワザも仕掛けてくるところがあって、全体的に”ワンパク坊主”なフロルが見られました。ライフ役者と違って、女装していてもフェミニンなところが全く見られない、分かりやすいストレートな演技が目に新鮮でした。


自分を可愛がってくれるお兄さん役者も沢山いて、頑張ってる同世代の若手も沢山いるスタジオライフの世界。総じて彼は、楽しんでくれたでしょうか。千秋楽での感想が聞きたいものです。前回公演でのバラシも、自主的に手伝ったりしていたみたいなので、客演という枠を超えて劇団に馴染もうと努力しているんだろうな、とも思ったり。そういえば客席に、ライフ公演には珍しい少女の姿も有り、もしや大希君効果かしらん、とか。


むしろ相手役の松本タダは、「マツシン、どうしちゃったの?」と思うくらい、今までになく優しい兄貴風。というかフロルに骨抜きな男になっちゃってて、ちょっとビックリでした。いつもは、小柄ながらも精神的にタフネスなイメージのマツシンなのですが、全体的にすっごいソフトな印象でした。芳樹君も軽やかな感じで演じていたので、タダ役ってそういうスタンスなのかな。


関戸君のチュチュは、ジャンヌ・ダルク的な凛々しさを持つヒロイン。もう最近のセッキーは、ありとあらゆる女役を演じていて、百戦錬磨になってきてるだけに安心して見ていられます。昔から、安定感のある役者ではあったのですが、このところ良い役が続いているだけに「華」も感じられてなかなかに麗しい。


それでも、Marsチームの最高殊勲選手は、やっぱり仲原君でした。もう、心持ってかれました。

【仲原フォースに拍手!】


妹を人質に取られた状態で、王様暗殺の密命を受けて宇宙大学へ還ってくる苦悩の青年。「11人いる!」でも王様とフォースの友情は、おぼろげに印象に残っていただけに、友情と愛情の間で板挟みになる苦しみが伝わってきました。仲原フォースが死を選ぶシーンでは、「これぞスタジオライフ」という見せ場に満ちていて、入魂の演技を見せてくれていた仲原君にしばし感涙、涙、ナミダ・・・。


仲原君、お世辞抜きに今までで一番美しく見えました。ベテランの円熟の演技や、新人の懸命に背伸びした演技もいいですが、若手から中堅に移りゆく束の間に、孵化する瞬間、みたいな演技を見られる楽しみはまた大きいものです。こういうステージを過ぎて、皆のびやかに進化していくんですよね。


すっかり名脇役となって支えてる牧島君なんかも、このところ、いろいろ面白い役を振られて、それに振り回されないで生き生きと演じ分けてくれてるのが嬉しいですし。


SF作品としての面白さよりも、一人ひとりの役者の成長や魅力で、思いの外楽しめましたし、やっぱり(手前ミソですが)スタジオライフっていいなあ~なんて、つくづく思った公演でした。


原作本です。

*1:しかも同じ役者が衣装を変えて出てきたりするので殊更ややこしい。