雅・処

好きな俳優・映画・演劇などエンタメ一般やスポーツについて自由に語ります。

元気をもらえて面白かった映画「僕の中のオトコの娘」

女装娘(男の娘)に目覚める青年の物語

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昨年、モントリオール国際映画祭への「フォーカス・オン・ワールドシネマ部門」への正式出品というニュースを聞いてから、とても見たくて仕方がなかった映画を本日自宅で鑑賞しました。残念ながら一部地域での上映ということで、地元の映画館では上映されなかったので、迷わずDVDを購入。


物語は、サラリーマンとして挫折し引きこもりになってしまった青年が、「女装」に目覚めることで外の世界と再び関わりを持つようになっていく、というストーリーです。再生の物語の一種ですね。ドキュメンタリーやドラマなどでも、ニューハーフや性同一性障害などでもよく取り上げられていますが、女装自体が主題になるわけです。


BLとも同性愛ともちょっと違う世界なんですが、前から興味を抱いているジェンダー文化の一端として、家庭ドラマとしてもとても面白かったです。実際に巷で流行っている「男の娘」ブームとか、彼らを愛好する男性ともまたちょっと次元が違う、どちらかというと古風なタイプの映画です。


なのでストーリーは、一般人の私達にも理解可能なレベルでやや予定調和しています。アラサーの川野直輝君が(見慣れていくと)どんどん女装が可愛くなっていくので、もう最初っから応援していきたくなってしまうのがご愛嬌です。元々、ジャニーズJr.出身の川野君、中学時代にタッキーと3人で”怪談トリオ”というコンビをしていた時期があり、懐かしく思い出されます。


無表情でドラムを叩いていた少年が、その当時の童顔のままに大きくなっており俳優で活動しているのを知ったのは最近のこと*1ですが、今回、まさに”ハマリ役”と云える役をもらって好演しており、好感を持ちました。この映画では、川野君以外にも「渚のシンドバット」以来の草野康太さん、BL界のプチ巨匠(?)河合龍之介さん、まさかの馬場っち(馬場良馬)まで参加しており、私的には非常に目に楽しい配役でした。

【ラストの爽快感がいい】


ストーリー自体は、予告を見れば大体想像がつく、という内容なので、目新しい部分は少ないのですが、なんかとてもいいんですよね~。演出がいいのかな、1つ1つのカットが非常に細やかで、低予算映画にありがちな”粗さ・雑さ”がない。とりわけ主人公・謙介が、慣れない女装の世界に惹かれていく時の困惑の表情や充実感に浸った表情などを本当にデリケートに撮ってると感じます。


それと姉弟の関わり合いがとても丁寧で共感度がアップします。引きこもりの弟を見守る姉の視線が慈愛に満ちていて、いつでも弟を理解しようと前向きに努力しているので、全体的に追い詰められた感がありません。実際には、ああいう閉ざされた住宅街で、ちょっと異色の弟を持つと生きずらい部分がいろいろとあり、喧嘩が絶えなかったり・・・という殺伐とした現実はありそうですが、そういう意味ではファンタジー的な優しさがあります。


家族の関わりは丁寧に描きつつも、窪田監督はそこだけをテーマに描きたいわけではないのだと思いました。鬱屈した思いに囚われながら、なんとかそこから抜け出そうとあがいている、一人の青年の成長をじっと見守る保護者的目線があります。だからこそ、見てる私達は素直に応援したくなるのです。


まあ私的に超萌えたのは、謙介と昇(河合)のベッドシーンですね。久しぶりにドキドキする絡みを見させていただきました。さすがは河合さん(笑)、色気ありますわ~。それもガッツリではなく「寸止めの美学」がもうたまりません。男同士とは思えない麗しさと色気で目が釘付けでございました。2人の距離が少しずつ縮まっていく演出がまた心憎いほど巧みなんですよね、これは監督の拘りの効果だと思います。


謙介に女装の手ほどきをするカレン役の草野さん。若い頃を思い出すと、もともとの顔立ちはスッキリ綺麗な二枚目俳優さんでしたが、年季が入った今は女装がややごつくて、最初はやや引き気味でしたが、慣れれば独特の魅力が染み出ていてなかなかのもの。謙介の姉役の中村ゆりさんも、女性には目がいかない私が見ても好感が持てる清潔な演技をしてました。


謙介が働く女装スナックで「キミ、足立さんのところの子だよね?」としつこく絡んでくる嫌な男を演じた、内田朝陽さん。サラリーマンの男性役で、やたらとお節介野郎なんですが、わざわざ謙介のみならず姉の裕子にも女装を問い詰める様を見ると、「意外と”そのケ”あるんじゃないの、この人。」なんて穿った目で見てしまいました。


ラストシーン、心の整理をつけて生まれ変わったかのような解放感に浸りながら、元気に飛び出していく謙介の姿がすごく爽快でどうしようもなく可愛くて、なんかとっても心が洗われる思いでした。久しぶりに満足いっぱいの映画です。


僕の中のオトコの娘(通常版) [DVD]

僕の中のオトコの娘(通常版) [DVD]

これぞB級邦画の醍醐味という感じの、繊細な映画です。日本映画は昔から大作は駄作が多いけど、低予算作は面白いものが多いのです。配役も見事にハマってました。レンタルでも良いので是非多くの人に楽しんでもらいたいですね。


miyabi2013.hatenablog.com
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*1:映画「踊る大捜査線」の若手刑事役で登場した時にかなり驚きました。