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雅・処

好きな俳優・映画・演劇などエンタメ一般やスポーツについて自由に語ります。

NINAGAWA×SHAKESPEARE「ロミオとジュリエット」観劇記

月川悠貴

月川ジュリエットに大満足

もう10日も前になってしまいましたが、ようやく落ち着いてきたので関東遠征の思い出を記しておこうと思います。まずは、初日の蜷川版オールメールキャストでの『ロミオとジュリエット』。チケット争奪戦にあえなく破れてから、チケット掲示板を日々確認しつつも何度も諦めていた観劇。


悶々としながら、どうしても諦めきれなかったのは、主役を演じる月川悠貴君のジュリエットだから。2年ぶりの大舞台というのもありますし、今回の8月遠征を決めたのはもともとこの「ロミジュリ」こそが大本命だったからなのでした。でなければ、「ロミジュリ」という私が”史上最高に嫌いな芝居”を見るはずもない(苦笑)。


そして直前になって「当日券が出る」と知り、一か八かに賭けてみることにしました。私が行った8/14は、幕が上がってから約1週間というところで、地元から新幹線に乗り、大宮駅下車。とにかく必死に駆けつけ、10枚限定のチケットをGET!幸いにも、当日券に並ぶ人達にパイプ椅子を用意してくれていた、さいたま彩の国芸術劇場の太っ腹なサービスにも感動しました。


ハッピーなことは続くもので、席にも大満足。初めて足を踏み入れた小ホールの贅沢な舞台にも魅了されました。すり鉢状になったこの劇場は、写真で見るよりはるかにゴージャスで肘掛のない椅子は広々としており、段差もかなりの高さ。頭上に役者が歩き回れる鉄製の通路が張り巡らされ、正面には3階程度の高さになりそうな階段(非常階段にような作り)にも繋がっています。


大袈裟なセットがなくても、役者が空間を縦横無尽に動き回ることで、いろいろな景色が見えてくる、という理想的な作りになっていました。過去に大ホールでは何度か蜷川シェイクスピアを見てますが、小ホールのほうが刺激的で楽しく見ることができました。舞台自体にも、パッと草原が出現したり、礼拝堂の炎の燭台が現れたり、とても幻影的で美しかったです。


この日はビデオ撮りの日でもあったようで、いずれDVDかWOWOW放送かでまた見ることもできそうです。残念だったのは、台詞の言い間違いがやや多かったような気がしたこと。シェイクスピアの膨大な台詞ゆえ、というのもあるでしょうけど。

若手中心だけに、台詞回しは難あり


月川ジュリエットは、期待以上でした。長髪に白いドレス姿がこんなに似合う男性っているかい!?って感じですし(笑)。まだ13歳の幼い少女のピュアさを前面に出して、ロミオを翻弄してしまうところは、「さすが」とクスッとさせてしまいますし。芯がしっかりとブレないところも、悠貴君ゆえの安定感で最後まで見ていて、満たされまくりでした。


インタビュー記事を読んでいると、「女性の仕草や話し方を真似ても気持ち悪いだけ。娘役には娘役の動き方、話し方があるんです。」という至極的確な持論を展開されてて、”女役の境地見たり”といたく感心しておりました。当然、長く娘役を演じていますから、それなりの経験値や技術はあるでしょうが、それでいながら誰よりも自然体で天衣無縫に見えるところがいい。


あそこまで女役をしっかり掴んで、舞台の上で”揺るぎ無い存在”であるからこそ、本当に集中してどっぷり堪能できるんですよねえ~。どの舞台を見ていても、悠貴君がいるだけで私は幸せな気分になってしまえるんです。大嫌いなロミジュリ*1ですら楽しめるなんて信じられないほど。


夜更けに窓辺から語るあの有名な一節「ロミオ、何故あなたロミオなの」の甘ったるさ、ロミオが追放されると知った時の狂乱ぶり、何もかも観念したかのようにパリスを受け入れる芝居を打つ姿など見どころいっぱい。主演の楽しさをこれでもか、と見せていただきました。もう、今後私の中で、月川ジュリエットを超える存在は現れないかもしれません。それだけの存在でした。


そういう愛は盲目の”イタイ”ファンとして存分に楽しんだので、他のことは目をつぶります(笑)って感じですが、それでもやっぱり印象に残ったのは、若手男優陣の発声の問題でした。舞台経験の少ない若手を集めて、のことだから仕方ないとは思うんですけど、演技以前に発声が不十分でシェイクスピアのまどろっこしい台詞が刺さってこない。


自分の経験で恐縮ですが、以前ド素人のクセに演劇をちょっとだけ、かじった時に散々注意されたのが発声だったので、「そんなのどうでもいいじゃん!」って言いたくなるのはヤマヤマですが、やっぱり何はなくても発声、というは事実でした(脱力)。これだけはもう、稽古と経験、としか言えないですけど、「皆、千秋楽まで声は持つだろうか?」と心配になりました。


ロミオ役の菅田将暉君。あまり他の作品では見たことのない俳優で、写真だと大人びた表情ですが、生で見ると若々しくて可愛いルックスでした。笑顔が眩しいし、かなり”お調子者”っぽいロミオでしたが、憎めない感じが良かったです。


久しぶりに見かけた若葉竜也君、なんたってTVのチビ玉三兄弟の特集で幼児の頃から見てますからねえ、大きくなったものだ(しみじみ)。声は涸らし気味でしたが、切ない表情はなかなかのもの。遠くで見てるのに、すごく印象に残りました。それから個人的には、パリス役の菊田大輔君は、なかなかのナイスガイに見えましたね。


悲劇的なロミオとジュリエットが生涯にたった一度だけ結ばれる夜に、ベッドで離れがたそうにいちゃついてるシーンが何故か一番印象的でした。何度か映画や舞台で見ていたはずなのに、過去のものとは全然印象が違って見えたのは、ジュリエット目線になっていたからなのかしら?


これからも、月川悠貴は私を狂わす、ということが確定してしまった、まさに「幸せすぎて怖い」観劇の旅でございました。


*1:何度見ても「盲目な若い2人が一目惚れでカーッとのぼせあがったあげくに、非業の死を遂げたと勘違いして後追い自殺してしまう、身もふたもない話」というのが私の解釈。