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雅・処

好きな俳優・映画・演劇などエンタメ一般やスポーツについて自由に語ります。

林勇輔 「乙女の涙 ~もうひとつの物語~」

林勇輔

約1年半ぶりの逢瀬

8月15日(金)昼に久しぶりの宝塚公演を見終わり、夜は新宿三丁目のカールモールというBARへと向かいました。その場所は、スタジオライフご用達なシアターサンモールのある新宿御苑駅からのほうが比較的近いんだな、と事前に地図で確認してきたので、まるで喧騒をさけるかのように裏通りを歩きました。


ここへ来る前に、公式サイトに「旧新宿厚生年金会館の向かい側」と説明があったのを読んで、「えっ、あの思い出深い厚生年金会館*1が無くなったの?!」と衝撃を受けていました。それだけに漆黒の闇にその場所は、更地になったのか駐車場になったのか・・・などと考え歩いてましたが、結局はよく分からないまま。


歩道に出ている看板でカールモールは比較的簡単に見つかりましたが、表通りから少し曲がって奥まったところにあり、とっても異次元な雰囲気。店内もこれまたシックな印象で椅子といい壁紙といい、昭和な香りがプンプンと漂いました。目的のお芝居は、2階のみで公開されるので上がっていくと、椅子とテーブルを階段側に寄せ、2m四方程度の空間が空けられておありました。


芝居小屋としての予想以上の狭さにしばし驚きました。なかなかの至近距離で、見てるほうが照れてしまいそうでしたが、始まればいつものごとく集中。

【夏の夜に繰り広げられる男と女の物語】


やがて脇のほうから、口髭を蓄え、髪はベリーショートでシルバーに光るブラウスと黒のベスト姿の林勇輔氏がゆっくりと現れました。何の前説も無しに、そのまま芝居に突入。役どころは、不幸な生い立ちにより、猜疑心が強く、誰も信じず愛さないまま孤独を抱えて生きる王プルート。そんな彼の前に現れた一人の美しい女(黒瀬千鶴子)。


王家に代々引き継がれている宝(確か乙女の涙という名のペンダントだった・・・ような)を盗んだ無実の罪で幽閉された恋人を想い、自殺をしようとしたところを王に救われた、という。彼女は、やがて恋人の代わりにお城に捕えられることを望み、今まで感じたことのない想いにつき動かされた王様によって、召使として寵愛を受け、やがては妻の座に・・・。


幸せの絶頂を感じた矢先、プルートは愛する彼女に刺殺されて息絶えてしまう、という筋でした。彼女が王様に近づいた真の狙いは、富と権力を得ることだったのか、復讐だったのか理解できぬまま、王は深く沈んだ目で死後の世界から語りかけます。ラストは、プルートが「私が間違っていたのか?」と苦悶することから、怒りの爆発が起こり、福島原発事故のニュース音声などがかぶさって・・・。


プルトニウムの語源を元に作った創作であり、きな臭くなりつつある日本の現状への静かな反抗の意思(No More WAR)なども含んでいたようです。


芝居の冒頭で、黒瀬さんが涙を溜めた悲しいソロを歌い、中盤で2人のデュエット*2があり、最後は林さんソロでシャンソンの名曲「パダン・パダン」を歌ってくれました。もともとは、過去に発表済の創作作品だったそうですが、以前は、女性役のほうをやったとか?だいぶ加筆修正して、こういう話になったらしいです。


前日告知の”無茶ぶり”でピアノ伴奏の高坂さんには、記者の役などをやらせたり(とはいえ、ノリノリで演じて下さいましたが)、他の芝居の稽古中という忙しい黒瀬さんに相手役を頼んで同意を得たものの、「台詞、もう少し減りませんか?」と言われた話など楽しいエピソードも披露され、裏話を語るフリートークは話術の巧みな彼のこと、いつものごとく爆笑の渦で終わりました。


今でもあの薄暗い店内照明の中、黒いドレスを着た黒瀬さんが涙を浮かべて歌う姿が、思い浮かびます。女優さんとの二人芝居というのもなかなか刺激的で面白いな、と小さな発見があったり。単純なハッピーエンドで終わらない展開や、そもそもが”カゲを持った”人物像を演じるところとか、「林さんらしいな」と思わせる*3ところとか、なんか琴線を揺さぶるところがあるし、見に来て良かったな、と素直に思います。


一方で、今のソロ活動に対しては、色々と内心思うところはありました。来年1月は、外部の舞台に出演が決まっているようで、12月から稽古が始まるという話もありました。肝心のスタジオライフへの復帰はどうなの?と思ってしまいますが、それは何かしら”しかるべき時と条件”が揃ってからになるのかもしれませんね。


林さんの役者として才能には、昔から変わらず尊敬も信頼もあるので、たぶん大丈夫、今更揺るがないと思います。その分、一ファンとしての目線からは、「もっとこうしたらいいのになあ。」と助言したいことも本当は山ほどあるけど、そのお節介をここで吐くのは自制しておきます(笑)。今は、体調にどうぞ気を付けて下さい、また会える日を楽しみにしてます、という気持ちです。

*1:かつてウィーン少年合唱団酒井法子などを見ました。天皇陛下、美智子妃殿下、秋篠宮家ご夫婦までも。

*2:林さん曰く、唐突に始まることで笑いの誘発を狙ったものの、静まり返ってしまいアテが外れて、実は内心焦ったとか。

*3:私が見た芝居が限られているので、たまたまかもしれませんが