雅・処

好きな俳優・映画・演劇などエンタメ一般やスポーツについて自由に語ります。

スタジオライフ『大いなる遺産』観劇記

なんとなく重いドラマ・・・

新年明けましておめでとうございます。今年も、淡々と気まぐれに書いてきますので、よろしくお願いいたします。


昨年末最後のマチソワを観劇してから、もう一週間近く経つんですが、どうもこの芝居の感想を書くのがなんだか億劫で・・・(汗)。全然、まとめられない感じがしています。決して”つまらない作品”ではないんです。ミステリーでもあり、悲劇でもあり、著名な文学作品だけあって物語性や見どころは十分。


ただし、純粋に「楽しめたか?」「何度もリピートしたいか?」というとかなり微妙。マチソワで見たら移動の疲れもあって、ソワレは半分くらい意識が朦朧としてしまいました(役者の名演に対して・・・実に勿体ないことでした)。ストーリー展開が分かると、意外とシンプルで泣きの台詞も明快で、ドヨーンと胸に残る余韻は少ない感じですね。


あらすじ:主人公は、両親を早くに亡くし実の姉夫婦に引き取られた少年ピップ。彼が少年時代に、お金持ちでワケありの謎の老女ミス・ハヴィシャムに邸宅へ招待され、氷のように頑なな心を持つ養女のエステアとの出会いから始まる、奇妙な人生譚。青年となったピップは、謎の人物から好意を受け資産家へと変貌を遂げるが、全ての謎が解けた後に人生の深い意味を悟る。/span>

【中堅・ベテラン勢の渋い名演はお見事!】


全体的には、先に見たSilkhatチームの方が気に入りました。中年ピップ役は、シングルキャストで物語を俯瞰で見ていた笠原さんが、さすが、と唸らせる存在感でした。常にヤングピップの傍にいて、もの悲しそうに見守ってる(いわゆる出ずっぱり)でしたが、ストーリー進行を妨げることがありません。


そしてヤングピップ、関戸君のちょっと”闇”を抱えているような、苦悶する表情が良かったです。遺産を相続後、故郷を捨て、「貧乏とはおさらばさ!ロンドンへ出て紳士になるだ!」と語る関戸ピップのまあ、憎たらしいこと(笑)。


青木エステラがまた”毒”を感じさせる、不幸な女性なだけに、舞台上を独特の重い空気が支配しているようでした。こういう女性役をやらせたら、今、青木君の右に出るものはいない、っていうくらいの独壇場。


そして、一服の清涼剤は、義兄ジョー仲原君。「俺はいつだってお前さんの1番の友達だろ。」と、まっすぐな曇りなき心で語りかけ、人生に迷うピップを温かく包み込んでいます。貧しくともまっとうに生きている彼は、とてつもない悲しみを知りながら、どこまでもひたむきにピップを思いやる、その優しさにホロリ。


奥田ジョーも素敵でしたが、もともと松本ピップにはあまり裏暗い部分が少ない誠実青年の印象だったので、二人は本当の兄弟のように仲良く信頼し合ってるように見えました。奥田君、ライフ芝居にもっと頻繁に出て欲しい役者です。


Bowlerhatチームの弱点は、入団二年目の久保エステラですね。初めて久保君の女性役を見ましたが*1、ドレス姿は、まるで綺麗な淑女、確かに似合います。ただ、情感という部分では、かなり不足・・・。もちろん、少しずつは前進しているのが分かりますが、劇団の「次代のホープ」として毎回、背伸びさせられてるのが気の毒というか、「いつまで私は彼の演技に我慢させられなきゃならないのかしら?」と本気で思ってしまいました。


他のキャストが適材適所でかなりハマっていただけに、役不足が目立ってしまって逆に残酷だなあ、と思ってしまったのです。綺麗な子にはチャンスが多い、という劇団の悪しき慣習、もそろそろどうにかして欲しいものです。


一方で、まさかの女の子っぷりにビックリしたのは、千葉ビディー。冒頭、キャストが一堂勢ぞろいした時には、女役の千葉君に退団した舟見君の面影を見てドキッとしました。今まで元気で活発な男の子役が続いていたので、こんな異質のセンスを持ってるとは夢にも思わず、でした。なで肩というかちょっと丸みを帯びた体つきという、悲しげな瞳といい、仄かな色気といい、瑞々しい少女役が驚くほどピッタリでもう一度見たかったなあ~。


もう一人、「Back Cindy」の次女役も颯爽と演じていた、八木澤君のミセス・カーミラ役もなかなか見応えありました。過去に演技経験はあるとはいえ、フレッシュらしからぬ安定感と、アクの強さに感心。(しばらく本公演の出演してないのですが)Jr.10の鈴木君に通じる個性で感心しました。


入団前から役者経験があって、何をやっても器用にこなして感心させられる藤波君といい、若手も決してあなどれません。今回の舞台は、若手とベテランの力量差が激しかった今までの芝居と違って、若手でも自分の持ち分をしっかり請け負っており、ちゃんと舞台に溶け込んでるなあ、と感じましたね。


ベテラン勢の熱演ぶりは、もう見事の一言。「女役はどうかな・・・汗」と毎回、一抹の不安を感じる芳樹君(笑)ですら、落ち着いた演技を見せてくれました。ちゃんの中年男役も初めて?見た気がしますが、なかなか似合ってましたし。彼らも”老け役”が似合う年頃になってしまったのは、ちょっと寂しいですけど。


山崎さん、倉本さん、石飛さん、は語らずもがなの素晴らしさ。そして緒方君も中堅として味わい深い演技ができるようになったなあ、と(偉そうですが)感心してました。

【河内主宰の不在を痛感する】


いつも楽しみだったバックミュージック。故・河内主宰の選曲の確かさは、ライファーも認めるところでした。涙腺を刺激して、芝居の感動を何倍にもするパワーがあっただけに、今後、どうしても音楽面では弱くなってしまうのか、と切なく思ってしまいます。今回の演目で何か不足を感じるとしたら、音楽の効果だったかもしれません。


中流れた曲は、今まで他の芝居で使用済みの曲が使われたような気がしましたし(実のところは不明ですが)。マグウィッチとエステアが歌った曲は、ウェールズ地方の子守唄の「Suo Gan」。スピルバーグ監督の映画『太陽の帝国』で鮮烈に記憶に残った曲で、イギリス民謡と思ってましたが、本当に子守唄としても歌われるんですね。


長くなってしまったので、芝居終了後のトークショーは次回に。そして、年末イベントのレポもあるんだった(フゥ~)。



いろいろ探したのですが、やっぱりこれが一番綺麗な動画でしたね。ケンブリッジキングスカレッジ合唱団が歌うSUO GAN。

◆芝居関連サイト:
 ・スタジオライフ公演『大いなる遺産』: ジョー・クリフォード氏のブログより(翻訳)


大いなる遺産 (上巻) (新潮文庫)

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原作本です。上下2巻。

大いなる遺産 チャールズ・ディケンズ原作 HDマスター [DVD]

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こちらは、BBCがドラマ化した最新作。写真で見ると、少年ピップ役がなかなか可愛いので見たくなりました。


miyabi2013.hatenablog.com

*1:「Back Cindy」は、未見のため