雅・処

好きな俳優・映画・演劇などエンタメ一般やスポーツについて自由に語ります。

渋谷で起こる風変りなラブストーリー『宇田川町で待っててよ。』

女装娘のクラスメートに恋した高校生のお話

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『セブンデイズ』と共に今夏期待の1作であったのが『宇田川町で待っててよ。』です。こちらも原作は人気コミックということですが、私はその道には疎いので、また映画でその世界観を楽しんだ、という感じです。


予告を見ると分かる通り、ちょっと変わったBLです。高校生の”オタク”男子の百瀬が、渋谷の街で偶然見かけたクラスメート、”女装男子”の矢代。そして、その衝撃と共に一目惚れしてしまう、という変化球の効いたBLになっています。なるほど、そう来たか!というインパクトのある物語。


BLに興味がなくてもこれは面白そう、と思ってしまいますね。また、矢代が女の子と見まがうばかりの美女(女装娘)・・・ではないところも原作に沿っている、ということらしいです。この設定だけでも、この原作が成功するのは分かるなあ、と思ってしまいます。


映画を見てるうちに、男の子同士の恋愛自体よりも、もっと心を揺さぶられたのは、実は「女性として振る舞い、女性として愛されたい」と心の奥底に秘めた願望を持ちながらも、男として生活している自分がその事実をなかなか受け入れられない、八代の葛藤のほう。ああ、きっとこういう男の子(あるいは女の子)って結構いるんだろうなあ・・・と納得してしまうものがあって。


女装男子については、最近テレビでも取り上げられていて、(若干ステレオタイプとはいえ)そこまでの驚きはありませんでした。本当に女性になりたい人なのか、女装がしたいだけなのか、という違いはあっても、徐々に世の中に増えている気がします。杓子定規な日本社会にあって、緩やかなジェンダーの逸脱は、私的にはオーライな感じ。


だからといって、女装になんの違和感も持たずに矢代に迫っていく百瀬のほうが、どちらかというと気味が悪かった(あんた、ストーカー体質か?)のも事実。その辺り、漫画という媒体であれば、多少カモフラージュできそうですが、実写だと「どうして、急にそこまで?」と思ってしまうし、役者の演技次第で説得力がまるで違ってきちゃうんだろうなあ。

【もう少し話を掘り下げて欲しかった】


原作をどこまで再現できていたのか分かりませんが、もう少し二人の心の揺れ動きを丁寧に描写してくれたらこの映画、もっと見応えのある良い作品になっていただろうなあ~と、ちょっと残念に思いました。何か不足分を足したい気分で終わった感じです。


その代わり、役者さんが比較的”新人”(?)だったせいか、まっすぐ体当たりしているところは感じられましたね。変なイヤらしさはなくて、ただただ不器用だけれども必死に想いを届けたいという気持ちが伝わってきました。


八代役の横田龍儀君は、女装よりも制服姿のほうが可愛いですね、でも声が結構低めで太い(汗)。百瀬役の黒羽麻璃央君は、素顔はなかなかの美形なのに、わざと前髪を伸ばしていて、オタク系の冴えない男子に見えるようにしていたようです。


映画上映の前に、渋谷HUMAXの館内でポスターにサインをする、実に健康的なイマドキ男子の2人の映像が映って、別人のような爽やかさが対照的でした。微妙な距離感を持ちながら、2人が「本当の自分」に目覚めていく姿がちょっぴり甘酸っぱい青春、のような映画でした。


それにしても女装モノは、男と「本物ではない女」という組合わせが、偽装的なBL世界を作り出しやすいのでしょうね。いきなり男同士よりも、とっかかりは分かりやすいですし。いろんな角度で物話を見せてもらえるのは、本当に楽しめるし、いろいろと発展していってくれそうな気がして嬉しいです。


おまけ:「宇田川町」が終わって、次の映画はフロアが男性だらけ、そして「セブンデイズ」でまた女性ばかりとなり、この映画館、なんつー偏った選択してるんだ、と可笑しくなりました。あんなに渋谷のど真ん中、目抜き通りにありながらマニアックさはさすが渋谷かも。(昔からマニアックな映画は渋谷が多い、という印象です。)


DVD発売決定!どうしても主演二人の演技力の面が弱いのが・・・ちょっと残念ですが、ひとまず買う気ではおります。

■2016.1.24追記:DVDが届きまして、再度見返しておりました。黒羽君と横田君の滑舌の悪さは、やっぱり気になるのですが、八代の「自分の奥底にあるセクシャリティへの戸惑いと心の揺らぎ」はかなり魅力的。確かに、こういう視線からのBLドラマってあまり無かったなあ。トークショーでは、かなり女装をこなす役への努力も披露していてちょっと感心しました。


宇田川町で待っててよ。 (onBLUE comics)

宇田川町で待っててよ。 (onBLUE comics)

原作コミックです。


こちらはメイキングDVD。なぜかBL映画には定番となっていますね。