雅・処

好きなアイドル・俳優・映画・演劇などエンタメ一般やスポーツについて自由に語ります。

まっ白な本に記された物語は?・・・「WHITE」観劇記

恒例の新人公演


劇団スタジオライフ(Studio Life)恒例の新人公演を見てきました。夏のイメージがある新人公演が、珍しく年頭の冬にあり、150人程度でギチギチ満員の小劇場、中野の本拠地ウエストエンドでの公演です。いつものごとくWキャストで、新人達の登竜門とも言える劇団の代表作『WHITE』という作品。


私は2003年に続いて2度目でしたが、ジュニ6(6期生)をメインに演じられたこの時には芝居の内容をシッカリ理解するところまでいかなかったようです(汗)。全体的にテンション芝居で、若い劇団員が弾けるようなエネルギーで最後まで突っ走る!そんな演目だった印象は強かったのですが、肝心の内容は・・・今回見てようやく分かることが多く「そうなのかー!」と目からウロコ状態でした。と言っても「どんな芝居?」と聞かれても要点をまとめるのが非常に難しい。。。(汗)


推定'70年代*1のとある田舎町の学校・図書館が舞台です。正治・坊・岩波の仲良し(ちょっとばかし落ちこぼれ)3人組に内気な三角、憧れの美少女”マドンナ(姫)”が主な登場人物。そこに摩訶不思議な童話の世界のドジな住人達が現れ、悪者バオバブ魔界図書館から盗んだ魔法の本・WHITE(どんな願いでも書き込めば叶うという白紙の本)を追って異次元空間を旅するお話・・・というところでしょうか?


登場人物達は、途中から「星の王子さま」「走れメロス」「森は生きている」「銀河鉄道の夜」などの有名な本の世界に入り込み、喚いて、騒いで、踊って。ラストに近づくにつれてこれらの無茶苦茶な世界は、心を閉ざした三角の心象世界だということに気がつきます。


誰も信じない、夢を見ることも諦め、何をやっても無駄なんだ、と吐き出す三角が、最後は仲間達の問いかけに、自分を見つめ直して、一歩ずつ前に歩き出す。いくつもの言葉が溢れ出し、明確な意味が掴めなくても、その温かな優しい言葉の掛け合いにいつの間にか涙がこぼれて止まらず・・・不思議な味わいの作品です。


脚本家兼演出家・倉田淳さんの若かりし頃の小作品、毎度のことながら、どこかとても懐かしくて手作り感が漂っています。セットも小道具も手作りでキュートですし、何より若手達のがんばりが伝わってきて、「若いっていいなあ」(笑)と素直に感動します。


そして『WHITE』の魅力は、テーマソングになっているザバダックの「美・チャンス」の旋律です。これが聞えてくるだけでもう条件反射で涙が出るほどに大好きな曲。*2ここ最近の本公演では味わえなかった、素直に気持ち良い余韻が残りました。

【 注目の新人は? 】


3年前は、若手中心とはいえ芯となる役どころには実力派が揃っていたので、それほど新人公演という感じがしなかったのですが、今回は可愛い子ちゃん揃いのジュニ7(7期生)とフレッシュ*3ということで人数もドッサリおりますし、若さがみなぎってて「青春真っ盛り」してました。フレッシュ達は、皆まだまだ初々しい限りで突出した人は居ないと思いましたが、若干甘えめに及第点、というところでしょうか。

堂本光一君似?の仲原裕之君(岩波)、政宗君(坊)、大成功児君(坊)あたりがちょっと気になりました。今回は、本公演でもすでに若手とは思えない達者なジュニ7が大きな光を放ってましたので、さすがに新人は若干パワー負けしていたかなー、と。


お気に入りの4人、吉田隆太君(ティンク)・松本慎也君(三角)・三上俊君(マドンナ)・関戸博一君(正治)は、もう魅力満載、文句無し!ですね。
見せ場の多い松本君は、またしても涙腺を壊してくれました。元々繊細で儚げな魅力を醸し出している役者さんでしたが、このところの成長ぶりは目覚しく驚きの連続です。
三上君はどんどん女役が似合っていって、まさしく劇団の新しいマドンナの道を歩んでくれていますし、少年役も透明感があってウットリしました。(やはり女役が可愛い役者は好き度が増します(笑))。


今回初めてバズーカ砲のような台詞の洪水を体験した関戸君、とかく台詞を話すのが精一杯・・・となりがちなところをちゃんと意味が分かるように実感を込めて話しているところに感心しました。アドリブも入れたり、自分が楽しんでいるのが分かります。表情も随分キリリとしてきましたね。一方で今回は”キモ可愛い”娘役ぶりが見られなくて残念でしたけど(笑)。
吉田君のティンクは、いつも通り、よどみない台詞回しで安心して見ていられました。今までで一番シッカリ者(笑)のティンクでした。


倉田さんは、劇団自体が今やかなりの大所帯となり(50人ほどになったかな?)、比較的役付きの悪くなっている?役者にもチャンスを与えることがよくあります。その勇気(=無謀?)には時に驚くことも多いのですが、そのチャンスをモノにして一気に伸びたり、バイプレイヤーとして個性を出していく役者もいます。大沼亮吉君(正治)、宗村蔵人君(ティンク)、荒木健太郎君(三角)などが今回はそのチャンスを貰って、いつも以上に頑張っていたと思います。


荒木君の三角は、不器用で心を閉ざしているところが本人とダブるような感じで松本君とは違った意味で泣けました。
大沼君は、やたらと物語の時代にマッチしてるようなところがあって現代青年というのが嘘のようでしたけど(笑)、意外にハンサムなのねえ(失礼)とも思ったり。


またシニアや先輩役者達が”お遊び感覚”で特別ゲストで不良青年&不良少女で参加したりして楽しませてくれました。私が見た時は、甲斐さん&末松さん、楢原さん&舟見君のカップリングでしたが皆いつもよりずっとリラックスして笑わせてくれました。こういう上から下へのちょっとした繋がりが小劇団の持ち味でとてもよろしいです。


バオバブは、達者すぎる林勇さん。男でも女でも何でもござれ(笑)、普段は断然見事な女役が好みですが、悪役はいつになく凛々しかった~!珍しく男役が素敵に見えました(笑)。軽やかに舞い踊る姿も麗しく。
しかし、前回から引き続いて石飛幸治さんのバオバブを見られなかったのが悔やまれてなりません・・・(涙)。いつになったらお会いできるのでしょうか。


そういえば3年前は曽世海児バオバブの華麗なダンシングがありましたっけ。これはもう一度見たいなあー、と願ってしまいます。


古き良き時代の息吹を感じさせ、無垢な魂を呼び覚ます『WHITE』。この作品で次はどんな新人達が活躍してくれるのかな?と早くも次回を期待してしまってます。芝居に出てきた名作の数々も童心に戻って読んでみようかなーと思う昨今です。


※画像は物販の学生証型メモ帳です。チケットの半券が学生証になり、別売のパスケースと劇団員の写真(身分証明書用)を購入して貼ると完成、という代物。校章は、及川健氏デザイン。


創世紀~ザ・ベスト・オブ・ザバダック+2

創世紀~ザ・ベスト・オブ・ザバダック+2

耳に残るテーマソングは、「美・チャンス」。リエさん、その節は曲を教えてくれて有難うございました!全体的に不思議感あるサウンドです。

*1:むりやり流行歌を現代のものにしてますね。今回は平井堅があったり。

*2:他にも懐かしいサウンドの数々がありますが。

*3:今回が初公演となる新人。次の新人が入ればジュニ8