雅・処

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ヴァンパイア祭り完結、『ヴァンパイア・レジェンド』観劇記(3)

気高きママ、林勇

Aキャストは、笠原浩夫曽世海児コンビの「濃い愛の世界」に周りが翻弄されている感がありますが、それと対照的に及川健&山本芳樹コンビのBキャストは、ゆったりソフトなイメージが広がっていて同じ作品とは思えないほど違いがありました。


シングルキャストである、ジョージの母エリザベスの林勇さんは、この両者の違いをしっかり押さえてアプローチしていたのがさすが、と唸りました。*1ご当人は女役ばかりが続くことに対しては決して手放しで喜んではいないようですが(笑)、この芝居を見ればあまりに女優あまりに伯爵夫人なので圧巻!としか言いようがありません。


林エリザベスにとって最愛の息子、曽世ジョージは、世間知らずではあるものの地に足のついた逞しさは醸し出しているので「全く困った子ねえ、もうちょっとシッカリしてくれるとありがたいんだけど・・・」という目で見てる感じです。そして、ジョージを誘惑する笠原ゼーリヒに対しては、猛烈な敵対心で息子を守ろうと必死な形相です。


対する山本ジョージには、もう可愛くて仕方がない、とメロメロ溺愛状態の母ぶり。及川ゼーリヒについても、ちょっと納得がいかないこともあるけれども、ひとまずは大事なお客さんだから・・・という心遣いを感じます。夢遊病を装って外へ出たゼーリヒに対して、同じ台詞なのに全く違う感情を表現している様には感動を覚えました。台本を読みこんで、違いを瞬時に把握したのか、と思うとちょっと恐れ入ります。


また彼の<女性的な高く美しい声>はいついかなる時も歌っているかのような心地良さで、たまらなく酔わせてくれます。気品の高さやドレスを持っての所作の見事さも毎度感心しますし、「舞台に立つことこそ喜び」ということを全身で伝えている人だなあ、と思います。

【 その他の脇役陣 】


家庭教師ラフォンテン(A:藤原啓児 B:石飛幸治)と乳母のペロドン(A:関戸博一 B:青木隆敏)は、やはり普段の仲良しコンビが功を奏し、Bキャストのほうが自然体で好みでした。藤原さんは時折、おふざけが過ぎてしまうところが辛いのですが、主演コンビが濃いものだからそれも仕方ないのかしら?


関戸君は若いのに独特の落ち着きを持っていてかいがいしく演じているところに好感を持ちました。声は低めなのにちゃんと女の子(乳母にはちょっと若すぎますが)に見えました。青木君は普段より若干抑え目に普通ぽい女性を演じていてこれまたイイ感じです。石飛さんは家庭教師役がハマリ過ぎ(笑)。大人の女性の慈愛まで伝わりました。


シュピールスドルフ将軍は、寺岡哲奥田努のジュニ5の同期コンビ。最近、初老の男性を演じることが多くなってきた彼らですが、残念ながらまだまだ・・・かな。これは配役的にも、船戸さんや石飛さんなどが演じたほうがいいのではないかな、と。寺岡君は良くも悪くもどの役でもあまりキャクターが変わりませんが(情けない男役はなかなか)、役者として見せる技術を磨いて欲しい、と思ってしまいます。


奥田君も「ワシが・・・」と語るのにはちょっと無理が多いのですが、甥のヴェルトが「ファンが選ぶ2005年度ベストカップル賞」の相手役、松本慎也君なので目に入れても痛くないほど可愛がっている(笑)のが伝わりました。そのヴェルト役は、三上俊君ともどもどちらもOK!誘拐したくなるほど(冗談です)ラブリーで非常に満足です。


牧島進一君は、最近、先生や医師ばかり演じてない?微妙に脇役路線を突っ走ってるようでちょっと勿体ない存在ですね。牧島君の低くて落ち着いた声はとても気に入ってますし、演技ともども人に安心感を与えてくれます。


少女役からマダム役へと移行しつつある舟見和利君ですが、「熟女でもなく、美少女でもなく」と特異なキャラクターに育ってて頼もしいです。男役だとまだまだ青年にしか見えないのに、女役だと一際妖艶になるのが凄いですね。


マーティン役の大沼亮吉君は、朴訥な使用人をやらせると妙にハマります。やはりこういう肉体派も必要ですね。船戸さんは何役もこなしていましたが、やはり安定していて出てくるだけでホッとします。


★次回作は、スタジオライフの代表作であり名作でもある『トーマの心臓』。新しいキャスト発表が現在、非常に気になっています。


miyabi2013.hatenablog.com
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*1:私の1番のご贔屓役者さんなので分かるのも当然といえば当然ではありますが。