先日、花組博多座バージョンの『あかねさす紫の花』の舞台映像を久しぶりに見返しました。毎度のことながら、この作品を見終わると私はあまりにものめり込んでしまって軽い”ビョーキ”状態になります。
「宝塚で最も好きな作品は、『エリザベート』だ!」と即答する私でも、『あかねさす〜』を見たときの胸を締め付けられるような切なさを思い起こすと別な意味で、大好きな作品だと認めざるを得ません。
最近では苦手だった日本史古代の世界について興味が深まって、関連する書籍や漫画などを探し求めて読むほどに、どうしようもなく後ろ髪を引かれ、余韻を味わう作品になってしまいました。
【 万葉ロマンを楽しむために 】
まだ読んでる途中のものが多いのですが、宝塚の『あかねさす紫の花』の世界を深く楽しめる本や漫画を挙げておこうと思います。学生時代は、万葉集も古代史もとにかく苦手ジャンルだったのですが、芝居のおかげでとても気になる気になる〜(笑)と変わってきました。それにしてもこの時代、婚姻関係の複雑さには頭を悩ませます(皇子がどうしてこんなに多いんじゃ〜!!)。
現在の日本では4親等(イトコ)から結婚可能ですが、古代日本の権力者の間では血縁の濃さが顕著でした。驚いたのは、異母兄妹が結婚できる!という事実(異父兄妹はダメですが)。芝居の中でも中大兄皇子が大海人皇子に差し出す娘2人は、大海人にとっては姪にあたるわけです。現在、読んでいる『天上の虹』という漫画では、大海人が婚姻を結んだ中大兄の娘、う野皇女(讃良、後の持統天皇)が主人公なので1,2巻で「あかねさす〜」の世界も別な視点から楽しむことができます。
また母の身分が低いと”生まれの卑しい子供”となってしまい、皇族の母親からの子供が第一後継者となるのも面白いです。壬申の乱で中大兄の息子・大友皇子と弟・大海人皇子が争っているのも、力がある者こそ国を制す、という考えがあるからなのでしょうが、親族(親兄弟、子供達)を滅ぼすなど、非常に苛烈な時代だな、と思います。
私の数少ない知識の中でまとめると、主要人物は下の表のような感じになります。物語の中では、数々の血生臭い政変や事件が嫌でもつきまといます。更に権力者の移り変わりが激しく、息子・娘の時代まで平穏無事に政権譲渡などできない時代だったのが分かります。そんな時代の中で、愛を育み、時に奪い、人々は懸命に生きていたんだろうなーなどと、思いを馳せてしまいます。
№ | 種類 | 作品名 | 登場人物 |
---|---|---|---|
1 | 漫画 | 日出処の天子 | 聖徳太子、蘇我蝦夷 |
2 | 宝塚 | 飛鳥夕映え | 蘇我入鹿、中臣鎌足、軽皇子、蘇我石川麻呂 |
3 | 宝塚 | あかねさす紫の花 | 中大兄皇子、大海人皇子、額田女王、中臣鎌足 |
4 | 漫画 | 天上の虹 | 中大兄皇子、大海人皇子、う野皇女 とその子供達 |
※一応、年代順に並べてみました。
- 作者: 山岸凉子
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もはや少女漫画の傑作として有名すぎる作品。
古代史の面白さと、厩戸王子の魅力に衝撃を受けました。
- 作者: 井上靖
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額田女王の人生を描いた長編小説です。
「文学」の世界は、基本かもしれません。
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「あかねさす」の世界も含みつつ、飛鳥時代を総括できる
長編ロマンです。中大兄・大海人の息子の代まで分かります。
- 作者: 長岡良子
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万葉ロマンを一番描いているのは、長岡良子さんかも。