雅・処

好きなアイドル・俳優・映画・演劇などエンタメ一般やスポーツについて自由に語ります。

人生最初の感動漫画『7つの黄金郷』

GW中に真っ先に読み返した少女漫画は、山本鈴美香作『7つの黄金郷』でした。思い起こすと私が最初に読んだ長編少女漫画でもありました。それも書店で何と言うことなしに「面白いのかな?」と手にとった作品だったのですが、これが今に至るまで最愛の漫画になるのですから、運命の出会いと思わないでいられません。本の表紙は、当時のお約束のような(笑)金髪碧眼の美少女のアップでとても印象的でした。


あらすじ:舞台背景は、16世紀のイギリス。スペインを始めとする旧教国の列強に囲まれて、新教国の大英帝国はいつも存亡の危機に揺れていた。皇族出のビクトリアと結婚したレッドフォード侯爵*1には双子の子供達−エロール(男)&オリビエ(女)−がおり、第3位の皇位継承権を持っていたため、敵対するスペインに命を狙われ、幼少期より海賊船で育てられる。オリビエの背中には、秘境エルドラドを示す暗号が刺青で彫られており、重い宿命を背負っていた。14歳になった双子の”天使”達は、父に呼び戻される。彼らの護衛として命を受けたのは、ジプシーに育てられた、マンスフィールド伯爵(アーサー)と泥棒貴族、ビンセント・ブルーという二人の優れた若者。やがて、国同士の様々な陰謀や駆け引きが渦巻く激動の時代に、伯爵であるアーサーと旧教国で絶大な力を持つ放浪のイタリア人画家、クレメンテ公ロレンツォがオリビエに情熱的な恋をする・・・。


ヨーロッパの歴史をベースにしつつも、物語は一瞬たりとも飽きさせることない文句なしの面白さです。更に、よくよく読み返してみればこの漫画、とにかく美形男子に事欠かない。というか、どこ見ても美形揃いなんですね。主要登場人物であるアーサーはいかにも、のハンサムさんですし、ストレートの長髪でシックなビンセント・ブルーや、アーサーの軍師で半身不随の病弱なマリオット・ローランも美形。出番は少ないものの、双子のお父様、レッドフォード公の麗しさには、(子供の時より)今の方がトキメいてます(笑)。

【 傲慢だが美しすぎる、最愛の公爵さま 】


そして私にとって今も昔も変わらずに大好きなのは、クレメンテ公ロレンツォ様。若い頃の美輪明宏様を彷彿とさせるその妖艶な美貌と奔放な行動(ちょっぴりワガママで)、歯が浮くようなキザな台詞廻し・・・天下逸品、卒倒ものです。オリビエを巡っては、アーサーと時折、激しく対峙することもありますが、この二人はあくまでも血迷わず(根は情熱家ですが)、冷静沈着で”オトナな紳士”ぶり、もうウットリと酔わせるのです。こんなところも憎らしいほど見事。


いやはや、1人の魅力的な女性(←何気にここもポイント)を二人の、正反対で同等の華麗な男達が取り合うってパターン、猛烈に好き(笑)なんですけど、もしかしたら私のこの性癖は、この漫画にルーツがあったのかもしれません。


恋においては、どうも劣勢(かな?)だったロレンツォ様ですが、子供の頃(幼名:サンドロ)の過酷な人生を知ることで判官びいきな読者をかなり招きよせたと想像されます。だんだん、主役は本当にオリビエ?(笑)と思うほど出番が増えて、妙に活躍するようになってましたね。その後、有望なイギリス人の若者を惨殺した、アーサーの宿敵”紅蜥蜴”の出現から、ストーリーが大きく動いていくぞー!?と思っていたところで、なんと未完。。。この切なさを噛み締めた読者は私だけではないでしょう。


10数年前に「待望の続編が!」ということで新装コミック本が発売され、胸を躍らせて待っていたのですが、作者の体調不良?などからまだ再開されませんでした*2。それでも、この先もずっとこの漫画は忘れることはないでしょうし、ちょっと日々の生活に疲れを覚えた頃には、この魅力的な登場人物には恋のエキスを分けてもらえるでしょう。こんな素敵な作品は埋もれずに、沢山の人に愛されていって欲しいなー、と心ひそかに願い続けております。


文庫版です。

*1:結婚するまで、男か女か明かさないという素敵なしきたりの家柄です。

*2:実際、続編はほとんど望み薄の状態で、絵コンテ段階の原稿が巻末に追加されたり。