「４４００　未知からの生還者」奇想天外な設定での人間ドラマ

最近連続ドラマは、とんと見れなくなった私が、珍しくワクワクしながら見ている海外ドラマが『４４００』（WOWOW放映）です。

ドラマの性格上、”フォーティーフォーハンドレッド”と英語読みしたほうがナルホド、と実感が湧きますが、これは1946年以降にある日、忽然と姿を消し、再び現れた生還者のトータル数を意味してるのです。

「何故」「何のために」失踪者となってしまったか分からない人々。数十年前に居なくなった人もいれば、ほんの数年前に姿を消した人もいます。そして失踪した時のその姿のまま（歳もとらずに）、全員が謎の巨大な光と共に湖に出現します。主人公である国土安全保障省の捜査官トムと科学者ダイアナが彼らを調査していくのです。

まずは細かい設定など把握しないで見始めたものの、とにかく目が離せないほど面白く引き込まれました。ある日突然、最愛の人が、家族が、友人が消えてしまって、何年もの年月が経ってしまったら？その人が消えた時と同じ姿でまた現れたら･･･
　「一体、あなたならどうする？」

物語は超常現象とドラマを交えてスピーディに進んでいきますが、裏ではそんな根源的な問いかけを常にされているような気がします。

【過去に失踪した人が、現代に戻ってきたら？】

さらにドラマの主要キャストとなっている４４００の中の数人がまたそれぞれ人間ドラマを形成していてとても面白い。私のお気に入りは、マイアちゃん（コンチータ・キャンベル）という金髪の少女。1946年に８歳で行方不明となり、戻ってきたときには両親は既に死亡、身寄りのない彼女は大人達の中で物静かに（何かを諦めてしまったような表情で）振舞っています。但し、彼女が持ってしまった飛び抜けた予知能力は、人々を彼女から遠ざけてしまいまう結果に。

また51年に失踪した黒人男性のリチャードは、兵士で当時、白人の恋人がいました。まだまだ人種差別の激しい時代を生きていた彼が、現代の収容所*1で、恋人にそっくりなリリーという女性に出遭います。実はリリーの祖母がリチャードの恋人だったのです。

リリー自身は、'93年の失踪当時、夫との間に幼い一人娘を設け、母親として幸せいっぱいに生きていました。ところが、リリーの失踪後、夫は再婚し、12歳となった娘には新しい母親がいて、夫からは「私達の幸せを壊すな」とばかりに拒否されてしまいます。彼女にとってはまばたきをしたような一瞬で、全てが大きく変わってしまったわけです。

【非現実の中の現実】

突拍子もない設定ではありますが、”まるきり価値観が変わってしまった世界に放り出され、拒絶される悲劇の人達”のドラマ、と見ることもできます。彼らは罪無く、時間を奪われ、パワーを持ってしまったことで人々から好奇の目で見られたり恐れられたり、気付けば家族すら本当の自分を理解してくれない、と疎外感に苦しんでいます。

ノスタルジックな部分と、それぞれに”超人パワー”を身に付けた４４００（生還者）と捜査官達の対決の図式、加えてそもそもこのようなことが起こってしまった「謎とき」の要素もあって、毎回吸い込まれるように見入ってしまいます。現在は、第１シリーズですが、まだまだ第３シリーズまであるそうなので楽しみは続きますね。

しかし、「最近のアメリカ映画は･･･」という嘆き、とは別に「アメリカのドラマって個性的で面白い！」を実感させられました。コメディ系ファミリードラマや社会派ドラマは前々から人気を博していましたが、この「４４００」のように人間ドラマとＳＦモノを組み合わせたような映画以上に魅力的なドラマもどんどん出てきて、精彩を放っています。ちょっと似た系列？の『LOST』というドラマも見てみたいものです。

また、こういった海外ドラマには、あまり馴染みのない個性的な俳優が多いので、とても新鮮でキャラクターも他と被ることなく楽しめていいですね。ますます日本のドラマから離れてしまいそう。。。

◆WOWOW宣伝サイト：4400 未知からの生還者｜WOWOW ONLINE

→ プロモーションビデオも視聴できます（現在は休止中）。

◇アメリカ公式サイト：The 4400 TV Series, Television Show Seasons and Characters - USA Network -The 4400 Television Series Battle Over Promicin

◆eiga.com特集ページ：THE 4400/フォーティ・フォー・ハンドレッド（フォーティ・フォー・ハンドレッド） - 海外ドラマ映画.com
　→なかなか本格的な特集になっています。