雅・処

好きなアイドル・俳優・映画・演劇などエンタメ一般やスポーツについて自由に語ります。

辞めても好きな人(2)~汐美真帆~ 男役随一の妖艶さを持っていた人

現在の宝塚のトップスター、春野寿美礼ちゃん、コムちゃん(朝海ひかる)、そして次期トップスターに決まっているトウコちゃん(安蘭けい)という”花の'77期”には、際立った個性を持つ男役が揃っていました。


更に忘れてならないのは、2年前に惜しまれて退団したケロちゃん、こと汐美真帆さん。彼女はいわゆる「いぶし銀」とか「別格スター」と形容される、無比の宝塚スターの一人だったと思います。


そのツボに入ったときの艶やかさといったら、魂持っていかれるのは序の口で、何かの’間違い’が起こっても仕方がない(笑)と思わせるほどの強烈さ。フェロモンからとって「フェロ」なんて別名で呼ばれるほどでしたし、往年のハリウッドスターと張り合っても負けないだろうとすら思うほど見事な紳士ぶりでした。


【出会いは、異様にノってた月組で】


私が彼女を知ったのは、'99年月組伝説のケッタイ&悪趣味すぎてブラボーなショー『BLUE MOON BLUE』のフィナーレ、銀橋でのメドレーの時。ウキウキしながらビデオを見ていて、突然「誰、ダレ、これだれっ?!」となりました。


顔よりもそのハスキーボイスが先に降ってきたのですが、その声の主は?というと娘役二人に挟まれてアラビアンナイトのごとく現れたケロちゃん。眩しい笑顔と同時に客席へ熱い流し目を送っていました。


まさに”一目惚れ”とはこのことです。当時、私はリカちゃん(紫吹淳)の熱烈ファンだったため、その後も月組とは長いお付き合いを続けることになりました。ケロちゃんを存分に堪能できたのはラッキーでしたが、二人が同じ舞台に立つ瞬間は、「どちらを見ればいいの(涙)」という苦悩に襲われ、なかなか気の休まらない・・・思えば贅沢な悩みを持っていたものです。


しかしながらケロちゃん的に面白かったのは、マミさん(真琴つばさ)の子分”シューマッハ”の一人*1として活躍していた頃ですね。歌番組『夜はヒッパレ』にもマミさんのバックダンサーとしてカッコ良く出演してましたし、芝居の役柄もやけにハツラツだったり、味のあるタイプで変化を楽しめました。


つい先日、WOWOW放映の『ジャズマニア』を久方ぶりに見ました。このショーは、リカちゃんお披露目公演のおかげで10回以上観劇する羽目になったものの(汗)、「なんとか飽きずに見れたのは、ケロちゃんのおかげだったかもなあ・・・」と懐かしく思い出しました。見せ場は、ガイチさんの横でタキシードを着たケロちゃんが西條三恵ちゃんとの濃厚なダンスを見せるシーン。


そのアブナイことといったら、もうそこだけ夜の淵に吸い込まれ、そのまま二度と日の目は見れないのでは・・・というダンスです(ホントか?)。なんというかケロちゃんは、生物的に「女」というのを反古にしてしまうだけのイケナイ存在でした。まさに上品なジゴロの風格。あともう少し長くダンスが続いてたら、たぶん魂を抜き取られて廃人になってたでしょう。


【星組への異動後も不死身のケロちゃん】


その後、「この時期になぜ星組?」と思うような衝撃の異動があり、非常に慌てさせられましたが、ケロちゃんは私の心配をよそに新しい組でも独特のカラーで頑張ってくれました。但し、彼女の持つクラシカルな色気と、星組の”野郎”な雰囲気は、最後まで混ざり合うことはなかった気がします。


星組時代で一番覚えているのは、退団公演のショー『ロマンチカ宝塚'04』での都会の荒くれ男(役)達のダンス。緑のスーツ姿でしいちゃん(立樹遥)と組んで踊るケロちゃんは、ダンスの合間に一瞬の隙もなく得意の”幻惑的な眼差し”で挑発しまくりでした。男役の有終の美を飾るにふさわしい素敵さ。


2階席からの観劇では、独特のアップテンポのサウンドとダンスに惑わされて、その細かい芸を堪能することは困難でしたが、その後DVDで見返して、ケロちゃんのヤバすぎな技に骨抜きにされました。


娘役のウエストにすっと手を伸ばし、ぴったりと体を寄せ付ける。背後から斜めに彼女を冷たく見下ろし、顎をクッと持ち上げ、彼女の耳元に妖しく囁きかけるように己の顔を寄せる。しかし合図があった途端、「無用の女」と無造作に彼女を突きし・・・ってそんなクラシック映画みたいな芸当、どこで仕入れたのでしょうか、貴方は!!何度見ても体が火照ってきます。


ああ、なんかこんなことばかり書いてるとまるでケロちゃんがケダモノかイロモノに見えてしまって失礼千万かも・・・(汗)。地球を二周半するくらい女を超越している、麗しき”男役”ですが、ケロちゃんの本当の素敵さはその清らかなハート。それについては、また近いうちに。。。(あらら)

◇汐美真帆さんの素顔:
 TAKARAZUKA Cafe break 5月 8日のゲスト
 → ちょっと若くて爽やかな素顔。

辞めても好きな人(1)~夢輝のあ~ - 雅・処

*1:メンバーは、他に大空祐飛大和悠河霧矢大夢