雅・処

好きなアイドル・俳優・映画・演劇などエンタメ一般やスポーツについて自由に語ります。

『恋の骨折り損』観劇記(3) 新しい恋?の初期症状

いつまでもこのネタをひきずってはいられない・・・と思いつつ、季節の変わり目はめまぐるしく、なかなかゆっくりブログを書けないでいました。その間もふと観劇の記憶を蘇らせてはフーっと溜息。芝居自体にはあまりときめいてないくせに(汗)、月川悠貴君のあの優雅な姿だけが脳裏に蘇ってきます。


悠貴君が何か台詞を喋っているときではなく、むしろ何気なく舞台に佇んで、人々を洞察しているような姿が浮かんでくるんですから重症です。通路からソロソロと登場するときも他の役者達と違って、もう雰囲気全てが「高貴な女」を漂わせて、拝みたくなるほど神々しい姿でした。視線は虚空を見据えるも、いたってさり気なく、一つ一つの動きは余韻を持たせるかのように、あるいは焦らせるほどにゆったりとしています。


王女や他の侍女達がはしゃいだり、男達が恋に身をよじる姿を一歩引いて冷静に見つめる女性、マライア役。年下のキャサリンの両腕をふわっと包み込むように掴むさま、小首を傾げて、そっと試すように男達を眺めるその瞳。もはや言葉がない演技のあまりの”麗しさ”に目が釘付け、で凝視してしまいます。もちろん、台詞廻しも女性的で可憐、まるで歌うように語りかけてきて、ウットリと聞きほれてしまいます。


TV中継とナマの舞台の違いはここだ!というように、ほぼノンストップで悠貴君の女役を見続けていられて、幸せを噛み締めていました。まさしく目がハート、というかプチ・ストーカーな気分といいますか。悠貴君のさり気ない仕草を見ているだけで、内心「ワーキャー」と舞い上がってるのってどうなの、と思い切り視点がズレているのが申し訳ないくらいでしたけど(笑)、滅多に見られない完成度の高い”女役”を見られる瞬間でしたからこれも仕方ない。


悠貴君の作り出す女性は、とにかく”気高くも麗しい貴婦人”なのです。男優が「ちょっと頑張って女役やってみました、イェーイ!」というノリではなく、そこにあたかも初めから実在するかのように超然と立つ”生粋の女”なのです。奥ゆかしいけれども、そこはかとなく匂い立つような色香が立ち込めております。ご本人もすでにある種、女役を自信を持って演じているし、周りの役者達も一目置いて認めているのが分かります。


パンフレットを読むと「月川悠貴でいる時は極力美しくありたい。・・・美しくないない所から美しいものは生まれないから。僕は美しく死ぬために生きています。」などと、「貴方も、もしかして美輪様*1の信者?」なんて問いかけたくなるような超ナルちゃん(ナルシスト)発言で、喜ばせてくれます。私は自分や他者を客観的に観察する厳しさと同時に究極のナルシストを演じられる人がとても大好き。彼は、すでに充分その要素を持っていらっしゃる ・・・ おお、神よ!(笑)


そういえば、ホールのそこここで、蜷川演劇に通い続けているような演劇ファンが悠貴君のことを話しているのを耳にしました。TVで活躍する役者さんとは違った、熱い眼差しを劇場で受けている役者の一人なんだな、と実感したものです。


【月川悠貴の経歴とは?】


まあ、そんないつものビョーキが湧き出したところで、ちょこちょこっと悠貴君について調べてみるとなんか意外なネタがあれこれ降ってきました。'85年からすでに活動していたということで芸歴22年のベテランさんであることや、実は推測していた年齢より遥かに年長らしいことや*2'98年には演歌歌手でデビューした、という意外な新事実も知りました。ちょっと前までは芸名が月川勇気だったそうですから、案外どこかでお目にかかっていたかもしれません。


以前、劇中で歌ったこともあったようなので、歌好きの私としてはかなり気になります。そして、比較的最近録音したCDがある、ということも知り、注文してみました。全6曲(うち、カラオケ2曲)の中で、悠貴君のソロが2曲。それも全然、タイプの違う曲でした。最初に聞いた「JAZZに恋して」という曲には、電撃ショックが走りました。


これは「若き日の美川憲一か?!」というようなムード歌謡チックな歌声。場末のバーで水割片手に「男なんて何さ・・・」なんて涙ぐみながら聴きたい曲(←もちろんそんな経験はありません)です。今、確か21世紀だったよね?と確認したくなるほど、やたら懐メロ調で、ちゃんと”こぶし”もまわっているし、落ち着きすぎのテナーボイスにウケまくり。しかもこれ、ご本人の作詞作曲なんです(汗)。


次の「MY ANGEL」という曲では、城みちる*3くらいには若々しくなって(笑)爽やかな歌声に変わります。明るく柔らかいサウンドでも、尺八が入ってるところが渋い!あの麗しい淑女姿から想像できない、しっかりとした低めのムード歌謡ソングに、「あなた一体何者よ!」のギャップに襲われました。しかしあなどることなかれ、そんな彼に一段と惚れ直してしまうわけです。


こりゃあ今度は是非一度、彼の生の歌声を聴かねば!、と。そして次回公演『お気に召すまま』再演の地方公演のチケットもGETし、悠貴君の魅力にずぶずぶと引きずり込まれてきている昨今です。小栗旬成宮寛貴など人気の若手役者も登場するこの作品、そんな中でも悠貴君は、今度はもうちょっと目立つ役どころのようですから、期待大です。

◆楽団悠翔 広告:楽団悠翔|東京都練馬区|エリア毎日|毎日新聞

 → 会場で悠貴君のCDを買い損ねましたが、こちらのサイトでも通販してます。

*1:美輪明宏さんの語録に”美”や芸術は欠かせない要素として出てきます。

*2:若手俳優なんて書いていたのに。その見た目の若さに愕然!

*3:'70年代の男性アイドル歌手