雅・処

好きなアイドル・俳優・映画・演劇などエンタメ一般やスポーツについて自由に語ります。

スタジオライフ 『カリフォルニア物語』観劇記(2)

ストーリーより役者で見る

あらすじ:厳格な父親に反発し、ドロップアウトしたヒースは故郷カリフォルニアからN・Yを目指す。ひょんなことから知り合ったプエルトリコ系の少年イーヴとN・Yで暮らすヒースだったが、新天地で始まる新しい恋や友情、その裏側で仲間達のトラブルに巻き込まれ、ハードな生活を送っている。ヒースへの恋心と過去の痛みを抱えて、アパートを飛び出したイーヴを襲った不幸がヒースを打ちのめす。


4チーム構成ではありますが、実質はダブルキャストです。A,Bチームを見終わってまずの感想は、スタジオライフ役者で固めた「Cチームが見たくなった」ということ。(外部キャストのファンなら、きっとDチームが見たいんじゃないかな。)それだけ、やはりスタジオライフの役者と外部キャストの演技の質の違いが大きくて、主人公として”一番の要”であるヒース&イーヴが、最後までしっくり感がない・・・気がしました。


まずはヒース役。最初に見たのは林剛史さん。写真から漂う荒削りなイメージとナマの姿はかなり違いました。実にハンサムで、漫画から抜け出たようなキレイな容姿でした。長髪も似合いますし、演技も抑え目でスマートな感じ。若干、色気は乏しい感じですがクセが少なく、全体的にシンプルな演技でした。爽やかで清潔感を感じさせる役者さんですね。


また台詞も聞きやすく、スラスラ流れるように話していましたし、後半は少しずつヒートアップしていって終盤の見せ場では「なかなかやるな~」と引きつけられて。ちょっと倉田さんの世界に引きずり込まれてる一瞬があったので、これからもしかしたら何か変化が出てくるかもしれません。林ヒースを見ながら、


 きっと大ちゃんはこの3倍は熱いだろうな~


と頭をよぎっていったのですが、予想通りというか、それ以上というか、やっぱり”Mr.スタジオライフ岩崎大”版ヒースは、怒鳴る、わめく、荒々しく尖がってて、火傷しそうな激しさと時にガラス細工のような繊細さを見せつけます。

【大ちゃんに想う】


体もシャープになってビジュアル面も満点だったのは嬉しい誤算でしが、大ちゃんに”この手”の役どころをやらせたら、強引なほどに突っ走って役自体を己にハマらせてしまうのは当然のこと。思えば私がライフを見始めた頃から、ずーっと大ちゃんの成長を見続けていたようなものでした。美しい女役や、稀に物静かな役どころも演じていますが、大ちゃんの専売特許は、本能の趣くままに激しく感情を吐露する、今回のような役だと思っています。


これがずっと倉田さんに溺愛されている(と思う)大ちゃんの一番の必殺技であり、なんだかんだ言っても私自身、「これを見なくちゃライフじゃない」と思わせてしまう理由なのです。でも昔は抑制が効かず、声を潰してでも慟哭しまくりだった彼もやはり歳月の最中に、相応に自己抑制ができるようになってきたなあ(あれでも)、と思います。クスリと笑わせたり、可愛く振舞ったり、余裕ある演技ぶり。そして肝心なところでは、誰も止められないほどヒートする(笑)。


私がライフの舞台で何よりも好きなのは、テクニックを超えた”神聖な一瞬”です。役者という殻を破って、真の自分をさらけ出してしまう、神懸り的なその一瞬。それが本当に降ってくる時があるのです。大ちゃんは、日々あれだけ激しく雄雄しく吼えていても、意外と冷静に自分の演技をコントロールしている部分があると思うので、心底感情が高ぶって乱れていることは、少なくなってるかもしれません。


それが”役者の成長”ということなのしょうが、またあの心が震える一瞬に出会いたいなあ、と思ったりもするのです。それはともかく今回の芝居は、家族の間で居所を失い彷徨うヒースの少年時代に絞るか、イーヴとのナイーブな関係性に絞るか、どちらかのほうがもっと良かったかもしれません。両方を描こうとしていたため、なかなかに中途半端で見てるほうが置いてきぼりになっていた部分がありました。ラストも唐突でしたし。。。

【もう一人の主役、イーヴ】


イーヴ役は、D-BOYS中川真吾君とスタジオライフの期待のホープ松本慎也君。中川君も、写真のイメージとはだいぶ違いますね。もっと女性的な感じなのか、と思ったのですが、全く違って骨っぽさがあって、小柄でも青年らしい逞しさを持っている。一本筋が通ったイメージで、タフなイーヴ。友人の「一人でも生きていけそうなイーヴ」と言う感想がピッタリ。


台詞回しは淀みなく、役者経験が長くない(?)にも関わらず、とても安定した演技でした。さすが主役の一人に選ばれるだけありますね。ただ難点は、どうしても岩崎イーヴに恋をしてるようには見えなかった。生活力ありそうで(笑)、岩崎イーヴに守られずとも人生を切り開いていけそうなのです。なので、文句を言いつつもヒースがイーヴを大事に思ってる部分があまり伝わってきませんでした。普通の友達同士のようで。


カーテンコールのバンド紹介で激しい演奏がかかると、体を激しく揺らしてノリまくる中川君の姿がありました。イマドキの男の子らしい、”素”の彼はああいう元気少年なのかな?なんて。


対する松本君は、ピュアで繊細なイメージを滲み出しています。女役も沢山演じているだけあって、ヒースを想う時、目が潤んできて「女モード」にスイッチが切り替わります。片想いの切なさや、ヒース無しでは生きていけないような痛々しさと、まるで主人を待つ子犬のようなラブリーさが同居していて、普段の松本君の魅力全開でした。ただ、歌いだすと・・・手に汗握ってましたが(笑)。


松本イーヴは、林ヒースを心情的にいつも追いかけているだけに、その真っ直ぐな思いに応えられないヒースには荷が重いだろうな、というのが伝わってきました。なんだかこの二人の関係、まるで男女の恋愛のように見えました(笑)。


次に、残りのキャストについて書きます。


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