雅・処

好きなアイドル・俳優・映画・演劇などエンタメ一般やスポーツについて自由に語ります。

バンクーバー五輪(3) 女子フィギュアフリーの感想

半年ぶりくらいに土日をゆっくり家で過ごしましたが、なかなか落ち着いてスケートを見られず、フィギュアスケートの女子フリーをようやくさっき見終わりました*1。結果はもう分かっていたし、競技をじっくり見る以前に、浅田真央選手の涙のインタビューが胸にきてしまい、振り返るのにたじろぐ気分でした。


真央ちゃんの演技だけ、ワンセグで生中継をちょっとだけ見ました。リンクへ向かう時、キム・ヨナ選手が完璧な演技で信じられない高得点を出して、さすがの真央ちゃんも血の気が引いている姿がアップで映し出されてましたね。その後、重厚な「鐘」の曲に合わせてトリプル・アクセルを二度決めた瞬間、「五輪でこんな高難度の技を本当にキメるなんて、とんでもない子だ!」と驚きまくり。


いつになく?精魂こもった、般若のような厳しい表情にも引き込まれました。中盤までものすごい勢いでジャンプを決めていく姿は、風車に突っ込むドン・キホーテとか、炎の中にいるジャンヌ・ダルクのような壮絶さがあって、まさしく彼女は「真のアスリート」なのだ、と圧倒されました。2つの手痛いミスで金メダルが露と消えた後も、ミスを悔やみ「悔しい」を繰り返した真央ちゃん。


まさか「銀メダルなんて要らない!」とか言わないでね(笑)、と心配になるほどにその負けず嫌いな根性にも脱帽しました。1年にも及ぶスランプ状態で、くじけそうになる心を”金メダルへの想い”で高めていただけではなく、彼女はトリプル・アクセルを3回決めてノーミスで滑れば金メダルに到達する、と本気で信じていたのでしょう。


天然すぎるというか無邪気すぎるというか・・・。でもその強い意志こそがあればこそ、メダルなんて遠い夢じゃないか、と危惧していた多くの人々の心を超えてあれだけの演技に繋がったんだろうな、と心底、感心しました。当初の予想では、メダリストは、キムヨナとロシェットが候補で、日本の3選手が一人がそこに入れば・・・という感じでした。安藤選手や鈴木選手にもチャンスはあるな、という感じで真央ちゃんは五分五分の感じ。それを2位まで上り詰めただけでもエライ!と誉め言葉しか浮かびません。

【不満が残る採点】


SPとフリーをノーミスで滑りきったキム・ヨナ選手に至っては、その恐るべき精神力だけは認めないわけにはいきません。演技も、やっぱり上手いのは確かですし、この4年間戦略を持ってぶれずに練習してきたこともスゴイことです。19歳で地位も名誉も大金も手に入れて、今後の彼女の人生は大丈夫なのか、と一抹の不安を感じるほどに完璧。


但し、やっぱりあの高得点だけはどうしても彼女を手放しで誉められない点ですね。もちろん、彼女のせいではありませんが・・・。審判団は、SPもフリーも浅田選手を脅威に感じて、キム・ヨナ下駄を履かせたボーナス加点を出しまくってますから、恐らくフィギュアスケートファンの80%は、「グレー」どころか「真っ黒」だと思うでしょう。


かといって1年がかりでずっと疑惑の高得点が出るよう仕組まれてきてるわけですし、これだけ文句のつけようがない演技をされたら、”負け犬の遠吠え”にしか聞こえない。つくづく日本人の国際舞台での駆け引きの弱さにあきれてしまいます。マスコミももっと怒ればいいのに、中途半端に”誉め殺し”をしてるから役に立たない。


だから韓国のマスコミまでが不審に思って、「2ch」に日本人の真意を探しにいっちゃうわけで。あそこはあそこで全てにおいて罵詈雑言が甚だしい*2極端な掲示板なので、慣れないシロウトが足を突っ込むと、かえってヤケドするってアドバイスしたい(笑)。かろうじて過去の世界的名選手達が「この採点はおかしい」とハッキリ言い切ってくれてるのが救いです。


もちろん、選曲・衣装・演技構成・ジャンプの矯正など浅田選手自身の問題点も山のようにあります。浅田選手は素直で、天真爛漫な可愛らしさと裏腹に、スケート選手としては”暴れ馬”、己の思うままにわき目も振らずに猪突猛進していくところがあるから、手綱をちゃんと引けるコーチやスタッフが必須です。でなきゃ、4年後のソチ五輪までに失速する危険があります。


それにしても真央ちゃん、エキシビジョンであれほどに伸びやかな笑顔で「魅せる」ことができるのに、どうして競技用プログラムがああなっちゃうのか・・・。八木沼さんも荒川さんも「こういうプログラムを試合で見たい。」って言ってるのになあ〜。

【それでも五輪は素晴らしい】


別な意味で泣かせられたのは、鈴木明子選手。大舞台でのプレッシャーの中、できる限りの笑顔と心をこめたスケーティング、迫力あるステップ、渾身の演技には感動しかありません。メダル争いから離れて自分のできる限りの力を見せようと努力する選手達の姿こそ、これぞオリンピックの醍醐味、と教えられました。


コストナー選手の不調は、音楽が素敵だっただけに悲しかった。トリノ五輪でも地元開催の重圧で自滅していただけに、今回こそ!とリベンジを期待しましたが、やっぱり難しかったようです。20代の選手には、体と心がうまく一致しないような時期があって彼女も苦しんでいるようですが、良い選手なのでがんばって欲しいです。


ソチ五輪・期待の星のレオノワレイチェル・フラットは、緊張しながらも若木のような瑞々しさに溢れていて見ていて楽しかったです。長洲未来選手は、銅メダルをとってもおかしくないほどの素晴らしい出来栄え。まぎれもなく日本人の血筋なのに、あの表情の豊かさはやはりアメリカ人ですねえ。スピンもスパイラルも見事で、たった1年でこんなにうまくなるものか!と驚きました。次の4年間は、スケート王国アメリカ復活かな。


ペアのほうの川口悠子スミルノフ組も、ちょっと前から知っていたのですが、ここ1、2年でものすごく上達したことに驚きました。かつてのゴルデーワ&グリンコフペアを思わせるような、キビキビとした身軽な動きにワクワクしました。まだ引退しないで、もっともっと魅せて欲しいものです。


そうそう、書き忘れちゃいました(汗)。日本選手は男女6人とも入賞という素晴らしい成績でしたね。これは金メダルよりスゴイことだと思います。五輪は終わりますが、この次は世界選手権。まだまだ息が抜けませんね。



浅田真央 奇跡(ミラクル)の軌跡~ファースト・フォトブック (写真集)

浅田真央 奇跡(ミラクル)の軌跡~ファースト・フォトブック (写真集)


娘らしくなっていく真央ちゃんは、何を着ても似合いますね。公式写真集よりも評判が良かったので、こちらを購入しました。(届いたら、感想を書きます。)


氷上の美しき戦士たち

氷上の美しき戦士たち


スケート熱の高まってる今、一気読みしました。群雄割拠の男子スケーターの個性が分かり、かなり面白かったです。

*1:といっても上位選手だけですが

*2:それでいてたまに唸るような見事な分析もあったりするところが恐ろしい。