先ほど、最後の『JOKER 許されざる捜査官・特別編』を見終わりました。半分は総集編でしたが、それでも(ややとってつけたような)伊達の1st制裁シーンも見られたし、ますます続編を匂わせる終わり方だったので、「これは続編を期待して良いのかな?」と思いながら、ちょっと盛り上がりました。伊達一義というキャラクター、どこか「素」の堺雅人と重なってきて、魅力的な存在でしたし。
で、今日も”堺雅人のルーツを巡る旅”ということで、レンタル屋で過去作品を借りてきました。こんなのあるのかな?と思っていた初期の作品が3つも見つかって狂喜。映画自体がどれほど良いのかは分かりませんが、少なくても若かりし頃、今の堺雅人が出来上がるまでの発展途上の姿を堪能できればいいかな、ということで。
過去の作品群に心引かれておりますが、忘れないうちに『ビューティフル・サンディ』についても書いておかないと。堺さんが、2000年2月に立った3人舞台の千秋楽映像なのですが、それが5年後にDVD発売されており、今でも通販(イーオシバイドットコム)で手に入ります。*1あらすじを読んだ時点で即決注文し、すばやく即納されました。
堺ファンなら買って損無し、と他のファンの方が力説されていただけあって、そのお薦め通りの印象を持ちました。まず「ゲイ役だから」とか「舞台映像だから」という苦手意識さえなければ、買って損無しどころか、逆にお宝映像いっぱいです。何より若木のように溌剌と可愛い”青年・堺雅人”の魅力を真空パックにしてどうぞ、と見せてくれてます。
早稲田大学の先輩&第三舞台出身の長野里美さん、小須田康人さんがメインなのは仕方ないとしても、堺さんも1幕の途中から出ずっぱりで、三人芝居の醍醐味が感じられたりします。今、気づいて驚いたのですが、小須田さんは、ドラマ『JOKER』の5話に出演されていたのですね。自殺してしまう精神鑑定士役だったって(そうだったんだ〜!)。10年前の月日の重さに愕然としました。
【ビューティフル・サンディとは】
あらすじ:主人公秋彦(小須田)は、二日酔いで目覚めたある朝、隣に寝ていたのが”見知らぬ女”であることに驚く。彼女は、ちひろ(長野)35才。ワケありの風体だが、悪びれることなく、初対面の秋彦に何かとちょっかいを出して部屋を出て行こうとしない。ちひろは不倫相手に捨てられ、一人になりたくない女だった。秋彦は彼女を邪険に扱いながらも、突然上京してくるという母親のことが気になって落ち着かない。そこへ帰ってきたのは、自称絵描きの浩樹(ヒロ=堺)。秋彦の同棲相手であり、実はHIVに侵されたゲイの青年。ヒロは、なぜかすぐにちひろと打ち解け、秋彦の結婚相手にどうか、と秋彦をけしかける。そんな3人の奇妙なドタバタ劇が続くが、やがてそれぞれ胸に秘めた想いをぶつけ合う瞬間に繋がってゆく。
テンポの良い台詞の応酬、クスっと笑って、ホロッと涙する、典型的な人情劇(ハートフルコメディ)です。堺さんの演じるゲイ役ヒロは、青空のように一点の曇りない笑顔と人懐こさを兼ね備えてる好青年。
深刻な病気をかかえて苦しんでるはずですが、秋彦に対する物言いは屈託なく、ちひろに対しても始めから好意を見せて迎え入れてます。秋彦と出会って3年目の記念日であるこの日、ヒロはある決心をしているのですが、そんなことはおくびにも出さず、ただ満面の笑顔をふりまきながら、その”瞬間”を待っているのです。
10年前だけあって、堺さんの外見の若々しさ、キュートさは、もちろん圧倒的な魅力ですが(笑)、舞台俳優特有の声の通りの良さ、カツゼツの良さは今となんら変わりありません、ちゃんと出来上がっててまぎれもなく「堺雅人」であることに感心しました。今の堺さんだったら、もっと”人生背負ってる感じ(哀愁)”が漂うかもしれませんが、そこは若さゆえの思い切りの良さがあって、重くなりすぎません。
【見せ場はやっぱりそこでしょう】
副音声のコメンテタリーの方(作&演出家)の解説で「男同士の場面がないね、と言って追加になった」秋彦&ヒロのいちゃいちゃシーン。稽古の時から演出家にすら「見てるのが恥ずかしい」と言わしめただけあって、ちょっと妙齢の男性2人が可愛くいちゃついてます(笑)。ちっともエロくはないのが、ちょっぴり残念?
ただ、2人が互いの顔を見つめ合うシーンで「今だったらここ、チュッくらいあるよね」とコメントが入ってますが、当時はゲイをこんなに自然に扱った作品があまりなかったらしく、”時代のバランス”を考慮して、カラミはアッサリ目だったそうです。
ただ、「甘え下手の堺君と、甘えさせ下手の小須田君だから大変で、この手の位置(秋彦の腿に手を置くヒロ)とか、すごいいっぱい稽古したんだよね。」とのこと。へえ〜、確か某所の噂では、酔っ払うとやたらと”甘えたちゃん”になるらしい堺さん、さすがにシラフで大先輩相手ではやりにくかったのかな。
ちなみにシャワー後のヒロ半裸のシーンには、すかさず「これはサービスね」のコメントが(笑)。洗濯板のような薄っぺらい胸と、細っちい腰つきが、堺青年の軟弱さを見せつけてくれて笑みがこぼれます。
後半、激昂して台詞をまくし立てるヒロの見せ場もあります。こんな爽やかで繊細なゲイも世の中にはいるのかしら・・・と思わせるいたいけさで、同情心を誘いまくりです。やっぱりヒロ役って、この年代だからこそできる役どころですね。まるで堺さんの「弟」を見てるかのような不思議な気分で鑑賞しました。
2005年時点(DVD化されたのが5年後だったので)でも「若いねえ、堺君。今は落ち着いちゃって風格あるものね。」と語られてるのが可笑しい。まだ30歳そこらで、若年寄になっちゃったのでしょうか。
余談ですが、部屋のセットがなかなか凝ってて感心したものの、あまり予算がなくて小道具は、結構100円ショップで買い揃えたり、私物を持ち込んだりしたらしく、(私も素人に気が生えた程度の)舞台公演をやった時に全く同じように小道具を持ち寄った記憶が蘇りました。本当に一つの舞台を作るのってそんなところも含めて大変なんだよなあ、と実感しました。
一つ一つのお芝居に対して、役者として真摯に向き合ってきて、どこを見ても手抜きをしていない堺さんの姿がちゃんとこの舞台からも滲み出てて、いやあ良いものを見せてもらいました!って感じです。そして、堺雅人フィーバーはどこまでつづく。。。
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