雅・処

好きなアイドル・俳優・映画・演劇などエンタメ一般やスポーツについて自由に語ります。

月組「バラの国の王子」観劇記

大震災後、4/29に東北新幹線が全線開通し、当初の予定の通りGWの3日から5日まで東京遠征に行きました。約半年ぶりの上京ではありましたが、その間、大震災という大きな出来事があったため、友人と会っていても、まるで何年も経ってしまったかのような、月日の感覚がとんでしまっている気がしました。


当初3日に予定していたウィーン少年合唱団の公演は中止、5/15に予定されていたHey Say Jumpの仙台公演も中止(予定の会場は、合同遺体安置所となっておりましたし・・・汗)で、横浜アリーナへの振替もできず、とかなり目論み通りにはいきませんでしたが、代わりに4年ぶりで東京宝塚劇場に足を運んだり、それなりに楽しめた休日となりました。

【宝塚月組/バラの国の王子】


まずは3日に当日券で見た月組。前述したように全国ツアー以外では、久しぶりに”本場”東京宝塚劇場での観劇に懐かしい・・・と感慨深いものがありました。最後に見たのが、春野寿美礼ちゃんのサヨナラ公演でした。その時と比べて劇場内はあまり変わってはいませんでしたが、チケット代は一部上昇しておりましたし、チケットもはるかに取りやすくなっていました。


今も変わらずヅカファンの友人の話では、チケット・バブル(?)もはじけて、最近はむしろ不人気の組や演目ではなかなか客席が埋まらないとか。私が見に行った回も当日券にすらまわしていない空席のエリアがあり、ちょっと驚きました。しかし、このご時勢に2000人規模の劇場を毎日満席にするほうが非現実的で、これまでが異常だったのかもしれません。


スターの入れ替わりも激しいため、現在の男役トップスターは、私が3,4番手時代によく見ていた人達が多く、中には未だに「トップになったことが信じられない」という思いのスターもおります。さらにその下となると、もう”新人”すぎて見覚えなし、という感じになってます。その点、現トップのキリヤン(霧矢大夢)は、リカちゃん(紫吹淳)トップ時代に100回くらい見たかも(笑)というほど見慣れたスターですが、若手の頃から歌も芝居も実に頼もしかった方なので、安心して見ることができました。


芝居は、『バラの国の王子』。「美女と野獣」をモチーフにしている作品です。ディズニーでも映画化されているなどかなり有名な作品ですが、私自身は”お初”でございました。可憐なお嬢さんに惚れた異形の元王子の悲恋、「オペラ座の怪人」なんかを彷彿とさせましたがハッピーエンドで終わるところにホッとしました。


しかし、芝居が始まってからキリヤン登場までがやたらと長く、出てきてもずっと野獣の衣装のまま・・・。これってファンの方にも微妙なのでは?と思ったりして。娘役トップの蒼乃夕妃さんについては、歌は際立って良いというわけではないけれど、芝居はなかなか良い味を出していてお芝居に集中して見ることができました。


中盤、愛を得られないことに絶望し、悲嘆にくれる主人公の心情を歌うキリヤンには、心震わされました。思えば宝塚の観劇では、芝居の流れで泣けてきたり、大好きなスターの心情を慮って涙が出ることはあっても、歌そのもので泣ける、という経験はあまりありませんでした。キリヤンは、持ち前の歌唱力を生かしているだけでなく、高い表現力を自在にコントロールできるのだなあ、と感心。


ただ、その他には何事もソツなくこなす、というキリヤンの器用貧乏さと月組全体のパワー不足が気になりました。芝居よりもショーのほうで顕著だったのは、2番手・3番手スターの小粒さ。かつて暑苦しい(笑)というくらい個性派揃いだった月組がなんか優等生ばかりで面白みに欠ける組になってて、うーむ、と唸る。


とはいえ、それはどこの組も大なり小なりそうなんでしょうね。それでも宝塚は無事100周年を迎えるでしょうし。。。震災のドタバタで、ブログにアップしそこねたのですが、私が一番宝塚にハマっていた頃の湖月わたる貴城けいコンビで『愛と青春の宝塚』仙台公演(3/9)を見たときに、「コレ、これが見たかったのよ〜!」と心から思ったことと対照的でした。単に世代が違うからなのか、好きなスターがいなくなったせいなのか。


とはいえ、とにかく懐かしかったのは事実。公演最後にトップスターの舞台挨拶が追加されていたり、そこここに募金箱が設置されているなどの違いもありましたが、宝塚は無駄にきらびやか(笑)で、今もなお独特の空間を持ったまま、己の道をゆったり歩んでいるのだなあ、と感じた公演でした。