雅・処

好きなアイドル・俳優・映画・演劇などエンタメ一般やスポーツについて自由に語ります。

映画『ツレがうつになりまして』 もうちょっと何か・・・

さんの新作映画『ツレがうつになりまして』を、封切1週間目にようやく見ることができました。珍しく前売券も購入して見る気満々だったのに、怒涛の仕事の波に押し流されて、結局はいつものごとくレイトショー。まあ、観客も少なくて落ち着いて見られるのが良いところもあるんですが・・・。


それより、我ながら失敗だったのは、雑誌類です。本屋に寄れない2週間に「ツレうつ」特集の雑誌がいくつか出ていたことを知り、大慌て。今回は、宮崎あおいちゃんとダブル主演だから、大して特集は出ないかな、と油断していたら、ちゃんと撮りおろしツーショット写真があちこち出ていて、もうなんだか後の祭りな気分。


おまけに「塚原ト伝」も始まっていたのね・・・NHKウィークリー「ステラ」を買い逃して涙目でございました。こちらのドラマは、前髪下ろした総髪姿のラブリーな堺さんが見られますが、個人的にはあまりソソラレナイ題材。「なんでこんなオーソドックスな作品を堺さんにやらせるのだろう。」くらいテンション下がり気味。


明日からの「南極大陸」は、どんなドラマなのか。豪華キャストが揃い過ぎて、木村拓哉氏との対決シーンなんてどれだけ放映されるのかいささか心配です。結局、私の中で堺雅人氏のポジションは、「お茶の間で見て、安心して楽しめる演技派俳優」ではなくて、「胸の中で”静かな嵐”を巻き起こしてくれる特殊な役者」ってとこなんだろうな、と。(そういうの見せて欲しいんだけどな。)


うつ病のツレ役が可愛い】


この映画は、原作漫画の”ほのぼの感”を投影しようと頑張ってるのが伝わってきました。完璧主義者のツレが、IT系のクレーム処理担当というストレス溜まりまくりの職場にいてどんどん追い詰められていく様子から始まりますが、いざツレがうつ病を発症した後は、妻である「ハルさん」の感情の動きをメインに描いていってます。


ツレ役の堺さんは、頼りなげで繊細、というか”はかなさ”をも感じさせるような優しい旦那ぶりで、奥さんに庇護されているのがとても良く似合います。確かな演技力とかダイエットの成果というのもあるでしょうが、もともと持っている堺さんの”草食系オジサン”なムードもそうさせているのでしょう。歳の離れた妻の尻に敷かれていても(?)いちいち可愛いんですよね。


常に家の中でウロウロしているうっとおしさも可愛い、そのダメっぷりがたまりません。ま、これはあくまで堺雅人が旦那だったら、と仮定した話ですが(笑)。映画予告を見ると、この映画のエッセンスは、ほとんど分かります。あえて劇的にしない、という監督の意図も分かるような淡々とした流れです。本当にあった話、で、登場人物も現存する、という難しさもあるのでしょう。

【主演2人の魅力が焦点をぼかす】


ドラマチックというほどドラマチックな話はなく、全体的にポカポカと陽だまりのような温かさを感じました。ドキュメンタリーで見るような、うつ病患者の厳しい現実を感じるには、ややスウィートすぎる内容かな、と思ったほどです。あおいちゃんと堺さんという、やたらと安定感のあるコンビだというのももちろんありますが、夫婦愛を強調して描くことで、うつ病に対して2人が闘ってきた苦しみがオブラートに包まれてしまい、やや伝わりにくい気がしました。


原作を読んだときに、一番心に残ったエピソードがありました。ツレが「ボク、自殺するかも」と電話してきた時に、高まる不安を押し隠して「ごはん作って待ってるからね。」と語るハルさんの話。(この話があったらまた違ってたかも。)あおいちゃんは、揺らぎのない地に足をついた演技を見せる人だな、という印象があります。だらけていても一本芯が通ってるような強さが眼光から滲み出ているので、生活の先行きに対する不安とか漠然とした恐怖なども、あまり感じられません。


その点では、堺さんも揺るぎ無いタイプなので、”困難を克服しちゃうぞ”オーラが漂ってましたね。この2人だからこそ見たかった映画なのに、この2人だからこそ、なんか破綻のない、普通の良い映画になってしまって感があります。そういう意味では、あまり心に負担のかからない見やすい映画でした。「それでいいのか?」って思う部分もあるのですが。


直接、うつ病で苦しむ人と交流があったわけではないのですが、職場でも過去に何人もの人達が追い詰められて心の病を発症したり、休職したり、ということがありました。人は、わりと長い間、強い心理的ストレスを与え続けられていると、心が壊れてしまう生き物なんですよね。自分は絶対大丈夫!なんてことは言い切れない。いい加減で身勝手で「そんなのオレのせいじゃない。」ってバックレてるくらいが丁度いい、といいますか(笑)。


映画の中でもツレが、「ボクがいないと(会社は)大変なんだ。」と言うシーンがありますが、それも生真面目な人が陥りやすい罠なんだよな〜と思いました。会社にとって、”いなくてはならない人材”なんて、ほとんどいません。短期的には穴が空いて大変だったりもしますが、大体なんとかなってしまいます。数え切れないほど辞める人を見送ってきてるので、残念ながらそれが現実、と醒めて見てしまう自分がいます。


だからそんな非情な会社のために、一生ものの貴重な”心”を壊さないで欲しいです。それでも壊してしまったなら、やっぱり休養をとること、なんでしょうね。これだけは、限界を感じたら逃げるが勝ち、てのが正しいと思います。



巻頭大特集でした。映画パンフのインタビューとも重なる内容だったので、こちらから引用したのかな?紫のセーターをラフに着こなす堺さんは、年齢不詳のラブリーさです。



堺さんは、きっと「キネ旬」に激しく愛されてるのでしょう。巻頭特集を何度も飾っていて、今回もちゃんと”ピン”のインタビューが入ってますし。。